2020桜花賞


ライバルは続くよどこまでも

 ディープインパクトの初年度産駒がデビューしたのが2010年。それよりあとでハイレベルだったのが初年度産駒2017年デビュー組で、ロードカナロア、ヘニーヒューズ、オルフェーヴルの上位3頭の産駒の収得賞金合計は10億円を超えた。昨年もそれに匹敵する高い水準となり、新種牡馬ランキング上位3頭、キズナ、エピファネイア、リアルインパクトの合計は10億円を超えた。特に首位キズナの4億9153.8万円はキングカメハメハ初年度の4億418.9万円、ロードカナロアの4億3546.2万円を抜き、自身の父祖であるサンデーサイレンスUSA4億9633.9万円、ディープインパクトの5億4074.3万円に迫る歴代3位の新種牡馬記録だった。
 桜花賞-G1はディープインパクトの初年度産駒マルセリーナが勝っているほか、ヴィクトワールピサ初年度産駒ジュエラー、ロードカナロア初年度産駒アーモンドアイが勝ったように、トレンドが反映されやすい。昨年の新種牡馬ランキング1位キズナと2位エピファネイアの差はおおむね重賞勝ちの有無によるものといえ、下表に示した世代別種牡馬ランキングにおける収得賞金も、重賞成績によって差が広がったと見ることができる。このようにキズナ優勢で推移してきた流れと、ディープインパクトが初年度産駒から桜花賞を制した事実を見るとキズナ産駒の戴冠というのは大いにあり得る。しかし、先週の大阪杯で6頭出しの数的優位を誇ったディープインパクト軍団をオルフェーヴル産駒ラッキーライラックが撃破したことを見ると、大レースは劣勢な側にとって反攻の好機であることも多いといえる。現役時のエピファネイア自身の能力が決してキズナに引けを取らなかったことを思い出せば、産駒の重賞初制覇がクラシックである可能性は大であると考えられるわけだ。◎デアリングタクトは母の父キングカメハメハがアパパネとレッツゴードンキの2頭の桜花賞馬を出していて、祖母デアリングハートは2度の府中牝馬S-G3とクイーンSに勝ち、NHKマイルCで2着となった活躍馬。その父サンデーサイレンスUSAも産駒にチアズグレイス、スティルインラブ、ダンスインザムードと3頭の桜花賞馬を送っている。ダンチヒ直仔の3代母デアリングダンジグは産駒にスーパーダービー-G1のエクトンパーク、武蔵野Sのピットファイターを出していて、4代母インペテュアスギャルもアーリントンメイトロンH-G2勝ちという活躍馬の途切れない活気にあふれたファミリー。父系はシンボリクリスエスUSA、クリスエスを経てロベルトに遡り、母の父キングカメハメハはキングマンボを経てミスタープロスペクターに至る。この両系の組み合わせは1990年代からニックスとして定評のあるところだ。また父の母シーザリオの父スペシャルウィークと祖母の父を経由したサンデーサイレンスUSA4×3にも注目しておくべきで、この近交馬がクラシックに勝てば最初となる。もうそろそろ出るころだろうし、ドゥラメンテやモーリスの産駒がデビューする今年の夏以降は勢力拡大がはっきりしているかもしれない。


2010年生まれの好敵手
キズナ エピファネイア
2010年3月5日、新冠産生年月日、産地2010年2月11日、安平産
ディープインパクト
キャットクイルCAN
Storm Cat
血統:父

母の父
シンボリクリスエスUSA
シーザリオ
スペシャルウィーク



ラジオNIKKEI杯2歳SG3
弥生賞G2
東京優駿G1
大阪杯G2



京都新聞杯G2
ニエル賞G2
毎日杯G3
その他重賞勝ち鞍ジャパンCG1
菊花賞G1
神戸新聞杯G2
L121(3、4歳時)最高レーティングL129(4歳時)
47639.9万円収得賞金(国内のみ)68779.5万円
182頭初年度産駒血統登録157頭
2位種牡馬ランキング※4位
91768.7万円産駒収得賞金59931.4万円
マルターズディオサG2
アブレイズG3
クリスタルブラックG3
ビアンフェG3
ケヴィンL
キメラヴェリテLR
主な産駒
(2、3は入着着順)
デアリングタクトL
ヴァルナG2・3
スカイグルーヴG3・2
シーズンズギフトG3・3
ロールオブサンダーG3・3
※種牡馬ランキングはJBISサーチ2020年4月7日現在、世代別2017年生(2歳時からの合計)

 キズナ産駒の○マルターズディオサはグランドスラム産駒の母トップオブドーラUSAがダート1000mで3勝し、祖母マルターズダイアンは米国産の不出走。3代続きの藤田家のオーナーブリード馬で、5代母ソーシャルコラムの産駒にプリンスオブウェールズS-G2に勝ちわが国で種牡馬となったツータイミングUSAがおり、6代母ミスカーミーの子孫にはCCAオークス-G1などニューヨーク牝馬三冠を達成したクリスエヴァート、ケンタッキーダービー-G1を制した名牝ウイニングカラーズなど多くの活躍馬が出ている。4代目にはストームバード、エルグランセニョール、ヌレエフとノーザンダンサー直仔が並び、前2者はカナダの大オーナーブリーダー・E.P.テイラーの手になる名血。サンデーサイレンスUSA系×ミスタープロスペクター系の柱の周囲をノーザンダンサーで固めている。さらにセクレタリアト5×5とリヴァーマンのナスルーラ血統も隠し味として効果を上げそうだ。

 ▲レシステンシアは合同フリーハンデの2歳時のレーティングが115。2着マルターズディオサを0秒8差で斥けた阪神ジュベナイルフィリーズ-G1におけるこの評価は2008年のブエナビスタと2013年レッドリヴェールの113を上回り2歳牝馬歴代首位となった。それほど強い馬が、前走は単純に考えて阪神ジュベナイルフィリーズ-G1当時より0秒8遅い時計で走って負けているのだから力を出していないというほかなく、ここは巻き返して当然ではある。ダイワメジャー産駒の桜花賞-G1成績はレーヌミノルが8番人気で勝ち、昨年はシゲルピンクダイヤが7番人気2着、2013年のプリンセスジャックは14番人気で3着となった。しかし、14頭が出走して馬券になったのは以上の3頭。圧倒的1番人気だったメジャーエンブレムもここでは4着に敗れている。

 △マジックキャッスルのディープインパクト×シンボリクリスエスUSAの組み合わせは青葉賞-G2のアドミラブルと同じ。母ソーマジックはアネモネSに勝ち桜花賞では3着となった。自身は5番人気だったが、勝ったのが12番人気レジネッタ、2着が15番人気エフティマイアだったため3連単は700万2920円の大波乱となった。フェアリーキング産駒の祖母スーアIREは桜花賞相当レースの伊1000ギニー-G2勝ち馬だから、桜花賞に縁のある牝系。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2020.4.12
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