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皐月賞と東京優駿の勝ち馬が出ない菊花賞はさほど珍しいことでもなく、直近ではキタサンブラックが勝った2015年がそうだった。しかし、更に東西の前哨戦である神戸新聞杯(1999年以前の京都新聞杯)とセントライト記念の勝ち馬も出ない例はトラツクオーが勝った1951年まで遡らなければ出現せず、そもそもそのころはセントライト記念はあっても神戸盃も京都盃(それぞれ新聞杯の前身)もなかったので、今回のケースは実質的に史上初めてとなる。春のクラシック馬不在の年を遡ってみると、キタサンブラックと2013年のエピファネイアこそ3歳春までに重賞勝ちがあるが、2010年ビッグウィークは7月に未勝利脱出、2008年オウケンブルースリは8月に1000万条件の阿賀野川特別勝ち、2004年デルタブルースは10月に1000万の九十九里特別勝ちと、菊花賞挑戦の時点で条件馬であることが多い。今回はグレード勝ち馬3頭、リステッド勝ち馬3頭と、クラシック馬不在という以上に、何といいましょうか、あまりレベルが高くない戦いとなった。どんな馬が争覇圏内に飛び込んできても驚けないと考えておく必要がある。 |
| 過去30年の長距離種牡馬ランキング | |||||||||
| 順位 | 種牡馬名 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 勝率 | 連対率 | 3着率 | 主な長距離産駒 |
| 1 | サンデーサイレンスUSA | 12 | 12 | 9 | 98 | 0.092 | 0.183 | 0.252 | ディープインパクト |
| 2 | ステイゴールド | 11 | 5 | 3 | 48 | 0.164 | 0.239 | 0.284 | ゴールドシップ |
| 3 | ダンスインザダーク | 10 | 7 | 8 | 56 | 0.123 | 0.210 | 0.309 | デルタブルース |
| 4 | ブライアンズタイムUSA | 7 | 7 | 2 | 32 | 0.146 | 0.292 | 0.333 | マヤノトップガン |
| 4 | サッカーボーイ | 7 | 2 | 6 | 17 | 0.219 | 0.281 | 0.469 | ヒシミラクル |
| 6 | ハーツクライ | 6 | 14 | 4 | 39 | 0.095 | 0.317 | 0.381 | フェイムゲーム |
| 7 | リアルシャダイUSA | 5 | 10 | 6 | 42 | 0.079 | 0.238 | 0.333 | ライスシャワー |
| 7 | エルコンドルパサーUSA | 5 | 2 | 5 | 28 | 0.125 | 0.175 | 0.300 | ソングオブウインド |
| 7 | メジロティターン | 5 | 1 | 0 | 0 | 0.833 | 1.000 | 1.000 | メジロマックイーン |
| 10 | ディープインパクト | 4 | 10 | 9 | 50 | 0.055 | 0.192 | 0.315 | フィエールマン |
| 10 | オペラハウスGB | 4 | 3 | 1 | 18 | 0.154 | 0.269 | 0.308 | テイエムオペラオー |
| 10 | アドマイヤドン | 4 | 0 | 1 | 7 | 0.333 | 0.333 | 0.417 | アルバート |
| 10 | ホワイトマズルGB | 4 | 0 | 1 | 9 | 0.286 | 0.286 | 0.357 | アサクサキングス |
| 14 | ノーザンテーストCAN | 3 | 5 | 1 | 38 | 0.064 | 0.170 | 0.191 | インターフラッグ |
| 14 | メジロライアン | 3 | 3 | 1 | 19 | 0.115 | 0.231 | 0.269 | メジロブライト |
| 14 | ミルジョージUSA | 3 | 3 | 1 | 20 | 0.111 | 0.222 | 0.259 | ユーセイトップラン |
| 14 | ブラックタイド | 3 | 0 | 0 | 5 | 0.375 | 0.375 | 0.375 | キタサンブラック |
| 1990年以降3000b以上の芝平地重賞成績。産駒の太字は菊花賞馬 | |||||||||
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2歳時から実績のあるもう1頭のハービンジャーGB産駒○ニシノデイジーは、祖母ニシノミライがセイウンスカイ×ニシノフラワー。菊花賞馬×桜花賞馬の西山牧場版夢の配合ということになる。ニシノミライにはフォルリ、ミルリーフ、サムシングロイヤルといった名血に加え、リボーの6×4なども潜んでいて、どこかでスイッチが入れば大仕事ができる。母の父アグネスタキオン、そして父ハービンジャーGBならG1クラスの爆発力を期待していい。 ハーツクライ系の後継というよりも転換点となりそうな存在がジャスタウェイ。なぜか産駒にまだ重賞勝ち馬が出ていないが、このあたりは4歳秋からの急上昇で世界ランキング1位にまで到達した自身もそうだったように、ハーツクライ的な晩成の傾向が出ているのかもしれない。▲ヴェロックスのクラシック2、3着もそういった面が出たためだとすると、ここかこの先かは分からないが、大きな飛躍のときが来る可能性はある。ただ、ドイツ牝系にニジンスキーやチーフズクラウンが入って、母の父もドイツのリーディングサイアー・モンズーンだから底力は十分だが、逆にいえば本格的な上昇には時間がかかるかもしれない。特にチーフズクラウンは意外な重石になることがある。 ルーラーシップは不良馬場の一昨年の勝ち馬キセキを出した菊花賞サイアー。キングカメハメハ×トニービンIRE×ノーザンテーストCANの配合で、しかもトニービンIRE×ノーザンテーストCANの最高峰であるエアグルーヴが母なので、香港のクイーンエリザベス2世カップ-G1のみに終わった現役時のG1タイトル以上のポテンシャルを種牡馬としては備えているだろう。万能のキングマンボ系からは2006年の勝ち馬ソングオブウインドを出しているように、超長距離へ発展する道もある。△ヒシゲッコウは半兄ステルヴィオが昨年のマイルチャンピオンシップ-G1勝ち馬。祖母の産駒にはクランエンブレムとクリーバレンの障害重賞勝ち馬がおり、4代母スイートコンコルドは三冠馬シンボリルドルフの3歳上の全姉。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2019.10.20
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