2017秋華賞


曾孫世代の時代はすぐそこ

 サンデーサイレンスUSA系では初年度産駒で3歳春から種牡馬入りしたフジキセキが何かにつけて先駆者となる。フジキセキの2年目の産駒でスプリングS勝ち馬ダイタクリーヴァが種牡馬として送り出したブライティアパルスは2010年のマーメイドS-G3勝ち馬で、これがサンデーサイレンスUSAの直系曾孫として初めてのグレード競走勝ち馬となった。その後はなぜか間があって、2012〜2015年生まれから続々と重賞勝ち馬が現れるようになった。レース施行時でいうと2015年の春以降、ここ3年ほどのことだ。サンデーサイレンスUSA後継種牡馬群の争いは、種牡馬の父としての争いのフェーズに入ったということで、ここで先行しているのはネオユニヴァースであり、3頭の後継種牡馬が重賞勝ち馬を送り、そのうちヴィクトワールピサはジュエラーの桜花賞-G1でG1サイアーとなった。ネオユニヴァースより2年あとに生まれたディープインパクトは、競走馬時代にせよ種牡馬入りしてからにせよ、いつも先行して実績を残すネオユニヴァースに追いつけ追い越せでここまできており、夏にはディープブリランテに、秋にはトーセンホマレボシに重賞勝ち産駒が現れた。いずれも初年度産駒から重賞勝ち馬が出たことになるわけで、ネオユニヴァースに置いていかれる事態は避けられることになった。
 そういった世代交代の流れを受けてか、多くのG1で最大派閥を形成するディープインパクト産駒が今回は3頭の出走でダイワメジャーと並び、あとはクロフネUSA、ハービンジャーGB、ハーツクライ、そして息子のディープブリランテの産駒が2頭ずつという構成になった。少し時代が動き出している兆しかもしれないし、そういった変化は牝馬限定戦に現れやすいという場合もある。そういったかすかな頼りない流れに乗り、ここはディープブリランテ産駒の無敗馬◎リカビトスの大駆けに期待してみたい。母のエンシェントヒルはダート1800mで追い込みを武器に未勝利からオープン特別のトパーズSまで4連勝。その後もダート1800mのオープン特別3勝を上乗せした。重賞勝ちこそないが、エンドスウィープUSA産駒らしい決め手を備えていて、出遅れて差し切るレースぶりは娘にもよく伝わっているようだ。祖母アズテックヒルUSAはファンタジーS-G2、ブラックアイドスーザンS-G2に勝ち、いわば米牝馬クラシック前哨戦の活躍馬。その父プラウドトゥルースはBCクラシック-G1勝ち馬。第2回だから今から32年前になる。ゲートダンサーやターコマン、チーフズクラウンらを破った。これがグロースターク直仔なので、エンドスウィープUSAの父フォーティナイナーUSAの母の父トムロルフを経由したリボーの5×4となる。これは初のG1挑戦を突破する秘密兵器となりうる。エンドスウィープUSA×サンデーサイレンスUSAのアドマイヤムーンとは天地逆の構成となるが、それに通じる破壊力を秘めていそう。


大種牡馬サンデーサイレンスUSA系4代目の活躍
サンデーサイレンスUSA 1986-2002年(1995-2007年チャンピオンサイアー)
  フジキセキ 1992
  | ダイタクリーヴァ 1997
  | | ブライティアパルス(牝、2005、マーメイドS-G3)
  | カネヒキリ 2002
  | | ミツバ(牡、2012、マーキュリーC)
  | | ロンドンタウン(牡、2013、コリアC、エルムS-G3、佐賀記念)
  | キンシャサノキセキ 2003
  | | シュウジ(牡、2013、阪神C-G2、小倉2歳S-G3)
  | | モンドキャンノ(牡、2014、京王杯2歳S-G2)
  | | カシアス(牡、2015、函館2歳S-G3)
  | ダノンシャンティ 2007
  |   スマートオーディン(牡、2013、京都新聞杯-G2)
  |   サイタスリーレッド(牡、2013、オーバルスプリント)
  ステイゴールド 1994
  | オルフェーヴル 2008
  |   ロックディスタウン(牝、2015、札幌2歳S-G3)
  スペシャルウィーク 1995
  | リーチザクラウン 2006
  |   キョウヘイ(牡、2014、シンザン記念-G3)
  アグネスタキオン 1998
  | アドマイヤオーラ 2004
  | | クロスクリーガー(牡、2012、兵庫チャンピオンシップ、レパードS-G3)
  | | ノボバカラ(牡、2012、プロキオンS-G3、カペラS-G3、かきつばた記念)
  | ディープスカイ 2005
  |   モルトベーネ(牡、2012、アンタレスS-G3)
  |   タマノブリュネット(牝、2012、レディスプレリュード)
  |   キョウエイギア(牡、2013、ジャパンダートダービー)
  |   サウンドスカイ(牡、2013、全日本2歳優駿、兵庫チャンピオンシップ)
  マンハッタンカフェ 1998
  | ジョーカプチーノ 2006
  |   ジョーストリクトリ(牡、2014、ニュージーランドT-G2)
  ネオユニヴァース 2000
  | アンライヴァルド 2006
  | | トウショウドラフタ(牡、2013、ファルコンS-G3)
  | ヴィクトワールピサ 2007
  | | ジュエラー(牝、2013、桜花賞-G1)
  | | コウソクストレート(牡、2014、ファルコンS-G3)
  | | Warring States(牡、2014、ヴァファリアンクラシック独-G3)
  | トーセンファントム 2007
  |   ブレイブスマッシュ(牡、2013、サウジアラビアロイヤルC-G3)
  ハットトリック 2001
  | Dabirsim 2009
  |   Different League(牝、2015、アルバニーS英-G3)
  ディープインパクト 2002
    ディープブリランテ 2009
    | ゼダブリランテス(牡、2014、ラジオNIKKEI賞-G3)
    トーセンホマレボシ 2009
      ミッキースワロー(牡、2014、セントライト記念-G2)

 ○レーヌミノルの父ダイワメジャーの産駒には1800mまでの重賞勝ち馬しかおらず、母の父タイキシャトルの産駒による重賞勝ちの最長距離はディアチャンスが勝ったマーメイドSの2000m。祖母のプリンセススキーは1600mの3歳牝馬S(阪神)勝ち馬で、その父ロイヤルスキーUSAの代表産駒アグネスフローラは桜花賞に勝ったが優駿牝馬では2着に敗れた。ギリギリでセーフかアウトかというと後者であろうかとは思われるが、このようなギリギリ感は逆に魅力的でリスクを冒す価値がある。父は天皇賞(秋)に勝ち、その妹のダイワスカーレットは父がアグネスタキオンなのでロイヤルスキーUSAも入っているわけだが、超ハイレベルな10年前のこのレースに勝った。

 ハービンジャーGB産駒は春にペルシアンナイトが皐月賞-G1・2着、モズカッチャンが優駿牝馬-G1・2着とジワジワとG1制覇に近付いてきており、速い時計の決着にも対応するなど初期の産駒に比べると活躍の場を広げてきた。▲ディアドラは3代母ソニックレディが愛1000ギニー-G1、サセックスS-G1などに勝ったマイルの名牝で、祖母の子孫には東京優駿のロジユニヴァースなど活躍馬多数。この牝系にこの父なら、恐らく道悪は鬼だろう。

 ロジユニヴァースといえば母の父ケープクロス、父系祖父サンデーサイレンスUSAという点で共通するのが☆カリビアンゴールド。母サバナパディーダIREはウインザーフォレストS-G2など英仏重賞3勝。G1クイーンエリザベスU世Sでも3着となった。この3歳に続く現2歳が実質的なラストクロップとなった大種牡馬ステイゴールド。残された産駒の一撃に要注意。

競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2017.10.15
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