2015フェブラリーS


ダートのゴールドは健在

 昨年のこのレースを最低人気で勝ったコパノリッキーは、その9カ月半前、3歳5月の兵庫チャンピオンシップでベストウォーリアに6馬身差をつけて圧勝していた。芝馬のクラシック路線におけるパフォーマンスがその馬の生涯の成績を評価する上で特に重要なように、ダート馬もまた成長過程にある3歳時の成績には注目しておくべきで、のちのチャンピオンがその素質の片鱗を示していることも少なくない。
 中央と地方の指定交流競走が設けられたのが1995年。その翌年には夏から晩秋にかけての3歳限定戦が一気に整備された。

・6月、名古屋優駿(名古屋、1996〜2004)
・7月、グランシャリオカップ(旭川、1996〜2003)
・10月、ユニコーンS(中山、1996〜)
・11月、ダービーグランプリ(盛岡、1996〜2006、2001より9月)
・11月、スーパーダートダービー(大井、1996〜1998)

 その後、異動増減いろいろあって現在は以下の4レースに落ち着いた(ほかに2000年より牝馬限定の関東オークス)。

・5月、兵庫チャンピオンシップ(園田、2000〜)
・6月、ユニコーンSG3(東京、2001〜)
・7月、ジャパンダートダービー(大井、1999〜)
・8月、レパードSG3(新潟、2009〜)

 これらのうち出世レースとしての性格が最も強かったのは下表を見ても明らかなように秋施行時のユニコーンSだが、当時はダート重賞戦線が発展途上であるがゆえの風通しの良さもあった。最近はホッコータルマエでさえ翌年のフェブラリーS-G1では賞金が足りず佐賀記念に回った例もある。そういった事情を考えれば、最近のユニコーンS-G3とレパードS-G3もそれなりに出世レースといえるだろう。


出世レースとしてのユニコーンSとレパードS
年月日競馬場距離優勝馬その後の主な成績
1996.9.28中山1800シンコウウインディデュラブUSAフェブラリーS、平安S
1997.10.4東京1600タイキシャトルUSADevil's Bagジャックルマロワ賞-G1他
1998.10.3中山1800ウイングアローアサティスUSAフェブラリーS、JCダート他
1999.10.2中山1800ゴールドティアラUSASeeking the Gold南部杯、プロキオンS他
2000.9.30中山1800アグネスデジタルUSACrafty ProspectorフェブラリーS、香港C-G1、天皇賞(秋)他
2001.6.2東京1600ナスダックパワータヤスツヨシ(北海道で特別2勝)
2002.6.1東京1600ヒミツヘイキダミスターUSA(報知グランプリC)
2003.6.7東京1600ユートピアフォーティナイナーUSA南部杯×2、ダービーGP、ゴドルフィンマイル-G2他
2004.6.5東京1600トップオブワールドシャンハイUSAダービーGP2着
2005.6.4東京1600カネヒキリフジキセキフェブラリーS、JCダート-G1、東京大賞典他
2006.6.3東京1600ナイキアースワークブライアンズタイムUSAダイオライト記念3着
2007.6.2東京1600ロングプライドサクラローレルJDダービー3着、名古屋GP2着
2008.6.7東京1600ユビキタスアグネスデジタルUSA武蔵野S-G33着
2009.6.6東京1600シルクメビウスステイゴールド東海S-G2、ブリーダーズGC、JCダート-G12着
2009.8.23新潟レ1800トランセンドワイルドラッシュUSAフェブラリーS-G1、JCダート-G1×2他
2010.6.6東京1600バーディバーディブライアンズタイムUSAフェブラリーS-G13着、東京大賞典3着他
2010.8.22新潟レ1800ミラクルレジェンドフジキセキJBCレディスクラシック×2、エンプレス杯他
2011.6.4東京1600アイアムアクトレスアグネスタキオンスパーキングレディーC3着
2011.8.21新潟レ1800ボレアスディープインパクト浦和記念3着
2012.6.3東京1600ストローハットフジキセキ 
2012.8.5新潟レ1800ホッコータルマエキングカメハメハチャンピオンズC-G1、東京大賞典-G1×2他
2013.6.16東京1600ベストウォーリアUSAMajestic Warrior南部杯、プロキオンS-G3
2013.8.4新潟レ1800インカンテーションシニスターミニスターUSAみやこS-G3、東海S-G23着他
2014.6.22東京1600レッドアルヴィスゴールドアリュールすばるS
2014.8.10新潟レ1800アジアエクスプレスUSAヘニーヒューズUSA 
ユニコーンSは2000年まで秋の中山で施行、2009年よりG3。レパードS(新潟レ)は2011年よりG3

 昨年のユニコーンS-G3勝ち馬レッドアルヴィスはNHKマイルC-G1に勝ったカレンブラックヒルの半弟。母の父グラインドストーンがアンブライドルド直仔、祖母の父がストームキャットという母の配合は、ディープインパクト×アンブライドルズソングのダノンプラチナが朝日杯フューチュリティS-G1に、ディープインパクト×ストームキャットのリアルスティールが共同通信杯-G3、ステイゴールド×ストームキャットのキャットコインがクイーンC-G3に勝った現時点で見ると、改めてサンデーサイレンスUSA系の先進的な配合であることがわかる。祖母はレジナエレナ賞(伊1000ギニー)-G2・3着で、その産駒にクインシー賞-仏G3のペニーズゴールド、孫にクリテリウムドメゾンラフィット-仏G2のペニーズピクニックがいる。なぜどれも“ペニー”を名乗るかといえば3代母ミシズペニーが名牝だからそれにあやかったためで、同馬は2歳時にチーヴァリーパークS-英G1など3重賞に勝ち、3歳時はディアヌ賞(仏オークス)-G1、ヴェルメーユ賞-仏G1に勝った。このように欧州的なしっかりした土台の上にストームキャット、ヌレエフ、ニジンスキーを経由したノーザンダンサー血脈を重ね、更にアンブライドルド経由でミスタープロスペクターも入るのは、これまでのゴールドアリュール産駒の一流馬と比較しても、ゴールドアリュール的バネよりもパワー優先と感じられる。ただ、その異質さが、同じ父のコパノリッキーに対抗する上では武器となる。

 コパノリッキーは母の父ティンバーカントリーUSAからフォールアスペンの良血、そしてバックパサーやスワップスといったゴールドアリュールによく似合う血が入り、トニービンIRE×リアルシャダイUSAの祖母からは日本で多くの実績を残す持久力を受けた。父の代表産駒であるスマートファルコンやエスポワールシチーと同じく、G1レベルに抜け出すと他馬とは次元の違うレースで競り合うこともなく勝ちまくる域に届きつつあり、ここもあっさりがあり得る。

 ▲カゼノコはユニコーンS卒業生の出世頭であるアグネスデジタルUSAの最初のJpn1勝ち馬。カブトヤマ記念に勝った母タフネススターはラグビーボールの牝駒として唯一の重賞ウイナーでもある。祖母の父リードワンダーはアローエクスプレス直仔で、ダート交流重賞黎明期のブリーダーズゴールドC勝ち馬ヒデノリードを出した。初の東京、初の1600mだが、父の万能性や大物食い特性が生きてきそうな舞台ではある。

 キョウワダッフィーは目下サイアーランキング首位のキングカメハメハが父。母の父はエスポワールシチーとブルーコンコルドがこのレースで1勝2着3回。祖母プティットイルIREはG1愛セントレジャー勝ち馬。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2015.2.22
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