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季節の変わり目にあるせいか、このレースは道悪になったり逆にレコードが出たりとまず馬場状態の予測が難しい。中京競馬場が改修されたあと、2012年からの8回を見ると下表に示した通りサンデーサイレンスUSA直系の勝ち馬はコパノリチャード1頭。2着もミッキーアイル1頭で3着が3頭いるだけ。他のG1に比べた場合のサンデーサイレンスUSA直系の占有率の低さがこの距離の特殊性を物語っている。サンデーサイレンスUSAの血を母系や父の母系から受けているということでは過半数を超えるが、これも比較的時計がかかる状態になって出番があり、レコード決着の場合などは専門スプリンター血統が強いようにも見える。 |
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○タワーオブロンドンGBは父系が同じゴーンウエスト。よくいえば多芸多才、逆にいえばつかみどころがないゴーンウエスト系でもとりわけその傾向の正統後継者といえるイルーシヴクオリティを経て、父にもその傾向は伝わった。レイヴンズパスは3歳時に英2000ギニー-G1でヘンリーザナヴィゲイターの4着に敗れたあと、セントジェイムズパレスS-G1、ジャンプラ賞-G1、サセックスS-G1とG1で3戦連続2着となったが、夏のグッドウッドでセレブレイションマイル-G2に勝つとアスコットのクイーンエリザベス2世S-G1でヘンリーザナヴィゲイターに雪辱し、サンタアニタのオールウェザー(当時プロライド)で行われたブリーダーズCクラシック-G1に進むと直線で楽々と抜け出してやはりヘンリーザナヴィゲイターに1馬身3/4差をつけた。地域不問、馬場不問、距離不問の特性がタワーオブロンドンにも伝わってスプリント路線で覚醒したということになるのかもしれない。母のスノーパインGBは英国産で仏2勝。その父ダラカニは2003年の凱旋門賞-G1に勝った。サドラーズウェルズ産駒の祖母シンコウエルメスは愛国産の輸入競走馬で1戦未勝利。産駒にステイヤーズS2着のエルノヴァ、孫に皐月賞-G1のディーマジェスティ、サンタラリ賞-G1のソウベツがいる。3代母ドフザダービーの産駒には英ダービー-G1、愛ダービー-G1、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS-G1のジェネラスIRE、マイラーズCのオースミタイクイーンIREらがいて、そのほかにも一族は大繁栄している。 父キングカメハメハを抜いて非サンデーサイレンスUSA系種牡馬の最上位にあるロードカナロアは種牡馬としてはキングカメハメハ的万能型だが、それでもさすがアジアNo.1スプリンターというべきで、今回は産駒4頭を送り込んできた。その中で▲ダノンスマッシュは唯一サンデーサイレンスUSAの血を持たない。だからどうだということはないと思うが、母の父ハードスパンUSAがダンチヒ直仔だからより硬質なスプリンター感を醸し出している。母スピニングワイルドキャットは米1勝だが、祖母のハリウッドワイルドキャットは3歳時にハリウッドオークス-G1、ブリーダーズCディスタフ-G1に勝ち、4歳時にもゲイムリーH-G1に勝ってG13勝を挙げた。産駒のウォーチャントはブリーダーズCマイル-G1に勝ち、種牡馬として南北両半球で成功している。父系がキングカメハメハ、キングマンボを経てミスタープロスペクターに遡り、母の父はダンチヒ系なので、これもミスタープロスペクター×ダンチヒのパターン。父のG1・6勝は4歳秋から5歳暮れにかけてのものだから、5歳の本馬が父に追いつくチャンスはまだ残されている。 △グルーヴィットは3歳7月の時点で古馬相手の中京記念-G3に勝っているのだから素質には非凡なものがありそう。母の父スペシャルウィークは昨年からディアドラ、サートゥルナーリアの活躍があって静かなブームといえないこともない。母スペシャルグルーヴは未勝利、祖母ソニックグルーヴは未勝利ながら、3代母エアグルーヴの名を継いできた。名牝の時代の先駆者ともいえる名競走馬エアグルーヴには、アドマイヤグルーヴ、ルーラーシップ、ドゥラメンテらの子孫を残した名繁殖牝馬としての誉れも高い。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2020.3.29
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