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サンデーサイレンスUSA産駒として初めて高松宮記念で2着となったのが2000年のディヴァインライト。4世代目の産駒が5歳となって初めてスプリントの大レースで連対を果たした。ビリーヴがスプリンターズSに勝つのは2002年、4歳時のことだから、こちらは7世代目、サンデーサイレンスUSAの産駒デビューから9年目の秋にようやく短距離の頂点を極めるのに成功したことになる。その後継者であるディープインパクトの種牡馬成績は、時代の違いによって種付け数や産駒数が倍ほどにもなっているにしても、重賞勝ち馬頭数の累計などを比較すれば父以上に優秀だといえる(表1)。ただ、ごく初期からプライムステージやサイキョウサンデーなど世代限定の芝1200mの重賞勝ち馬を送っていたサンデーサイレンスUSAに比べると、ディープインパクト産駒はスプリント部門への参入そのものが遅れており、ここでの目立つ戦果は4世代目の産駒レッドオーヴァルが4歳時に2014年スプリンターズSで3着となったことと、同じ世代のウリウリが2015年CBC賞で初めて重賞勝ちを収めたことだろう(表2)。当時未知の部分がまだあったサンデーサイレンスUSA以上に、最初からスプリンターとして買われることも育てられることもほぼないので、この部門でトップを争える勢力が育つにはこれくらいの時間が必要だったのかもしれない。 |
| 表1) 仔と父の種牡馬成績比較 | |||||||||
| ディープインパクト | サンデーサイレンス | ||||||||
| 種付け 年度 | 血統登 録頭数 | 出走 頭数 | 勝馬 頭数 | 重賞勝 馬頭数 | 種付け 年度 | 血統登 録頭数 | 出走 頭数 | 勝馬 頭数 | 重賞勝 馬頭数 |
| 2007 | 147 | 131 | 85 | 13 | 1991 | 67 | 59 | 47 | 12 |
| 2008 | 159 | 147 | 87 | 17 | 1992 | 66 | 61 | 42 | 7 |
| 2009 | 117 | 113 | 80 | 10 | 1993 | 72 | 64 | 47 | 5 |
| 2010 | 137 | 131 | 81 | 11 | 1994 | 95 | 87 | 56 | 9 |
| 2011 | 147 | 134 | 71 | 9 | 1995 | 125 | 112 | 67 | 11 |
| 2012 | 153 | 137 | 90 | 11 | 1996 | 154 | 139 | 98 | 12 |
| ※JBISサーチによる。出走頭数以下は中央平地のみを集計(9月25日現在) | |||||||||
| 表2) ディープインパクト産駒の芝1200m重賞成績 | ||||
| 年度 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 |
| 2012 | G3 | G3 | ||
| 2013 | G3 | G3、G3 | G2、G3、G3 | |
| 2014 | G3 | G1 | G1、G1、G3、G3、G3、G3、G3 | |
| 2015 | G3、G3、G3 | G2 | G1、G2、G3 | G1、G1、G1、G1、G3、G3、G3、G3、G3、G3 |
| 2016 | G3 | G1 | G1、G1、G2、G3、G3、G3 | |
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○サトノルパンは半兄にデイリー杯2歳S-G2のリディル、同じくクラレント、マイラーズC-G2のレッドアリオン、全妹にエルフィンSのレッドアヴァンセがいる。ダンシングブレーヴUSA産駒の母エリモピクシーはオープンで活躍し、その全姉はエリザベス女王杯に勝ったエリモシック。米国産の3代母デプグリーフUSAに遡るこの牝系からは菊花賞2着のパッシングサイアー、金鯱賞のパッシングパワー、日経新春杯のエリモダンディー、函館記念3連覇のエリモハリアーなど、多くの“えりも”の名馬が出た。リファール4×3の近交はディープインパクト産駒の定番的な配合だが、ダンシングブレーヴUSAを経由してのそれは、より破壊力がありそうだ。もっとも、兄弟がいずれもG1の壁を突破できないあたり、大してあてにならない印象ではあるが、祖母の父テスコボーイや3代母の父ヴェイグリーノーブルの名が見える母系というのは、高級で時間に磨かれた良さを備えておりますね。 ▲ビッグアーサーがサクラバクシンオーの仔でありながらサクラバクシンオー的でない部分を多く持っているのはキングマンボ×サドラーズウェルズという母の血統、エルコンドルパサーUSA配合のためだろう。ディープインパクト×エルコンドルパサーUSAの配合で宝塚記念-G1を制したマリアライトにもディープインパクトらしい軽さの代わりに欧州風の馬力と持久力が備わっているようで、いろいろな場所でいろいろな形でエルコンドルパサーUSA配合は役に立っていることが分かる。そういった意味では、これまでのサクラバクシンオー産駒にない絶対王者的な強さの持続を期待していいのかもしれない。 △ダンスディレクターは祖母スカラシップが日本ダービー馬ウイニングチケットの全妹。5代母のスターロッチは優駿牝馬と有馬記念に勝った名牝で、そこにテスコボーイ、マルゼンスキー、トニービンIRE、サンデーサイレンスUSAと配合されてきたわけだから、日本種牡馬史を辿った教科書的な配合でもある。こうやって蓄積された日本的な成功血脈に、まったく異質なミスタープロスペクター直仔の米チャンピオンスプリンター・アルデバラン2USAをぶつける配合というのは、劇的な化学変化を期待できるようにも思う。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2016.10.2
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