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NHKマイルC21年の歴史を振り返ると、シーキングザパールUSA、エルコンドルパサーUSA、クロフネUSAらクラシックを締め出された外国産競走馬のスーパースターの時代を経て、キングカメハメハからディープスカイまでのNHKマイルC〜東京優駿の新しい2冠の概念の誕生、それと並行して牝馬にとっては桜花賞との2冠あるいはそこからの巻き返しの場となっていたり、いろいろな役割を果たしてきたことが分かる。どうしても春の大目標という形にはなりにくいせいか、勝ち馬は超大物かそれほどでもないかの差がはっきりとしており、それぞれ年度末のレーティングも触れ幅が激しい。エルコンドルパサーUSAやクロフネUSAといった超G1級を含めても、平均すると(牝馬は4点プラス)、皐月賞に劣り、桜花賞にもやや劣るというこのレースの地位が見えてくる。ディープインパクトを中心としたサンデーサイレンスUSA系が中長距離に強く、そのカテゴリーの層が厚くなるのは当然としても、このまま勝ち馬のレーティングが114前後で推移することが続くようだとG1の格が危うくなってくる。もっとも、グレード制の仕組みとして、いったんG1になるとなかなか降格はされないので、この部門に関してじっくりと腰を据えた長期的な振興策を練るべき局面ではあるだろう。マイルは競馬の基本といえる距離であるし、ここで底上げが可能なら、古馬のこのカテゴリーもそれにつれてレベルアップがかなうだろう。 |
| NHKマイルCなど勝ち馬の年度末レーティング | ||||||||||
| 年 | NHKマイルC勝ち馬 | 性 | R | 人気 | 桜花賞馬 | R | 人気 | 皐月賞馬 | R | 人気 |
| 2016 | メジャーエンブレム | 牝 | 112 | 1 | ジュエラー | 112 | 3 | ディーマジェスティ | 120 | 8 |
| 2015 | クラリティスカイ | 牡 | 114 | 3 | レッツゴードンキ | 112 | 5 | ドゥラメンテ | 121 | 3 |
| 2014 | ミッキーアイル | 牡 | 114 | 1 | ハープスター | 117 | 1 | イスラボニータ | 117 | 2 |
| 2013 | マイネルホウオウ | 牡 | 113 | 10 | アユサン | 110 | 7 | ロゴタイプ | 117 | 1 |
| 2012 | カレンブラックヒル | 牡 | 117 | 1 | ジェンティルドンナ | 122 | 2 | ゴールドシップ | 124 | 4 |
| 2011 | グランプリボス | 牡 | 114 | 1 | マルセリーナ | 110 | 2 | オルフェーヴル | 123 | 4 |
| 2010 | ダノンシャンティ | 牡 | 115 | 1 | アパパネ | 112 | 1 | ヴィクトワールピサ | 121 | 1 |
| 2009 | ジョーカプチーノ | 牡 | 112 | 10 | ブエナビスタ | 117 | 1 | アンライバルド | 116 | 3 |
| 2008 | ディープスカイ | 牡 | 121 | 1 | レジネッタ | 108 | 12 | キャプテントゥーレ | 114 | 7 |
| 2007 | ピンクカメオ | 牝 | 107 | 17 | ダイワスカーレット | 115 | 3 | ヴィクトリー | 114 | 7 |
| 2006 | ロジック | 牡 | 111 | 3 | キストゥヘヴン | 108 | 6 | メイショウサムソン | 117 | 6 |
| 2005 | ラインクラフト | 牝 | 112 | 2 | ラインクラフト | 112 | 2 | ディープインパクト | 124 | 1 |
| 2004 | キングカメハメハ | 牡 | 117 | 1 | ダンスインザムード | 112 | 1 | ダイワメジャー | 113 | 10 |
| 2003 | ウインクリューガー | 牡 | 110 | 9 | スティルインラブ | 113 | 2 | ネオユニヴァース | 117 | 1 |
| 2002 | テレグノシス | 牡 | 114 | 4 | アローキャリー | 107 | 13 | ノーリーズン | 115 | 15 |
| 2001 | クロフネUSA | 牡 | 125 | 1 | テイエムオーシャン | 112 | 1 | アグネスタキオン | 116 | 1 |
| 2000 | イーグルカフェUSA | 牡 | 113 | 2 | チアズグレイス | 109 | 6 | エアシャカール | 115 | 2 |
| 1999 | シンボリインディUSA | 牡 | 114 | 6 | プリモディーネ | 110 | 4 | テイエムオペラオー | 119 | 5 |
| 1998 | エルコンドルパサーUSA | 牡 | 126 | 1 | ファレノプシス | 110 | 3 | セイウンスカイ | 118 | 2 |
| 1997 | シーキングザパールUSA | 牝 | 110 | 1 | キョウエイマーチ | 112 | 1 | サニーブライアン | 115 | 11 |
| 1996 | タイキフォーチュンUSA | 牡 | 119 | 4 | ファイトガリバー | 110 | 10 | イシノサンデー | 113 | 4 |
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血統的にはほかのG1に比べて多様な系統が活躍している。2勝を挙げた種牡馬はフレンチデピュティUSA、アグネスタキオン、ダイワメジャー、キングマンボの4頭。フレンチデピュティUSAの直仔クロフネUSAは自身が勝ち馬の1頭であり、種牡馬としても一昨年の勝ち馬クラリティスカイと2着馬2頭を送っているので、フレンチデピュティUSA〜クロフネUSAの父仔は第一に注目すべき。アエロリットは父がクロフネUSAで母の父がクイーンエリザベス2世C-G1勝ち馬ネオリアリズムの父ネオユニヴァース、イトコには2014年の勝ち馬ミッキーアイルがいる。祖母のアイルドフランスUSAはミネルヴ賞-G3に勝ち、米国でもヒルズボローH-G3に勝った。3代母ステラマドリッドUSAはエイコーンS-G1などG14勝を挙げた。同期にゴーフォーワンドという超名牝がいてこの成績だからこちらも名牝といえる。娘のダイヤモンドビコーはローズS、阪神牝馬Sなど重賞4勝、孫のライラックスアンドレースUSAはアシュランドS-G1に勝ち、同マキャヴィティは兵庫ジュニアグランプリで2着となった。4代母のマイジュリエットも牡馬相手のヴォスバーグH-G2などを含め6つの米重賞に勝ち、産駒ティズジュリエットはシュヴィーH-G1に勝った。このように血統的背景は文句のないものだが、ひとつ重箱の隅をつつくような懸念材料を挙げると、全体として牝馬に活躍馬の多いクロフネUSAも、このレースに限ればクラリティスカイ以外に2着のインパルスヒーローもブラックシェルもいずれも牡馬だったという点。これまで牝馬は出走自体が1度しかないので、データとしての信頼性には乏しいが、東京1600mはクロフネUSA牝馬のスピードとは違うものが求められるという面はあるかもしれない。○。 ▲アウトライアーズは父が昨年の桜花賞馬ジュエラーと同じヴィクトワールピサで母の父はフレンチデピュティUSA。ヴィクトワールピサがドバイワールドC-G1に勝ち、先週またネオリアリズムが香港で勝っているように、ネオユニヴァースにはディープインパクトのような繊細な切れ味はなくとも世界で勝負できるような馬力がある。皐月賞号のこの欄の繰り返しになるが、母は繁殖牝馬としてのフレンチデピュティUSAの娘として理想的なダートの短距離で活躍した条件馬で、東京ダート1400mの西湖特別(1000万下)は追い込んで2着に4馬身差をつける派手なものだった。祖母リュドゥパームUSAはデルマーデビュターントS-G2勝ち馬で、牡馬相手のデルマーフューチュリティ-G1では2着となった。これら母系の影響が今のところ優勢だとすると、距離短縮で変わり身があって驚けない。 フランケルは14戦無敗、競走生活終盤の4歳後半には10Fでもけた外れの強さを示したが、やはり怪物の怪物たるゆえんは3歳春のマイル戦、英2000ギニー-G1で見せた衝撃的な6馬身差圧勝だろう。その娘△ミスエルテは母ミスエーニョUSA、祖母マッドキャップエスカペイドともに米G1勝ち馬という良血を見直すべき。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2017.5.7
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