2021朝日杯フューチュリティS


父系は続くよ細く長く

 本年のJRA競馬も今週を含めてあと5日の開催を残すのみとなった。種牡馬の2歳リーディング争いはエピファネイアとディープインパクトの熾烈な争いが続いているが、本年産駒デビュー新種牡馬の争いは下表の通り、ドレフォンUSA、シルバーステート、イスラボニータの順で決着を見る可能性が高い。地方も加えた総合の賞金順も4位までは同じ並びになっていて、それらが獲得した賞金も高い水準に達している。ディープインパクトやキングカメハメハらランキング上位に君臨した大種牡馬の不在となったぶんが新種牡馬への期待となって数字に反映される傾向は当分強くなりこそすれ、弱くなることはなさそうだ。最終週のホープフルS-G1には新種牡馬産駒の登録がないので、ここに産駒を出走させる3頭の新種牡馬(下表の太字)にとっては事実上の決勝戦ということもできる。


2歳新種牡馬JRA勝ち鞍順ランキング
順位種牡馬名生年産地重賞1着2着3着着外主な活躍馬
1ドレフォンUSA2013米国1251619146ジオグリフ
2シルバーステート2013安平1151112101ウォーターナビレラ
3イスラボニータ2011浦河 14141183ニシノレバンテ
4キタサンブラック2012日高1138756イクイノックス
5サトノアラジン2011安平 831382ウェルカムニュース
6ザファクターUSA2008米国 6106102ゼットノヴァ
7アメリカンペイトリオットUSA2013米国 691577ビーアストニッシド
8コパノリッキー2010日高 47554コパノニコルソン
9ビッグアーサー2011浦河 36688トウシンマカオ
10ディーマジェスティ2013新ひだか 36445シゲルファンノユメ
11ラニUSA2013米国 33052リメイク
12ロゴタイプ2010千歳 23654ラブリイユアアイズ
13ヴァンキッシュラン2013千歳 2224トーセンヴァンノ
14ワンアンドオンリー2011新冠 10411アトラクティーボ
15トーセンレーヴ2008安平 1018トーセンクレセント
16ポアゾンブラック2009日高 1004イチネンエーグミ
17エーシンシャラク2008新ひだか 0204
18ルックスザットキルUSA2012米国 0001
19サドンストーム2009日高 0002
20ドリームバレンチノ2007新冠 0002
21マスクゾロUSA2011米国 0003
21アイファーソング2008新ひだか 0003
23ヒラボクディープ2010日高 0004
12月12日現在、種牡馬名の太字は出走馬の父、産駒の太字はブラックタイプ獲得馬

 ビッグアーサーは3頭のうちで首位争いに関しては圏外というしかないが、ショウナンカンプやグランプリボスといったサクラバクシンオー後継の先輩と比較する限りでは素晴らしいスタートダッシュだ。ここまでサクラユタカオー、サクラバクシンオー、ビッグアーサーと父系3代でG1級勝利を重ねてきており、◎トウシンマカオには父系4代G1級制覇の期待がかかる。同系ではサクラユタカオー、エアジハード、ショウワモダンが父系3代G1級勝利を達成しており、この手の記録は大勢力を築く大種牡馬よりも細々と続く系統に起きることが多いのかもしれない。メジロアサマ、メジロティターン、メジロマックイーンの3代でもそうでしょう。グラスワンダーUSA、スクリーンヒーロー、モーリス、ピクシーナイトの4代制覇にもどちらかというとマイナーな風味がある。高松宮記念-G1勝ち馬ビッグアーサーは、その母シャボナUSAがキングマンボ×サドラーズウェルズというエルコンドルパサーUSA配合であり、これがポスト・サンデーサイレンスUSA時代に求められる現代的な力強さの源泉となっていたように思える。トウシンマカオの母ユキノマーメイドはスペシャルウィークの娘で、芝1800mと2000mで4勝を挙げた。産駒は米子Sなど7勝のベステンダンクをはじめ、サンキュー3勝、ハルカノテソーロ2勝、ユキノグローリー2勝などどれも配合種牡馬を選ばずよく走った。祖母サスペンスクイーンUSAはウッドマン産駒の米国産輸入競走馬で、芝1000mと1200mで3勝を挙げた。3代母クリスタルカップはニジンスキー産駒なので、この母はニジンスキー4×3と、バックパサー5×4をはじめとするラトロワンヌ血脈を基礎としてサンデーサイレンスUSAが入る整った良血ということができる。ハビタットの娘の4代母ローズボウルは英チャンピオンS-G1やクイーンエリザベス2世S-G2に勝った名牝で、5代母の産駒にはキングジョージ6世&クイーンエリザベスS-G1のイルドブルボンUSAがいる牝系も底力を感じさせるもの。本馬はキングマンボとウッドマンを経由した力強いミスタープロスペクター4×4に、サクラバクシンオーとスペシャルウィークを重ねて和風の軽快なテーストを加えた。端正で見事な配合だと思う。

 エイシンヒカリはこの2歳世代が2年目の産駒。昨年の新種牡馬ランキングでは11位にとどまっているが、昨年の上位は近年最高のタレント揃いという不運もあった。首位ドゥラメンテの3分の1程度の出走頭数という量的不利も考えれば健闘といえる。名門牝系にディープインパクト×ストームキャットを重ねた血統、海外G1・2勝の成績を考えても、もっと評価されていい種牡馬ではないだろうか。○カジュフェイスは浦和記念のサミットストーンの半弟で、曾祖母マフィティスの孫には名馬タイキシャトルUSAや阪神ジュベナイルフィリーズのピースオブワールドがいる。ブリーダーズCジュヴェナイル-G1のウィルコは4代母コントレイルの曾孫で、5代母アズリンの子孫からは名牝シンコウラブリイIREも出ている名門牝系。サンデーサイレンスUSAとデヴィルズバッグを経由したヘイロー4×3に加え、血統表4代目にはストームバードとニジンスキーというカナダのE.P.テイラーの生産馬が並ぶ。5代目にはキートゥザミント、トムロルフとリボー系の大物の名前が潜んでいる点も大レース向きの爆発力を感じさせる。

 ダイワメジャーは阪神1600mで産駒アドマイヤマーズがこのレースに勝ったほか、メジャーエンブレムとレシステンシアが阪神ジュベナイルフィリーズ-G1に、レーヌミノルが桜花賞-G1に勝った。▲セリフォスの母シーフロントはフランスで1600mのリステッド競走モーリスジルベール賞など5勝を挙げ、やはり1600mのベルトランデュブルイユ賞-G3で3着となった。その父ルアーヴルは仏ダービー馬で、ノヴェール、ラーイを経てブラッシンググルームに遡る。4代母レドワは種牡馬イエローゴッドの全姉だから、母はレッドゴッド5×4の近交となる。3代母の父ジェネラルアセンブリー以外は欧州色の濃い母で底力も十分。

 ドレフォンUSAは産駒がここを勝てば新種牡馬チャンピオンの座が確定的になる。その産駒△ジオグリフは母アロマティコがエリザベス女王杯-G13着馬。血統表の4、5代目にはストームバード、デピュティミニスター、トライマイベストUSA、ノーザンテーストCANとE.P.テイラー血統が満載。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2021.12.19
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