|
リワイルディングの鮮やかなドバイシーマクラシックG1制覇で幕を開けた今年の北半球の2400m路線は、欧州各国のダービー馬が強いのやら弱いのやら判然としないままに推移し、キングジョージVI世&クイーンエリザベスSG1では遅れてきた大物3歳馬ナサニエルが登場したが、そこでリワイルディングが故障、ナサニエルも2000m路線に回って結果が出なかった。そのほかの古馬も相手関係を吟味してうまく立ち回ったセイントニコラスアベイ、キャンパノロジストがそれぞれ地味にG1に2勝を挙げたのみ。そんな中で昨年の凱旋門賞3着馬で4歳を迎えた牝馬サラフィナがサンクルー大賞を制するなど順調に調子を上げて今年の凱旋門賞G1に向かったが、そこで勝ったのは11番人気のデインドリームGERだった。牡馬はみな消えていき、残ったのはドイツで目立たず古馬相手に圧勝を続けていた3歳牝馬だった。そして、凱旋門賞G1とブリーダーズCターフG1の谷間に位置して今イチクラスの受け皿となっているカナディアン国際SG1でも、4歳牝馬のサラリンクスIREが内から抜け出して圧勝している。今回のジャパンCG1に出走する4頭の外国馬のうち3頭が欧州の牝馬というのは、この路線の終章としては自然のなりゆきだった。 |
| 北半球2400m路線の主要G1概観 | ||||||||
| 日付 | レース名 | 条件 | 国 | 勝ち馬 | 父 | 父の父 | 母の父 | |
| 3/26 | ドバイシーマクラシック | ※ | 首 | リワイルディング | Rewilding | タイガーヒルIRE | デインヒルUSA | Top Ville |
| 6/3 | 英オークス | 3歳牝 | 英 | ダンシングレインIRE | Dancing Rain | Danehill Dancer | デインヒルUSA | Indian Ridge |
| 6/3 | コロネーションC | 4歳上 | 英 | セイントニコラスアベイ | St Nicholas Abbey | モンジューIRE | Sadler's Wells | Sure Blade |
| 6/4 | 英ダービー | 3歳牡牝 | 英 | プールモワ | Pour Moi | モンジューIRE | Sadler's Wells | Darshaan |
| 6/12 | ミラノ大賞 | 3歳上 | 伊 | ヴォワライシIRE | Voila Ici | Daylami | Doyoun | Barathea |
| 6/26 | 愛ダービー | 3歳牡牝 | 愛 | トレジャービーチ | Treasure Beach | Galileo | Sadler's Wells | Mark of Esteem |
| 6/26 | サンクルー大賞 | 4歳上 | 仏 | サラフィナ | Sarafina | Refuse to Bend | Sadler's Wells | Darshaan |
| 7/3 | 独ダービー | 3歳牡牝 | 独 | ヴァルトパルク | Waldpark | Dubawi | Dubai Millennium | Acatenango |
| 7/14 | パリ大賞 | 3歳牡牝 | 仏 | メアンドル | Meandre | Slickly | Linamix | Savres Rose |
| 7/17 | 愛オークス | 3歳牝 | 愛 | ブルーバンティング | Blue Bunting | Dynaformer | Roberto | Linamix |
| 7/23 | KジョージY世&QエリザベスS | 3歳上 | 英 | ナサニエル | Nathaniel | Galileo | Sadler's Wells | Silver Hawk |
| 7/24 | ベルリン大賞 | 3歳上 | 独 | デインドリームGER | Danedream | Lomitas | Niniski | デインヒルUSA |
| 8/13 | ソードダンサー招待 | 3歳上 | 米 | ウィンチェスター | Winchester | Theatrical | Nureyev | Spectrum |
| 8/14 | ラインラントポカル | 3歳上 | 独 | アールオブティンスダル | Earl of Tinsdal | Black Sam Bellamy | Sadler's Wells | Dashing Blade |
| 8/18 | ヨークシャーオークス | 3歳上牝 | 英 | ブルーバンティング | Blue Bunting | Dynaformer | Roberto | Linamix |
| 9/4 | バーデン大賞 | 3歳上 | 独 | デインドリームGER | Danedream | Lomitas | Niniski | デインヒルUSA |
| 9/11 | ヴェルメーユ賞 | 3歳上牝 | 仏 | ガリコヴァ | Galikova | Galileo | Sadler's Wells | Blushing Groom |
| 9/25 | ヨーロッパ賞 | 3歳上 | 独 | キャンパノロジスト | Campanologist | Kingmambo | Mr. Prospector | Sadler's Wells |
| 10/1 | J.ハーシュターフクラシック招待S | 3歳上 | 米 | ケープブランコ | Cape Blanco | Galileo | Sadler's Wells | Presidium |
| 10/2 | 凱旋門賞 | 3歳上牡牝 | 仏 | デインドリームGER | Danedream | Lomitas | Niniski | デインヒルUSA |
| 10/16 | カナディアン国際S | 3歳上 | 加 | サラリンクスIRE | Sarah Lynx | モンジューIRE | Sadler's Wells | デインヒルUSA |
| 10/16 | ジョッキークラブ大賞 | 3歳上 | 伊 | キャンパノロジスト | Campanologist | Kingmambo | Mr. Prospector | Sadler's Wells |
| 11/5 | ブリーダーズCターフ | 3歳上 | 米 | セイントニコラスアベイ | St Nicholas Abbey | モンジューIRE | Sadler's Wells | Sure Blade |
| ※ドバイシーマクラシックは北半球4歳以上、南半球3歳以上 | ||||||||
|
エルコンドルパサーUSAを99年の凱旋門賞で抑えたモンジューIREをジャパンCで負かしたのがスペシャルウィークだから、モンジューIRE産駒に対しても、凱旋門賞馬に対しても○ブエナビスタの奮起が期待できるかもしれない。昨年のこのレース以降は迷走が続くが、力の衰えを示す負け方ではないし、きっかけさえ掴めば立ち直って涼しい顔で勝つケースは十分だろう。 ▲デインドリームGERは6頭目の凱旋門賞G1制覇→ジャパンCG1参戦。シールゲン調教師にとってはタイガーヒルIREでスペシャルウィークの10着に敗れた99年の雪辱を期す一戦ともなる。ドイツ馬だが、血統面でドイツ的なのは父の母系くらいで、むしろ3代母でロイヤルオーク賞G1やポモーヌ賞G3といった超長距離戦で活躍したレディベリーに遡る質の高い牝系が魅力。リュパン賞G1のグルームダンサーUSAや高松宮記念G1のキンシャサノキセキAUS、ガネー賞G1に勝ちジャパンCG1ではトウカイテイオーの13着に敗れたヴェールタマンドFRがこのファミリーだが、ことジャパンCに関していえば、91年に凱旋門賞2着を経てゴールデンフェザントの2着となった3歳牝馬マジックナイトFRの父ルネンジョーン(パリ大賞)の母として記憶に留めているひとも多いのではないだろうか。 馬産の手法としてのドイツ式を正統に継承しているのがアガ・カーン殿下ことアーガー・ハーン4世殿下で、下世話ないい方をすると、家風を壊さずそこそこ有能な種牡馬を養子に取るような形で牝系の力を大きくしていく方法。△シャレータIREの場合は叔母に愛オークスのシャワンダ、4代母の娘にヴェルメーユ賞のシャラヤIREのいる牝系に、自家生産のダルシャーンとシンダーが入る。2400m向きでまだ伸びる余地がある。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2011.11.27
©Keiba Book