2014有馬記念


旗に風受け黄金船は定期運行

 中山芝2500mは年間おおむね10レース設定されていて、この条件でのステイゴールド産駒の成績はベスト20を抽出した下表を見ても他を圧している。10年間に行われた100レースのうち15を勝ったこと以上に、4回の有馬記念-G1、1回の日経賞-G2制覇という質の高さが特筆でき、過去3年はオルフェーヴルとゴールドシップが交替で3連覇。順番通りにゴールドシップが復活するのか、別のステイゴールド産駒の台頭があるのか、あるいは今年はひと休みするのかが焦点となる。中山の芝の距離別のレース数は2013年の実績によれば1200m=36、1600m=41、1800m=37、2000m=44、2200m=15、2500m=10、3600m=1とステイヤーズS専用の3600mを別にすると2500mが明らかに少ない。そういう特殊な距離であるがためにナイスネイチャからトゥザグローリーまで、有馬記念に限って繰り返し好走する者が現れた。そういうわけで過去の実績重視、ゴールドシップ。ステイゴールド×メジロマックイーンの配合は本馬にオルフェーヴル、その全兄ドリームジャーニーまで加えて過去5年間で4勝3着1回と特に信頼性が高い。気まぐれ血統だからこそ狭く限られた条件では逆に集中力を発揮するということがあるのかもしれない。2歳時から随分長く一線級で活躍している印象があるが、実際にはまだ5歳。5歳といえばオルフェーヴルが有馬記念-G1を8馬身差で圧勝した年齢であり、父ステイゴールドは12番人気の天皇賞(秋)でスペシャルウィークの2着に粘るなど穴馬活動にいそしんでいたころ。まだ変わる余地、伸びる余地は残されているに違いない。


中山芝2500m種牡馬別成績 (2004年12月25日〜2014年12月21日) 太字は出走馬の父
順位種牡馬名1着2着3着着外勝率連対率3着率重賞勝ち
1ステイゴールド1568430.2080.2910.402有馬記念-G1(ドリームジャーニー、
オルフェーヴル2回、ゴールドシップ)、
日経賞-G2(フェノーメノ)
2サンデーサイレンスUSA10710480.1330.2260.360有馬記念(ゼンノロブロイ、ハーツクライ、
ディープインパクト、マツリダゴッホ-G1)、
日経賞-G2(マツリダゴッホなど3勝)
3アグネスタキオン521180.1920.2690.307有馬記念-G1(ダイワスカーレット)
4ハーツクライ34190.1760.4110.470日経賞-G2(ウインバリアシオン)
5オペラハウスGB334230.0900.1810.303 
6シンボリクリスエスUSA333240.0900.1810.272 
7アドマイヤベガ321170.1300.2170.260日経賞-G2(アルナスライン)
8マーベラスサンデー311120.1760.2350.294日経賞-G2(ネヴァブション)
9キングカメハメハ307250.0850.0850.285 
10ゼンノロブロイ300190.1360.1360.136 
11ティンバーカントリーUSA250140.0950.3330.333 
12ジャングルポケット245280.0510.1530.282 
13ニューイングランド22360.1530.3070.538日経賞-G2(ネコパンチ)
14ネオユニヴァース221130.1110.2220.277有馬記念-G1(ヴィクトワールピサ)
15メジロマックイーン220100.1420.2850.285 
16サクラローレル212100.1330.2000.333 
17クロフネUSA21080.1810.2720.272 
18マンハッタンカフェ206260.0580.0580.235 
19ソウルオブザマターUSA20020.5000.5000.500 
20メジロライアン20050.2850.2850.285 
ディープインパクト022110.0000.1330.266 
スズカマンボ00020.0000.0000.000 

 フェノーメノは3歳時に2着、5着だった天皇賞(秋)-G1とジャパンC-G1がこの秋は14着、8着と意外な崩れ方。ただ、ジャパンC-G1はエピファネイアからは1秒1ち切られているが、2着からなら0秒4でしかないから、復調傾向にあると考えてもいい。母の父デインヒルUSAとサンデーサイレンスUSA系種牡馬の組み合わせは12番人気の2005年皐月賞で2着となったシックスセンス、5番人気の2008年ヴィクトリアマイルに勝ったエイジアンウインズなど、もともと大レースでの大駆けが期待できる組み合わせで、父がステイゴールドであれば、本来は穴馬としての仕事がよく似合う。伯父のインディジェナスIREは1999年のジャパンC-G1で12番人気でスペシャルウィークの2着。祖母シーポート、3代母アンカーから5代母カヤックまで牝系に船にちなむ名前が頻出するあたりゴールドシップと2頭揃って走るケースがあっておかしくないことを示すと思うのだが、どうなんでしょう。

 ドバイデューティフリー-G1の6 1/4馬身差圧勝によって130のレーティングを得たジャスタウェイは、ワールドベストレースホースランキングのトップに立ってその後9カ月にわたって地位を維持し、このまま最後まで押し切りそうだ。▲エピファネイアはジャパンC-G1でそれを4馬身ち切り、JRAのオフィシャルレーティングで128がついた。世界ランキングでは4〜5頭がひしめく126から抜け出して暫定単独2位を占めている。ここで、このメンバーでたとえば2003年の父シンボリクリスエスUSAを再現する9馬身差圧勝ということになったりすると、東洋の片隅で暮れも押し詰まった土壇場での世界ランキング首位交替劇があるかもしれない。近年でこそサンデーサイレンスUSA父系にしか出番のなくなったこのレースも、1990年代はブライアンズタイムUSA産駒やグラスワンダーUSAといったロベルト系がサンデーサイレンスUSA系に対して互角以上の戦いを演じていた。母シーザリオは優駿牝馬に勝っただけでなく、日本調教馬として初めて米国のG1制覇を達成した名牝。その父スペシャルウィークは恐らく有馬記念史上最も惜しいハナ差でグラスワンダーUSAの2着となった。祖母の父サドラーズウェルズの存在が暮れの馬場への対応の助けとなることは渋った良馬場の前走でも示した。

 M部門で130のレーティングを得て世界の頂点に立つジャスタウェイは下半期を迎えて勝てないながらもL部門2400m克服という課題は少しずつ着実にクリアしているように見える。母の父ワイルドアゲインは第1回のブリーダーズカップクラシック-G1勝ち馬。ハイペリオン4×3、ネアルコ3×4の配合は古風で、トニービンIREを持つ父との配合では距離克服の大きな助けとなるべき血。祖母シャロンUSAはニューヨーク牝馬三冠の当時の最終戦CCAオークス-G1勝ち馬。同世代のスーパー牝馬ゴーフォーワンドには一歩譲ったが、5つの重賞に勝ったのは見事。3代母の産駒にはシリウスSのトーヨーレインボーUSA、孫にはクイーンC-G3のフォーエバーモアがいて早くから日本に馴染みのある牝系で、4代母ブルーダブルにはサンデーサイレンスUSAに相性の良い血がたっぷり。M部門130のパフォーマンスをL部門の今回も再現できれば逆転可能ということになる。

 トゥザワールドの全兄トゥザグローリーは3、4歳時にともに人気薄で3着に入った。現時点での実績では兄を凌ぐものがあり、弥生賞-G2、皐月賞-G1で示したようにコース適性も兄に劣らないだろう。

 トゥザワールドのキングマンボとサンデーサイレンスUSAの組み合わせに、グラスワンダーUSAを加えてより暮れの中山色を強めているのがメイショウマンボ。ここまで人気が落ちると怖い。

 過去の実績によればこの条件でディープインパクトを買う必要はないようだが、下半期の好調ぶりを考えれば、あっさりジンクスを破っても驚けない。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2014.12.28
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