2022大阪杯


ディープ×猫のインパクト

 普段の年の阪神の古馬G1は大阪杯-G1と宝塚記念-G1のふたつ。距離は200m違うだけだが、そこに施行時期の違いも加わるためか、宝塚記念-G1ではサンデーサイレンスUSA系でも特にステイゴールド系の活躍が目立ち、大阪杯-G1ではディープインパクト系が上位を占める場合が多い。これは両G1の性格の違いとしてよく知られるところであろう。その延長戦上にあると考えられるのが、下表に示した通りのロベルト系の不振。競馬には「トタンの法則」といって、ジンクスやパターンが気付いた途端に崩れることがよくあるので、ロベルト系の不振が明らかになった今回、ジンクスを破ってロベルト系初の大阪杯-G1制覇という結着は十分に考えられる。また、下表をよく見ると、そもそも勝ち負けになる馬の出走例が少ないことも分かる。足掛け3年に及ぶ京都休催による馬場の疲弊を考えると、もうそろそろロベルト系の力がものをいう頃でもあるだろう。
 そうはいっても、ロベルト系の16戦0勝2着0回3着2回という過去の事実を無視して通り過ぎるのもどうかと思える。鉱脈はすぐそこにあるかもしれないのに。ということで、ちょっと掘ってみましょう。このレースの最重要血統であるディープインパクトは直仔が4頭、後継キズナの産駒が2頭。いつもよりおとなしい印象だが最大勢力だ。◎レッドジェネシスはディープインパクト×ストームキャット牝馬の配合。このパターンは国内で東京優駿-G1のキズナ、安田記念-G1のサトノアラジンとダノンキングリー、優駿牝馬-G1のラヴズオンリーユー、エリザベス女王杯-G1とG2時代のこのレースのラキシス、桜花賞-G1のアユサン、そして海外でブリーダーズカップフィリー&メアターフ-G1、香港カップ-G1、クイーンエリザベス2世カップ-G1のラヴズオンリーユー、香港カップ-G1とイスパーン賞-G1のエイシンヒカリ、ドバイターフ-G1のリアルスティール、ジョッキークラブ賞-G1のスタディオブマンを送る。日、米、港、首、仏と地域を選ばない活躍からも、ディープインパクトの最高のニックスといえるだろう。母のリュズキナIREは不出走。サドラーズウェルズ産駒の祖母ラッキーはクールモアのマグナー夫人の勝負服で7Fの愛2歳重賞アサシS-G3に勝った。3代母ズマルードはハビタットの娘なので、ここではブリーダーズカップマイル-G1のバラシアをはじめマイラーとして成功例の多いサドラーズウェルズ×ハビタットのニックスが成立している。ズマルードの産駒には英2000ギニー-G1のキングオブキングス、ロベールパパン賞-G2のジェネラルモナッシュ、孫にはロンポワン賞-G2のチャイナヴィジット、クリテリウムドメゾンラフィットのシャドゥンがいる。チェリーヒントンS-G3に勝った4代母アンプラはプリンスオブウェールズS-G2のハツーフを生み、5代母エイワンの産駒にはミドルパークS-G1のスティールハートIREがいる。名門牝系に大種牡馬ばかりを重ねた名血だけに、2桁着順後の大仕事があっても驚けない。


大阪杯のロベルト系はなぜか不振
種牡馬名〜父系 産駒の大阪杯成績
スクリーンヒーロー〜グラスワンダーUSA〜Silver Hawk〜Roberto
  2018年(16着)ゴールドアクター(12人気)
シンボリクリスエスUSA〜Kris S.〜Roberto
  2014(3)エピファネイア(1人気)、2018(11)ヤマカツライデン(15人気)
マヤノトップガン〜ブライアンズタイムUSA〜Roberto
  2010(6)ホッコーパドゥシャ(7人気)、2013(13)タガノエルシコ(10人気)、2015(11)ムスカテール(13人気)
グラスワンダーUSA〜Silver Hawk〜Roberto
  2006(11)シルクネクサス(12人気)、2007(6)シルクネクサス(6人気)、2012(6)アーネストリー(5人気)、
  2012(10)メイショウカンパク(10人気)
ブライアンズタイムUSA〜Roberto
  2000(13)ナリタルナパーク(9人気)、2002(3)ビッグゴールド(7人気)、2002(8)ブリリアントロード(14人気)、
  2003(13)ビッグゴールド(12人気)、2003(14)ブリリアントロード(15人気)、2008(9)ヴィクトリー(8人気)、
  2009(11)ヴィクトリー(6人気)
トレボロUSA〜Roberto
  1993(9)レットイットビー(7人気)、1993(11)キョウワハゴロモ(13人気)
リアルシャダイUSA〜Roberto
  1992(7)イブキマイカグラ(2人気)、1999(8)ランフォザドリーム(6人気)、2000(12)メイショウバチカン(11人気)

 ○ジャックドールの父モーリスの連勝は4歳1月に始まりそこから安田記念-G1、マイルチャンピオンシップ-G1、香港マイル-G1、チャンピオンズマイル-G1まで7連勝を記録した。3歳9月からスタートした本馬の連勝は現在5。父より早く勢いに乗って父と同等の高みにまで至るかもしれない。レコード上等の高速仕様はアンブライドルズソング産駒でミスタープロスペクター4×3の母ラヴァリーノUSAによるところも大きい。母は英の芝とオールウェザーで10Fのハンデ戦に勝った。祖母スーザンタンデュはグロット賞-G3の3着馬で、3代母イッツインジエアは米2歳牝馬チャンピオンで3歳時にはアラバマS-G1、ラフィアンH-G1など4つのG1に勝った名牝。ロベルト系×ミスタープロスペクター系の1990年代から続くニックスの最新バージョンだ。

 ▲エフフォーリアはこれまで唯一負けたのがディープインパクト産駒であったこと、父エピファネイアの産駒が古馬になると案外成長していないことが重箱の隅をつついた結果出てきた懸念材料。ハーツクライ産駒の母ケイティーズハートはダート1700m〜1800mで3勝。クリス産駒の祖母ケイティーズファーストUSAは英・仏でリステッド勝ちのある活躍馬で、孫にはドバイデューティフリー-G1、ジャパンカップ-G1、宝塚記念-G1のアドマイヤムーンがいる。3代母ケイティーズは愛1000ギニー-G1に勝ち、娘のヒシアマゾンUSAはエリザベス女王杯に、孫のスリープレスナイトはスプリンターズS-G1に勝った。長期間にわたって多くの活躍馬を送りだす名門牝系に、サンデーサイレンスUSA4×3を重ねたエピファネイア産駒の定番先端血統。

 △レイパパレは強力な相手を倒した前年の勝利からジリ貧傾向にあったが、前走のパフォーマンスはさすが。ジャックドールと同斤量で0秒4差なら、定量でセックスアローワンスの2キロ差が生じた今回は机上の計算では時計差は0となる。フロリースカップGB系に発する牝系に名馬トウショウボーイ、スターロッチ系の日本ダービー馬ウイニングチケットを重ねた祖母はテスコボーイ4×3の近交でもあって、サンデーサイレンスUSA以前の日本血統の精華ともいえる。

 アフリカンゴールドは半兄アフリカンストーリーがドバイワールドカップ-G1勝ち馬で、祖母ダニッシュはクイーンエリザベス2世チャレンジカップ-G1に勝った。中東で目覚めたステイフーリッシュとは同期のステイゴールド産駒。


競馬ブックG1特集号「血統をよむ」2022.4.3
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