2018JBCクラシック


黄金世代はどれだ

 3歳で古馬混合の重賞に勝つのは簡単なことではなくて、ダートの場合は重賞の数そのものが少ないところに古豪がひしめいているので、印象としては芝以上に難しいように思える。1995年以降に3歳以上の重賞に勝った3歳馬を下表に示した。短距離なら比較的早い時期から勝つこともできるが、さすがにG1級となるとその時代を代表する名馬が並ぶ。アドマイヤドンとゴールドアリュールの1999年生まれ、カネヒキリとヴァーミリアン、アジュディミツオーが揃った2002年生まれなどは黄金世代と呼んでいい。2015年生まれの今年の3歳馬は10月終了時点でマイルチャンピオンシップ南部杯のルヴァンスレーヴを筆頭に古馬相手の重賞に既に3勝を挙げた。10月末に3勝を達成したのはこれまでカネヒキリ世代だけ。勝利数ではタイだが、南部杯も含むこの世代は質の面ではむしろ上。13年ぶりの黄金世代となる可能性がある。2015年生まれ代表として出走してきた◎オメガパフュームは母の父がゴールドアリュール。父としてのゴールドアリュールはこれまでJBCクラシック2勝、JBCスプリント2着のコパノリッキー、JBCクラシック2勝のスマートファルコン、JBCスプリントのエスポワールシチー、JBCレディスクラシックのララベル、JBCクラシック2着のクリソライトを送り出してきた。2017年2月に急死したが、それと入れ替わるように直仔スマートファルコン、エスポワールシチーらの産駒がデビューして活躍し、父系としての将来には展望が開けている。母の父としても2015年生まれからハービンマオが登場し、関東オークスを制して娘の産駒として最初の重賞勝ちを果たした。父のスウェプトオーヴァーボードUSAはスプリンターズS-G1・2勝のレッドファルクス、アイビスサマーダッシュ-G3のパドトロワ、ジェファースンカップS-G2のフロレンティーノ、兵庫チャンピオンシップのエーシンブランなどを出して成功しており、特に産駒の適性の多様さはエンドスウィープUSA系らしいところだろう。父系はエンドスウィープUSAからフォーティナイナーUSAを経てミスタープロスペクターに遡る。ミスタープロスペクター系とサンデーサイレンスUSA系の組み合わせとそのバリエーションは現代日本の先端モードのひとつで、活躍の場は特にダートに限らないが、ヴァーミリアンはミスタープロスペクター系種牡馬(エルコンドルパサーUSA)とサンデーサイレンスUSAの組み合わせであり、コパノリッキーはその反対で、サンデーサイレンスUSA系種牡馬(ゴールドアリュール)にミスタープロスペクター系(ティンバーカントリーUSA)牝馬だった。祖母のビューティーメイクはリアルシャダイUSA産駒らしく芝の中長距離で活躍し、全7勝のうちドンカスターSなど6勝を芝の2400〜2500mで挙げた。孫には愛知杯-G3のエテルナミノル(現役)、北海道スプリントC2着のマルカバッケンらの活躍馬が出ている。この父の産駒として2000mで活躍できているのは、土台としてのビューティーメイクの存在が大きい。


3歳馬による古馬ダート重賞勝ち
(1995年以降)
月日レース名距離勝ち馬
199511.4根岸S1200ヤングエブロス
19968.13クラスターC1200トキオクラフティーUSA
9.26東京盃1200トキオクラフティーUSA
11.2根岸S1200ストーンステッパー
12.14ウインター2300トーヨーシアトル
19976.12北海道スプリントC1000メイショウモトナリ
11.9根岸S1200ワシントンカラー
12.6シリウスS1400トーヨーレインボー
199912.11シリウスS1400ゴールドティアラUSA
200010.25クイーン賞1800プリエミネンス
12.9シリウスS1400マイネルブライアン
200110.27武蔵野S1600クロフネUSA
11.24JCダート2100クロフネUSA
200210.2クイーン賞1800ビーポジティブ
11.4JBCクラシック2000アドマイヤドン
12.23名古屋グランプリ2500アッパレアッパレ
12.29東京大賞典2000ゴールドアリュール
200311.1武蔵野S1600サイレントディール
20049.4エルムS1700パーソナルラッシュUSA
12.1浦和記念2000モエレトレジャー
12.23名古屋グランプリ2500ワイルドソルジャー
12.28兵庫ゴールドT1400シーキングザダイヤUSA
20058.16サマーチャンピオン1400アグネスジェダイ
10.5東京盃1200アグネスジェダイ
10.29武蔵野S1600サンライズバッカス
11.26JCダート2100カネヒキリ
11.30浦和記念2000ヴァーミリアン
12.29東京大賞典2000アジュディミツオー
20067.5スパーキングLC1600レマーズガールUSA
11.25JCダート2100アロンダイト
20079.29シリウスSGV2000ドラゴンファイヤー
12.5クイーン賞1800ホワイトメロディー
200810.7白山大賞典2100スマートファルコン
11.8武蔵野SGV1600キクノサリーレ
11.26浦和記念2000スマートファルコン
12.25兵庫ゴールドT1400スマートファルコン
20097.15スパーキングLC1600ラヴェリータUSA
10.3シリウスSGV2000ワンダーアキュート
11.3JBCスプリント1400スーニUSA
11.7武蔵野SGV1600ワンダーアキュート
11.25浦和記念2000ブルーラッド
201012.8クイーン賞1800ミラクルレジェンド
201112.7クイーン賞1800クラーベセクレタ
201211.11武蔵野SGV1600イジゲンUSA
12.5クイーン賞1800レッドクラウディア
20139.28シリウスSGV2000ケイアイレオーネ
201511.3JBCレディスC1800ホワイトフーガ
11.14武蔵野SGV1600ノンコノユメ
12.9クイーン賞1800ディアマイダーリン
201610.4白山大賞典2100ケイティブレイブ
11.22浦和記念2000ケイティブレイブ
20177.6スパーキングLC1600アンジュデジール
10.5レディスプレリュード1800クイーンマンボ
12.10カペラSGV1200ディオスコリダー
20189.29シリウスSGV2000オメガパフューム
10.2白山大賞典2100グリム
10.8南部杯1600ルヴァンスレーヴ
11.3JBCクラシック1900 

 短距離を除いて3歳のうちに古馬相手の重賞に2勝以上しているのはクロフネUSA、スマートファルコン、ワンダーアキュート、ケイティブレイヴの4頭。いずれものちにG1/JpnT勝ちを果たしているので、能力を測る指標としてはかなり信頼性が高い。○ケイティブレイブはサンデーサイレンスUSA系スプリンターで高松宮記念に勝ったアドマイヤマックスの産駒。これまでアドマイヤマックスには根岸Sのメイショウマシュウなどがいたが、大物はこれが初めて。母の父サクラローレルにとってもやはり初めての大物で、このあたりはダート路線ならではの血統ビックリ箱が開いた形といえる。ビーマイゲスト産駒の祖母ビーマイファイアIREには直仔にガーネットSなどダート重賞8勝のビーマイナカヤマ、ニュージーランドT2着のマイネルフォーグ、きさらぎ賞のマイネルブルックらの活躍馬がいる。5代母グラマーの子孫にはウッドマンやプライヴェイトアカウントがおり、6代母ストライキングからベイビーリーグを経てラトロワンヌへと遡る名門。

 ▲アポロケンタッキーUSAは1年と11カ月ぶりの中央出走だが、京都ダートではみやこS-G3勝ちなど2戦1勝2着1回の成績を残す。父ラングフールを経てダンチヒ、母の父ゴーンウエストを経てミスタープロスペクター、祖母の父ソルトレイクを経てデピュティミニスターと米国の主流血脈を今どきとしては近い世代から受けている。父のラングフールはヴォスバーグS-G1、カーターH-G1、メトロポリタンH-G1など米G1に3勝を挙げたスプリンターに近いマイラーだが、種牡馬としては万能といえる成績を残したし、母の父ゴーンウェストもミスタープロスペクター系随一の万能型。

 △センチュリオンは4代母で新潟3歳S勝ち馬ダイナエイコーンからユートピア牧場〜大東牧場のセレタGBへと遡る古い名門牝系の出身。そこにキングカメハメハ×ホワイトマズルGB×サンデーサイレンスUSAの最新血統を載せた。キングマンボ〜ミスタープロスペクター系とサンデーサイレンスUSAの成功パターンの間にホワイトマズルGBを挟んだ形。ダンシングブレーヴUSAの底力が一発につながるかもしれない。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2018.11.4
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