2021有馬記念


祖父2頭は有馬記念に勝った

  「週刊競馬ブック」12月6日発売号の「日高通信365」によると、2022年の社台スタリオンステーション繋養種牡馬の種付け料ではエピファネイアが1800万円で最高額となった。以下ロードカナロア1500万円、キズナが1200万円、新種牡馬コントレイルが同じく1200万円で続き、1000万円以上はこの4頭。エピファネイアは2021年から800万円の上昇となり、2016年の初年度が250万円、初年度産駒が3歳を迎えた2020年が500万円だから、実力で掴んだトップの座といえる。競走馬としても種牡馬としても同期のライバルのキズナは同じ250万円でスタートしていて、現在までの重賞勝ちの数は17。これはエピファネイアの9を大きく上回っていて、それに限らず産駒のアベレージ的な数字はキズナ優位の項目が多いのだが、下表の通りエピファネイアはG1に強いことと、ディープインパクト牝馬でもハーツクライ牝馬でも、サンデーサイレンスUSA系の牝馬との配合に向いているという大きなアドバンテージがある。表の欄外に示したG1成績は率で示すと勝率0.250、連対率0.417、3着内率0.542となる。まだ規定打席数に満たない面はあるものの大変な高率で、比較対象として歴代の大種牡馬のG1級競走での3着内率の例を挙げればサンデーサイレンスUSA0.259、ディープインパクト0.256(12月19日現在)、トニービンIRE0.261、ブライアンズタイムUSA0.234など、超一流種牡馬でも2割5分前後なので、目下のエピファネイアの勢いがいかに強いかが分かる。
 ◎エフフォーリアは天皇賞(秋)-G1でコントレイルとグランアレグリアの2頭を破った。レイパパレも大阪杯-G1で同じ2頭を破っているが、一般には良馬場で行われた天皇賞(秋)-G1の結果の方が尊重されるべきものなのだろう。下表にあるエピファネイアのG1入着産駒はいずれもサンデーサイレンスUSA4×3の近交になっていて、本馬も勿論例外ではない。ディープインパクトやハーツクライらの後期サンデーサイレンスUSA後継種牡馬群は母の父としての役割も大きくなりつつあるところで、既に首位キングカメハメハに追い付く位置にいるディープインパクトには遅れているが、ハーツクライも年々着実にブルードメアサイアーランキングの順位を上げてきている。ハーツクライの娘の産駒の重賞勝ち馬はシンザン記念-G3のヴァルディゼール、ブルーダイヤモンドS-G1のタガロア、京成杯オータムH-G3のトロワゼトワル、マイラーズC-G2のケイデンスコールとすべてが父ロードカナロアだったのだが、それ以外の配合によってこれまでにない大物が現れたことになる。母のケイティーズハートはダートの1700〜1800mで3勝。祖母ケイティーズファーストUSAはクリス産駒でセルクル賞-LRなど英仏で4勝を挙げ、孫にドバイデューティフリー-G1、ジャパンC-G1、宝塚記念-G1に勝ったアドマイヤムーンがいる。3代母ケイティーズはノノアルコの娘で、愛1000ギニー-G1に勝った。産駒にエリザベス女王杯のヒシアマゾン、ローズSのヒシピナクル、孫にスプリンターズS-G1のスリープレスナイトがいる。ヒシアマゾンは1994年の有馬記念でナリタブライアンの2着、ハーツクライは2005年にディープインパクトを負かした。エピファネイアは2014年に5着だが、その父シンボリクリスエスは2003年に9馬身差で圧勝した。


エピファネイア産駒の躍進(G1成績)
馬名生年母の父レース名距離馬場人気単勝
オッズ
デアリングタクト2017キングカメハメハ2020桜花賞芝160024.2
2020優駿牝馬芝240011.6
2020秋華賞芝200011.4
2020ジャパンC3芝240033.7
アリストテレス2017ディープインパクト2020菊花賞芝3000423.0
オーソクレース2018ディープインパクト2020ホープフルS芝200035.7
2021菊花賞芝300035.4
エフフォーリア2018ハーツクライ2021皐月賞芝200023.7
2021東京優駿芝240011.7
2021天皇賞(秋)芝200033.4
ディヴァインラヴ2018ディープインパクト2021菊花賞3芝3000617.3
クラヴェル2017キングカメハメハ2021エ女王杯3芝2200946.9
サークルオブライフ2019アドマイヤジャパン2021阪神JF芝160035.6
エピファネイア産駒のG1成績[6.4.3.11](12/19現在)

 ○パンサラッサは出走馬中1頭だけサンデーサイレンスUSAの血を持たない。父のロードカナロアはジャパンC-G1のアーモンドアイ、皐月賞馬でこのレースでも2着となったサートゥルナーリアはいずれも母がサンデーサイレンスUSA系牝馬だが、香港スプリント-G1のダノンスマッシュはサンデーサイレンスUSAの血を持たない大物。本馬の場合は母の父がモンジューIREなので、その父サドラーズウェルズと、父系曽祖父のキングマンボの組み合わせが疑似エルコンドルパサーUSA配合となる。キングマンボの母の父ヌレエフとサドラーズウェルズは4分の3同血の叔父と甥の関係にあり、エルコンドルパサーUSA以降もキングマンボとサドラーズウェルズ牝馬の組み合わせからは、英2000ギニー-G1のヘンリーザナヴィゲイターやオイロパ賞-G1のキャンパノロジスト、ジェベルハッタ-G1のマスターオブハウンズら模倣配合の成功馬が次々と現れた。また、本馬の3代母イッチングの父サッチングの父サッチは、ヌレエフの母でサドラーズウェルズの祖母でもあるスペシャルの全弟にあたる。牝系に目を向けると、ディープインパクト産駒の半兄エタンダールは青葉賞-G22着、同じく半姉ディメンシオンは京成杯オータムH-G32着。少し遡って3代母の産駒には愛インターナショナルS-G2のグレートデインがおり、4代母でフィリーズマイル-G33着のアリゲートリクスの孫にはオイロパ賞-G1のタイパン、サセックスS-G1のアリロイヤル、英1000ギニー-G1のスリーピータイム、曾孫にはドンカスターH-G1のイッツサムホワットと多くの活躍馬がいる。欧州色の強い母の血統だけ見ても、この距離延長が応えるとは思えない。

 ゴールドシップは3歳時に有馬記念-G1に勝ち、4歳時はオルフェーヴルの3着、5歳時はジェンティルドンナの3着、引退戦となった6歳時はゴールドアクターの8着だった。3歳時の勝ち時計2:31.9は他の3回の勝ち馬より速いので、本気を出せばひょっとすると勝てていたのかもしれない。その産駒▲ウインキートスは波の大きな成績で、それが父の影響か別の要因かは分からないが、大敗から一変しても驚けない血統なのは確か。母イクスキューズはクイーンCなど3勝。祖母クリスティキャットUSAは米国でフラワーボウルH-G1など5つの芝重賞に勝った名牝。3代母トールブース、4代母ミッシーババと遡る名門牝系。

 キズナ産駒の△ディープボンドは母の父が今年好調なキングヘイロー。祖母モガミヒメの孫に高松宮記念-G1とスプリンターズS-G1に勝ったローレルゲレイロ。栗林家のケンタツキーに遡る名門。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2021.12.26
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