|
11月6日に行われたブリーダーズCマイルG1ではフランスの5歳牝馬ゴルディコヴァが史上初の3連覇を達成した。これまでも1987、88年のミエスク、1992、93年のルアーと2連覇の例が2つあり、ダホスは1996、98年と隔年で2勝を挙げた。このように27回を数えるブリーダーズCシリーズの中でも連続勝利が起きやすいレースなのだが、ゴルディコヴァが2008、09年に同じサンタアニタ競馬場で勝ったケースを除くと、連覇といってもそれぞれ競馬場が違う。しかも、どんな馬でも走れる条件であって競争は激しくなるはずのカテゴリーなのに、強い馬がずっとその地位を確保できる不思議な面がある。マイルチャンピオンシップも連覇の多いレースで、ニホンピロウイナー、ダイタクヘリオス、タイキシャトルUSA、デュランダル、ダイワメジャーと、その頻度は同じ年に創設されたブリーダーズCマイルG1を超えている。したがって、連覇を狙う強い馬がいれば、基本的にそれに従えばいいわけだが、残念ながら今年は該当馬なし。簡単にはいかない。しかし、馬場の形態はともかく気候も芝の具合も違う北米の主要競馬場持ち回りのブリーダーズCマイルG1で、それだけ連覇があるということは、春と秋、東京と京都の違いという点には、実はそれほどこだわらなくていいのではないか。そういうわけで、安田記念とマイルチャンピオンシップの歴代勝ち馬を並べてみる(下表)。同じレースの春・秋バージョンと考えるわけだ。そうすると、縦の連覇以上に横(春→秋)、斜め(秋→春)の“連覇”が多いことが分かる。 |
| 安田記念とマイルチャンピオンシップの勝ち馬 | ||||||
| 年度 | 安田記念 | 性齢 | マイルチャンピオンシップ | 性齢 | ||
| 1984 | 第34回 | ハッピープログレス | 牡6 | 第1回 | ニホンピロウイナー | 牡4 |
| 85 | 第35回 | ニホンピロウイナー | 牡5 | 第2回 | ニホンピロウイナー | 牡5 |
| 86 | 第36回 | ギャロップダイナ | 牡6 | 第3回 | タカラスチール | 牝4 |
| 87 | 第37回 | フレッシュボイス | 牡4 | 第4回 | ニッポーテイオー | 牡4 |
| 88 | 第38回 | ニッポーテイオー | 牡5 | 第5回 | サッカーボーイ | 牡3 |
| 89 | 第39回 | バンブーメモリー | 牡4 | 第6回 | オグリキャップ | 牡4 |
| 90 | 第40回 | オグリキャップ | 牡5 | 第7回 | パッシングショット | 牝5 |
| 91 | 第41回 | ダイイチルビー | 牝4 | 第8回 | ダイタクヘリオス | 牡4 |
| 92 | 第42回 | ヤマニンゼファー | 牡4 | 第9回 | ダイタクヘリオス | 牡5 |
| 93 | 第43回 | ヤマニンゼファー | 牡5 | 第10回 | シンコウラブリイIRE | 牝4 |
| 94 | 第44回 | ノースフライト | 牝4 | 第11回 | ノースフライト | 牝4 |
| 95 | 第45回 | ハートレイクGB | 牡4 | 第12回 | トロットサンダー | 牡6 |
| 96 | 第46回 | トロットサンダー | 牡7 | 第13回 | ジェニュイン | 牡4 |
| 97 | 第47回 | タイキブリザードUSA | 牡6 | 第14回 | タイキシャトルUSA | 牡3 |
| 98 | 第48回 | タイキシャトルUSA | 牡4 | 第15回 | タイキシャトルUSA | 牡4 |
| 99 | 第49回 | エアジハード | 牡4 | 第16回 | エアジハード | 牡4 |
| 2000 | 第50回 | フェアリーキングプローンAUS | g5 | 第17回 | アグネスデジタルUSA | 牡3 |
| 01 | 第51回 | ブラックホーク | 牡7 | 第18回 | ゼンノエルシドIRE | 牡4 |
| 02 | 第52回 | アドマイヤコジーン | 牡6 | 第19回 | トウカイポイント | g6 |
| 03 | 第53回 | アグネスデジタルUSA | 牡6 | 第20回 | デュランダル | 牡4 |
| 04 | 第54回 | ツルマルボーイ | 牡6 | 第21回 | デュランダル | 牡5 |
| 05 | 第55回 | アサクサデンエンGB | 牡6 | 第22回 | ハットトリック | 牡4 |
| 06 | 第56回 | ブリッシュラックUSA | g7 | 第23回 | ダイワメジャー | 牡5 |
| 07 | 第57回 | ダイワメジャー | 牡6 | 第24回 | ダイワメジャー | 牡6 |
| 08 | 第58回 | ウオッカ | 牝4 | 第25回 | ブルーメンブラット | 牝5 |
| 09 | 第59回 | ウオッカ | 牝5 | 第26回 | カンパニー | 牡8 |
| 10 | 第60回 | ショウワモダン | 牡6 | 第27回 | ? | |
| 網掛けは春秋、または秋春連勝馬 | ||||||
|
昨年3着の○サプレザUSAは6月のアスコットで生涯初の大凡走をしたせいで夏場を立て直しにあて、結果として昨年より余力のある状態での来日となった。セントウルSG2のグリーンバーディーNZ、スプリンターズSG1のウルトラファンタジーAUS、そしてエリザベス女王杯G1のスノーフェアリーIREと強い外国馬がちゃんと力を示しているこの秋の流れを見ると逆らえない感じもする。父サームは名牝サルサビル(英1000ギニーG1、英オークスG1、愛ダービーG1制覇)産駒の唯一の牡馬ということでG2勝ちひとつで種牡馬になった。スノーフェアリーIREの祖母の父マルジュはサルサビルの半弟なので、サルサビル関係血脈がちょっとしたブームとなりつつあるのかもしれない。牝系は特に見るべきものがないが、母の父からリボー血脈が入るのは大きな強調点。 ▲キンシャサノキセキは2008年の京都金杯G3以来2年10カ月ぶりの1600m。4年前のこのレースでダイワメジャーから0秒5差の5着という実績もある。2003年生まれのフジキセキ産駒はオーストラリアでこの馬と南アの名牝サンクラシークが、日本でファイングレイン、コイウタ、グレイスティアラが現れたヴィンテージ世代。3代母レディベリーは仏版菊花賞のロイヤルオーク賞G1(3100m)に勝った名牝で、そこに良血ばかりを重ねた5代アウトの配合は奥が深い。7歳秋の奇跡があるかもしれない。 △テイエムオーロラの祖母ケイシーGBは牝馬版セントレジャー・パークヒルSG2(14F132yds.)勝ち馬。牝系に蓄積されたスタミナ血脈というのは大レースになると距離の長短に関わらずものをいうケースが多い。エリザベス女王杯G1で本命にしてブービーに敗れたアーヴェイGBの祖母もパークヒルSG3勝ち馬なので、お互い関係はないが、今回はそのリベンジにも期待したい。 トゥザグローリーは菊花賞G1・2着のローズキングダムと同じキングカメハメハ×サンデーサイレンスUSAの配合。大まかにいえば今後主流となっていくであろうミスタープロスペクターとサンデーサイレンスUSAの組み合わせで、SS牝馬としても最高クラスの一頭トゥザヴィクトリーが母。一発の魅力あり。 ゴールスキーは上り調子のネオユニヴァース産駒。父のよくできた産駒は春のクラシックに向けて一気に急上昇を示すものが多いが、こちらは春にモタついたのが幸いし、秋を迎えてゆっくりと、より高いピークに到達する可能性がある。こちらもゴールドアリュールの半弟という良血。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2010.11.21
©Keiba Book