2018フェブラリーS


ゴールドラッシュ余波

 2017年のダート戦線はゴールドアリュールの猛攻によって記憶されるべき年で、フェブラリーS-G1、チャンピオンズC-G1を産駒のゴールドドリームが、東京大賞典-G1をコパノリッキーが制して3つのパート1G1を独占したばかりか、コパノリッキーはかしわ記念、南部杯のJpn1・2勝を加えG1/Jpn1・11勝の新記録とともに種牡馬入りし、牝馬ではララベルがJBCレディスクラシックを、ワンミリオンスがエンプレス杯とTCK女王盃を制し、3歳ではヒヤシンスS勝ちのエピカリスが海外遠征に出掛けている間にサンライズノヴァがユニコーンS-G3に勝つなどした。また、グレイスフルリープはコリアスプリントに勝って海外遠征を成功させて暮れの兵庫ゴールドTにも勝ち、ベテランのクリソライトはダイオライト記念、晩成のメイショウスミトモはシリウスS-G3と名古屋グランプリに勝った。週刊競馬ブック1月22日発行号「合同フリーハンデ2017〜3歳以上ダートランキング」における藤井正弘さんの計算では、国内のダートでの獲得賞金にグレイスフルリープのコリアスプリント勝利、クリソライトのコリアカップ2着、それに先立つエピカリスのUAEダービー2着の賞金を合わせると、2017年ゴールドアリュール産駒の国内外のダートコースにおける獲得総賞金は24億1043万円になり、これは国内供用種牡馬のダートコース年間獲得賞金レコードだという。そのような異常ともいえる勢いが年が替わっても持続するのかというと、コパノリッキーが引退してもゴールドドリームをはじめ昨年の重賞勝ち馬4頭がここに出走してきたのだから、答えはイエスというべきだろう。下表にフェブラリーS-G1、チャンピオンズC-G1(JCダート-G1)、G1となった2011年以降の東京大賞典-G1におけるゴールドアリュール産駒の成績を示したが、一度一線級に上がると息の長い活躍を続けるのはゴールドアリュール産駒に限らずダートの一流馬に共通の傾向。また、スマートファルコンの9連勝のような快記録がある一方で、勝ったり負けたりを繰り返すことで深刻な消耗を免れるのもダート重賞戦線ならではといえる。ゴールドアリュール産駒代表のゴールドドリームが母系から受けたデピュティミニスターはサクセスブロッケンが勝った2009年など1〜3着馬すべての母系に入っていたこのレースにおける重要血脈。祖母の父は名馬コックスリッジ、3代母は仏グランクリテリウム-G1勝ち馬ジェイドロバリーUSAの全妹という良血。昨年の勝ち馬でもあって、G1・3勝目がかかると大変信頼性が高そうだが、成績が示すとおり実際にはちょくちょく負ける。このあたりはエスポワールシチーやコパノリッキーに通じる部分で、負けたからといって評価が下がるわけでもなく、年度末には帳尻が合っているという、そんな成績で長期政権を続けるのではないだろうか。今回は

 には同じゴールドアリュール産駒で1歳下のサンライズノヴァを抜擢。コパノリッキーと同じヤナガワ牧場の生産馬で、叔父サンライズバッカスは2007年のこのレースの勝ち馬。母は園田で4勝。母の父サンダーガルチUSAはケンタッキーダービー-G1とベルモントS-G1に勝った米2冠馬で、その半弟バトルラインUSAは1997年のこのレースで3着となった。祖母リアルサファイヤはフラワーCなど3勝を挙げ、3代母ワールドサファイヤの曾孫には日本テレビ盃のマコトスパルビエロがいる。ゴールドアリュールとミスタープロスペクター系の母の父の組み合わせはコパノリッキーやララベル、クリソライト、グレイスフルリープらと共通しており、サンダーガルチUSA〜ガルチの系統は波の大きいミスタープロスペクター系にあっても特に波が大きく、重賞勝ちに至っている以上、良い方の波に乗っていると考えられ、それだけにガルチ系の破壊力がG1の舞台でものをいう可能性がある。


ダートG1における
ゴールドアリュール産駒
年度レース馬名性齢着順人気
2009フェブラリーSエスポワールシチー牡445
JCダートエスポワールシチー牡411
2010フェブラリーSエスポワールシチー牡511
JCダートオーロマイスター牡5119
2011フェブラリーSオーロマイスター牡6128
JCダートエスポワールシチー牡632
フリソ牡51313
東京大賞典スマートファルコン牡611
2012フェブラリーSシルクフォーチュン牡624
エスポワールシチー牡753
JCダートエスポワールシチー牡7102
東京大賞典エスポワールシチー牡745
2013フェブラリーSエスポワールシチー牡829
シルクフォーチュン牡755
JCダートエスポワールシチー牡874
クリソライト牡3158
2014フェブラリーSコパノリッキー牡4116
シルクフォーチュン牡8159
チャンピオンズCコパノリッキー牡4121
クリソライト牡4146
東京大賞典コパノリッキー牡422
クリソライト牡485
2015フェブラリーSコパノリッキー牡511
レッドアルヴィス牡4149
シルクフォーチュン牡91516
チャンピオンズCコパノリッキー牡571
東京大賞典コパノリッキー牡542
2016フェブラリーSコパノリッキー牡674
チャンピオンズCメイショウスミトモ牡51114
ゴールドドリーム牡3122
コパノリッキー牡6133
ブライトアイディア牡61415
東京大賞典コパノリッキー牡653
2017フェブラリーSゴールドドリーム牡412
コパノリッキー牡7146
チャンピオンズCゴールドドリーム牡418
コパノリッキー牡739
メイショウスミトモ牡61415
東京大賞典コパノリッキー牡713

 クロフネUSA産駒はまじめにいつも全力で走るぶん、▲テイエムジンソクなどもここ一番で要領の良いゴールドアリュール産駒に勝利をかすめとられたりするわけだが、東京のダートはクロフネUSAがその競走生活の最後に大パフォーマンスを2度続けた舞台。これまで牝馬に大物が多かった父にとっては正統後継たる待望の牡馬のダートの大物でもある。母マイディスカバリーはダート1000mで3勝を挙げたのみだが、フォーティナイナーUSA×ダンシングブレーヴUSA×アリダー系クリミナルタイプUSAという男性的な配合で、このあたりでダートの名馬としてのクロフネUSAらしさが強調されているようにも見える。4代母マイジュリエットはヴォスバーグH-G2など米重賞6勝の活躍馬だが、その競走成績以上に繁殖成績が優れていて、子孫にはシュヴィーH-G1のティズジュリエット、エイコーンS-G1のステラマドリッドらの米G1勝ち馬、阪神牝馬Sのダイヤモンドビコー、マイルチャンピオンシップ-G1のミッキーアイルなど日本での活躍馬がいる。この距離は初めてだが、ホエールキャプチャ、フサイチリシャール、クラリティスカイ、アエロリットなど父の産駒に芝1600mのスペシャリストが多いことを考えれば大きな問題とはならないだろう。

 △サウンドトゥルーはクロフネUSAと同じフレンチデピュティUSA産駒。昨年のこのレース以来1年ぶりの1600m戦であり、その昨年が8着だから人気を落とすのも無理はないが、当時は出遅れた上に直線で前が壁になって0秒6差なら悪くない。祖母キョウエイヨシノは貴船Sなどダート1400mでときに強烈な追い込みがあった。

 もう1頭のゴールドアリュールの牡馬メイショウスミトモは2007年のユニコーンS勝ち馬ロングプライドの半弟で、伯父にはフェブラリーSとJCダートに勝った最初の馬ウイングアローがいる。血統背景だけを見れば、実績のない東京1600mが実は最適となる。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2018.2.18
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