2016阪神ジュベナイルフィリーズ


譲れぬ2歳リーディング

 2010年にディープインパクトの初年度産駒がデビューし、翌2011年にダイワメジャー産駒がそれに続くと、2歳種牡馬ランキング上でのこの2頭の競り合いが秋から暮れにかけての風物詩となった。仕上がりの早さを生かしたダイワメジャーが先行し、終盤に大物が登場してディープインパクトが差し切るというのが定型となっていたが、昨年はメジャーエンブレムの阪神ジュベナイルフィリーズ-G1、ボールライトニングの京王杯2歳S-G2勝ちなどがあってダイワメジャーが初めて逃げ切り勝ちを収めた。地方競馬も合算した収得賞金6億6843.6万円は2011年以来のこの争いにおける最高額で、2歳リーディング首位の収得賞金としてもサンデーサイレンスUSAの2004年7億8123.1万円、同2000年7億3188.5万円に次ぐもの。サンデーサイレンスUSA時代は2004年2位のフレンチデピュティUSAが3億4055万円、2000年の2位フジキセキが1億9239.3万円だからサンデーサイレンスUSAの一人勝ちであり、2頭揃って6億円を超えた昨年は空前のハイレベルな戦いだった(表1)。今年は昨年に比べるとかなりの戦線縮小となり、ダイワメジャーがディープインパクトにつけているリードが少ない。表2に示したのが今年の残り3週間でJRAの2歳戦に用意された賞金。約15億円のうちからどれだけ獲得できるかの争いになる。昨年のディープインパクト産駒は残り3週でホープフルS勝ちなど1億5000万円近くを稼ぎながら、同期間1億1000万円にとどまったダイワメジャーに逃げ切られた。しかし、今年は1300万円強の差しかないので、ディープインパクトにとっては悠々と前を射程に収めて最後の直線に向く態勢だ。ところが、過去2勝、毎年産駒を送り込んできたこのレースに今年は出走馬がゼロ。ダイワメジャーとしては鬼のいぬ間に洗濯をしつつ少しでも差を広げておきたいところだ。仔にとって親のリーディング争いなどあずかり知らぬことながら、父が2年連続2歳リーディングの座に就くには落とせないところ。そうやって終盤を迎えた2歳戦を団体戦の側面から見る楽しみもあっていいだろう。レーヌミノルは速いペースで先行した小倉2歳S-G3を圧勝し、スローの前走ではモンドキャンノに捕まった。長所も短所もメジャーエンブレムに似ていて、それこそがダイワメジャー産駒らしさともいえる。母の父タイキシャトルUSAは2度のマイルチャンピオンシップと、安田記念、ジャックルマロワ賞-G1に勝った1600mの名馬。母の父としてサンデーサイレンスUSA系種牡馬との組み合わせによって東京優駿-G1のワンアンドオンリーやG1・3勝の名牝ストレイトガールを送っている。これらはいずれもサンデーサイレンスUSAとデヴィルズバッグという名馬を経由したヘイロー3×4の近交となっている。祖母プリンセススキーは1987年のラジオたんぱ杯3歳牝馬Sを10番人気で勝った。ロイヤルスキーUSA×テスコボーイGBというナスルーラのスピードを生かす明快な配合で、そこにヘイローの近交や、ノーザンテーストCANとニジンスキーというカナダのE.P.テイラー・ブランドのノーザンダンサー血脈が入ることで、現代的なパワーと瞬発力が加わることになった。


表1) 2歳2大種牡馬の6年抗争
年度ダイワメジャーディープインパクト
順位出走
頭数
勝利
収得賞金
(万円)
代表産駒順位出走
頭数
勝利
収得賞金
(万円)
代表産駒
2010   1744354074.3リアルインパクト
201121013346751.8ダローネガ1793548639.4ジョワドヴィーヴル
20122873436023.3フラムドグロワール1763942721.3ラウンドワールド
20138671825083.7マーブルカテドラル1833946559.1ハープスター
20144772828889.6ダノンメジャー1884064453.1ダノンプラチナ
201511204766843.6メジャーエンブレム2904260228.0ハートレー
20161862637203.2レーヌミノル2713035866.1カデナ
※JBISサーチ(http://www.jbis.or.jp/)による、2歳種牡馬ランキング中央+地方、2016年は12月6日現在

表2) JRA2歳戦の賞金合計 (12/10〜12/25)
場別クラス総賞金
(万円)
(本賞金内訳)鞍数級別合計
(万円)
12345
阪神新馬1340700280180110701317420
未勝利95550020013075502725785
500万平場13727202901801107234116
500万特別1900100040025015010023800
阪神ジュベナイルF-G112330650026001600980650112330
朝日杯フューチュリティS-G1134007000280018001100700113400
中山新馬1340700280180110701317420
未勝利95550020013075502725785
500万平場13727202901801107211372
500万特別1900100040025015010035700
クリスマスローズS3040160064040024016013040
ホープフルS127706700270017001000670112770
中京新馬13407002801801107022680
未勝利955500200130755087640
500万特別1900100040025015010023800
合計105157058

 3、4歳時のG1・9連勝を含め14戦14勝の名馬フランケルは、種牡馬となった2013年に厳選133頭の牝馬に種付けし、産駒は111頭が誕生。今年2歳を迎えたそれらのうち、5月13日に英国ニューベリの未勝利戦で最初にデビューを果たした牡馬クンコが快勝、その後、フェアイーヴァが7月13日のプリンセスマーガレットS-G3で重賞初勝利を飾ると、8月のロウザーS-G2をクイーンカインドリー、9月のオマール賞-G3をトゥリフォー、10月のコンデ賞-G3をフランクースが勝った。日本でも11月にミスエルテがファンタジーS-G3に勝っており、重賞1月1勝の法則を守るなら、今回のソウルスターリングか、来週ミスエルテが勝つということになる。フランケルの配合相手の牝馬は配合希望の良血の中から選ばれた良血であるが、母のスタセリタFRはその中でもトップクラスの1頭とはいえるだろう。モンズン産駒のスタセリタFRは仏米でディアヌ賞-G1、ヴェルメイユ賞-G1などG1・6勝。ドイツのSラインの名門シュヴァルツゴルト系で、BCマイル-G1のスタインレンと同じシェンブリュンの分枝になる。フランケル産駒G1初勝利の栄誉に浴するチャンスが日本で2度あるというのも面白いですね。

 キタサンブラックが示しているようにブラックタイド産駒は全弟ディープインパクト産駒と違うのを逆に武器としている面もあって、今回も弟の産駒が間に合わないとみるやすかさず3頭を送り込んできた。▲ブラックオニキスは3代母ダイナレセナードの産駒に北九州短距離Sのムーンセレナード、孫に小倉3歳Sのリキセレナードが出るフリソデUSAの一族。母にノーザンテーストCANの血が入る点はキタサンブラックに似ている。

 ゴールドケープは母ジュエルオブナイルが小倉2歳S勝ち馬で祖母レディオブチャドがマルセルブサック賞-G1勝ち馬。母方の早熟さに賭ける手もある。


競馬ブックG1特集号「血統をよむ」2016.12.11
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