2018エリザベス女王杯


シンボリクリスエスUSAの第2のピーク

 シンボリクリスエスUSAの初年度産駒がデビューしたのは2007年。それらが4歳を迎えた2009年には種牡馬ランキングで3位となり、その後、首位がマンハッタンカフェ、キングカメハメハ、ディープインパクトと移り変わっても、自身は3、4位の位置を2014年まで守り続けた。2008年にはサクセスブロッケンのジャパンダートダービー、2009年はサクセスブロッケンのフェブラリーS-G1と東京大賞典、2011年アルフレードの朝日杯フューチュリティS-G1、2012年ストロングリターンの安田記念-G1、2013年エピファネイアの菊花賞-G1、2014年同じくエピファネイアのジャパンC-G1とほぼ毎年G1級勝ちも果たしていた。2015年にランキング11位となり、重賞勝ちもミトラの金鯱賞-G2のみとなったが、トップ5から陥落してもトップ20のそれなりの地位で安定していた。2015年の種付けを最後に社台スタリオンステーションからブリーダーズスタリオンステーションに移動し、2016年には重賞勝ち馬も出ずに終わったので、緩やかにピークは過ぎたのかと思われたが、2017年の暮れに大物ルヴァンスレーヴが出現すると、それに触発されたかのように今年は上の世代のサンライズソアやエアアンセムまでもが重賞勝ちを果たし、トップクラスの層の厚さは全盛期に戻った感がある。◎レッドジェノヴァはシンボリクリスエスUSA産駒初の牝馬としての重賞勝ちに挑む。桜花賞3着のソーマジックをはじめ、惜しいオープン馬はたくさんいるのに重賞勝ち牝馬はなぜかまだいないのだ。しかし、第2のピークを迎えつつある今、産駒の傾向にも従来からの変化があると考えても良いのではないか。母のコロンバスサークルは中央5勝の活躍馬で、2600mのオープン特別みなみ北海道S2着やオールカマー-G2の4着がある。その父はホワイトマズルGBだから一発の魅力もある。祖母のマンハッタンフィズは菊花賞馬マンハッタンカフェの全妹。マンハッタンカフェは一昨年にクイーンズリングとシングウィズジョイが1、2着を占めているので、このレースには合った血統といえるし、叔父にあたるクレスコグランドは京都2200mの京都新聞杯-G2に勝った。そのほか祖母の産駒にはクイーンS-G3のアプリコットフィズ、函館記念-G3のダービーフィズらの重賞勝ち馬がいる。ジャパンC-G1のブエナビスタや英ダービー馬スリップアンカー、独ダービー-G1のスタイヴァザントGERと同じ牝系で、7代母シュヴァルツゴルトは1940年の独ダービーに勝った名牝。下表右端の丸印で示したように、父の産駒は母にサンデーサイレンスUSAの血があるのがベター。本馬もそのあたりはしっかり押さえている。


シンボリクリスエスUSA産駒の復権
月日レース距離勝ち馬性齢母の父SS
20083.1アーリントンC芝1600ダンツキッスイ牡3タイキシャトルUSA×
7.9ジャパンダートダービーダ2000サクセスブロッケン牡3サンデーサイレンスUSA
20092.15ダイヤモンドS-G3芝3400モンテクリスエス牡4ラストタイクーンUSA×
2.22フェブラリーS-G1ダ1600サクセスブロッケン牡4サンデーサイレンスUSA
4.11NZT-G2芝1600サンカルロ牡3Crafty Prospector×
5.2青葉賞芝2400アプレザンレーヴ牡3Highest Honor×
9.21エルムS-G3ダ1800マチカネニホンバレ牡4Deputy Minister×
12.29東京大賞典ダ2000サクセスブロッケン牡4サンデーサイレンスUSA
20103.21スプリングS-G2芝1800アリゼオ牡3フジキセキ
10.5白山大賞典ダ2100パワーストラグル牡4アフリートCAN×
10.10毎日王冠-G2芝1800アリゼオ牡3フジキセキ
20112.27阪急杯-G3芝1400サンカルロ牡5Crafty Prospector×
5.14京王SC-G2芝1400ストロングリターン牡5Smart Strike×
9.19エルムS-G3ダ1700ランフォルセ牡5Machiavellian×
12.17阪神C-G2芝1400サンカルロ牡5Crafty Prospector×
12.18朝日杯FS-G1芝1600アルフレード牡2サンデーサイレンスUSA
20123.14ダイオライト記念ダ2400ランフォルセ牡6Machiavellian×
3.25マーチS-G3ダ1800サイレントメロディ牡5サンデーサイレンスUSA
6.3安田記念-G1芝1600ストロングリターン牡6Smart Strike×
12.22ラジオNIKKEI杯2歳S-G3芝2000エピファネイア牡2スペシャルウィーク
12.24阪神C-G2芝1400サンカルロ牡6Crafty Prospector×
20133.9中日新聞杯-G3芝2000サトノアポロ牡5Bering×
9.17セントライト記念-G2芝2200ユールシンギング牡3スペシャルウィーク
9.22神戸新聞杯-G2芝2400エピファネイア牡3スペシャルウィーク
10.20菊花賞-G1芝3000エピファネイア牡3スペシャルウィーク
11.20浦和記念ダ2000ランフォルセ牡7Machiavellian×
20142.13佐賀記念ダ2000ランフォルセ牡8Machiavellian×
3.26名古屋大賞典ダ1900ダノンカモン牡8オジジアンUSA×
3.30マーチS-G3ダ1800ソロル牡4サンデーサイレンスUSA
5.3青葉賞-G2芝2400ショウナンラグーン牡3マンハッタンカフェ
5.11新潟大賞典-G3芝2000ユールシンギング牡4スペシャルウィーク
11.16福島記念-G3芝2000ミトラセン6サンデーサイレンスUSA
11.30ジャパンC-G1芝2400エピファネイア牡4スペシャルウィーク
201512.5金鯱賞-G2芝2000ミトラセン7サンデーサイレンスUSA
201712.13全日本2歳優駿ダ1600ルヴァンスレーヴ牡2ネオユニヴァース
20183.29名古屋大賞典ダ1900サンライズソア牡4スペシャルウィーク
5.19平安S-G3ダ1900サンライズソア牡4スペシャルウィーク
6.17ユニコーンS-G3ダ1600ルヴァンスレーヴ牡3ネオユニヴァース
7.11ジャパンダートダービーダ2000ルヴァンスレーヴ牡3ネオユニヴァース
7.15函館記念-G3芝2000エアアンセム牡7サンデーサイレンスUSA
10.8南部杯ダ1600ルヴァンスレーヴ牡3ネオユニヴァース

 ステイゴールド産駒の4頭はG1勝ちのアドマイヤリード、前年2着のクロコスミアなどすべて5歳。この世代の牝馬がヴィンテージだとすると、まだ実績のないものにも一気にトップに上る力が秘められていると考えることもできる。○コルコバードはここが重賞初挑戦だが、条件戦を3連勝したのちにオープンで2着だから、まだ底を見せたわけではない。母のエンシェントヒルはサカラートを破った仁川Sなどダート7勝の活躍馬。母の父はエンドスウィープUSAだから、アドマイヤリード同様ミスタープロスペクター系との組み合わせを成功させた父の新展開には沿う。祖母アズテックヒルUSAはファンタジーS-G2、ブラックアイドスーザンS-G2など米国の3歳春の牝馬路線の重要G2の勝ち馬。フォーティナイナーUSAの母の父トムロルフ、アズテックヒルUSAの父プラウドトゥルースの父グロースタークを経由して母はリボー5×4の近交となっており、このあたりはステイゴールドとの組み合わせにおいて大きな爆発力につながる可能性がある。

 昨秋の淀でG1・3勝の固め勝ちを果たしたハービンジャーGB産駒。種牡馬ランキングも2016年13位、2017年8位、今年は11月6日現在で6位とこのままトップ10に定着しそうだ。▲ノームコアはシンザン記念のフサイチエアデール、朝日杯フューチュリティSのフサイチリシャール、クイーンCのライラプスらが出る牝系。クロフネ産駒の母の血統はイトコのフサイチリシャールと実質同じ構成となる。初めてのG1でも格負けすることはない。

 牝馬限定G1でディープインパクト産駒がわずか2頭というのも珍しいが△カンタービレは同い年の英2000ギニー勝ち馬サクソンウォリアーと同じディープインパクト×ガリレオの最先端配合。サクソンウォリアーは尻すぼみになってしまったが、牝馬のこちらはまだまだ伸びる余地大。仏ダービー馬ポリテンの出る欧州色の濃い牝系でもあり、距離が延びるのもプラスに作用しそう。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2018.11.11
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