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クラシックからサンデーサイレンスUSA産駒が姿を消して今回が4回目のダービーになる。その間にサンデーサイレンスUSAの後継者の姿が見えてくるかと思われたが、現在の種牡馬ランキング・トップ10の過去3年の順位を見ると以下のようになり、いったい誰が勝者なのかわからない状況にある。 |
| 馬名\年度 | 2007 | 2008 | 2009 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | キングカメハメハ | − | 52 | 9 |
| 2 | クロフネUSA | 10 | 5 | 5 |
| 3 | フジキセキ | 5 | 2 | 6 |
| 4 | アグネスタキオン | 2 | 1 | 2 |
| 5 | マンハッタンカフェ | 27 | 9 | 1 |
| 6 | シンボリクリスエスUSA | 85 | 11 | 3 |
| 7 | スペシャルウィーク | 8 | 15 | 7 |
| 8 | サクラバクシンオー | 7 | 6 | 10 |
| 9 | ジャングルポケット | 30 | 12 | 19 |
| 10 | ネオユニヴァース | − | 71 | 15 |
| (表の順位はJBIS発表5月25日現在) | ||||
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これら10頭はサンデーサイレンスUSA直仔5頭、それ以外の5頭に分かれ、後者のうち独立短距離系サクラバクシンオーを除くと、いずれもサンデーサイレンスUSA牝馬の力に依存して稼いでいる部分が少なくない。これは大種牡馬の力が、牡牝を問わずその血を引くものに分散されたことによる当然の結果ともいえる。19世紀末から20世紀初頭にかけて隆盛を誇った種牡馬セントサイモンとその父系は、セントサイモンの死後10年ほどで急速に衰退してしまったが、それも成功し過ぎたために、その血がいわば飽和状態になったため。名種牡馬も名牝もセントサイモンの子孫では、それ同士配合できないもんね。血統の流通が国際的に活発になった現代では、いずれどこかから“当たり”が現れるので、サンデーサイレンスUSA系で“セントサイモンの没落”が再現されることは考え辛いが、今後10年のサンデーサイレンスUSA系の展開は、かなりドラマチックなものになるのではないかだろうか。 すでにこの世にないアグネスタキオンを除くと、上位で安定しているのがサンデーサイレンスUSA系の長兄ともいえるフジキセキ。今年産駒はG1・2勝と中身も濃い。◎ダノンシャンティ《出走取消》は祖母がカナダの年度代表馬、米国の最優秀古牝馬のタイトルを得た名牝グローリアスソング。伯父にジャパンCのシングスピールIRE、イトコにヴェルメーユ賞のメッツォソプラノという2400mのG1勝ち馬がいる。3代母バラードはグローリアスソングの他にも、デヴィルズバッグ(タイキシャトルUSAの父)、アンジェリックソング(フサイチセブンの祖母)、セイントバラード(2005年の北米リーディングサイアー)といった優れた産駒を送り出しているが、これらは全て父がヘイロー。1982年から1984年には3年連続で最も高価な時代のノーザンダンサーの仔を生んだが、それらはいずれも凡庸な成績に終わっており、ヘイローに特別な相性を示す牝系といえる。そこで、ヘイローの孫にあたるこの父との配合が生きてくる。前走の日本レコード勝ちは、この名牝系に再びヘイロー血脈が導入されたことによる才気の片鱗と見ていい。母の父マークオブエスティームは英2000ギニー、クイーンエリザベス2世Sに勝った名マイラーだが、その血統にはかなり重いステイヤー色もにじんでいて、産駒には英ダービーのサーパーシーなどが出た。血統表の3代目に仏ダービー馬ルファビュルーとダルシャーンが並んでいることを見ても、距離の心配は無用。 |
| 栄光のバラード Ballade 系 |
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BALLADE バラード(牝、1972年生、黒鹿毛、父Herbager)米国2勝 Glorious Song グローリアスソング(牝、1976、鹿、Halo)サンタマルガリータ招待H | G1、スピンスターSG1、トップフライトHG1、ラカナダSG1、サンタマリアHG2、 | ミシガンマイル&1/8HG2、ドミニオンデイHG3×2、カナディアンマチュリティ | Rahy ラーヒ(牡、1985、栗、Blushing Groom)ベルエアG2、ミドルパークSG1 2着、 | | ミルリーフSG2 3着、ハロルドC.ラムザーシニアHG3 2着、グッドウッドHG3 | | 2着、種牡馬 | Rakeen ラキーン(牡、1987、鹿、Northern Dancer)アレンスニジマンSG2(南ア)、 | | OKトライアルG3(南ア)、ロスマンズジュライG1 3着(南ア)、ニューマーケットS | | 3着(南ア) | Morn of Song(牝、1988、鹿、Blushing Groom) | | Mezzo Soprano メッツォソプラノ(牝、2000、黒鹿、Darshaan)ヴェルメーユ賞 | | G1、リブルズデールSG2 3着、プシケ賞G3 3着 | | Claremont クレアモント(牡、2006、鹿、Sadler's Wells)リス賞G3、オカール | | 賞G2 3着 | シングスピールIRE Singspiel(牡、1992、鹿、In the Wings)ジャパンCG1、英イン | | ターナショナルSG1、コロネーションCG1、カナダ国際SG1、BCターフG1 2 | | 着、種牡馬 | Ring of Music(牝、1993、鹿、Sadler's Wells) | | Campanologist キャンパノロジスト(牡、2005、鹿、Kingmambo)ドバイシティオ | | ブゴールドG2、キングエドワードVII世SG2、ウインターヒルSG3、ハードウィッ | | クSG2 2着、ヨークSG2 2着 | シャンソネットGB Chansonnette(牝、2000、鹿、Mark of Esteem) | ダノンシャンティ(牡、2007、黒鹿、フジキセキ)NHKマイルCG1、毎日杯G3、 | 共同通信杯G3 2着、ラジオNIKKEI杯2歳S 3着 Devil's Bag デヴィルズバッグ(牡、1981、鹿、Halo)米シャンペンSG1、ローレルフュ | ーチュリティG1、カウディンSG2、ダービートライアルS、種牡馬 Thaidah ダイダー(牝、1985、鹿、Vice Regent)フレッドダーリングSG3 2着 | Tawaaded(牝、1993、栗、Nashwan) | Shakis シャキス(牡、2000、黒鹿、Machiavellian)バーナードバルークHG2× | 2、マンハッタンHG1 3着、シャドウェルターフマイルSG1 2着、同 3着 Angelic Song(牝、1988、鹿、Halo) | ディボーステスティモニーCAN Divorce Testimony(牝、1992、栗、Vice Regent) | | Pleasant Divorce プレザントディヴォース(セン、1998、栗、Pleasant Tap) | | | ギャラントフォックスHG3 2着、スタイミーHG3 3着 | | フサイチセブン(牡、2006、鹿、Fusaichi Pegasus)現役、ダイオライト記念、アン | | タレスSG3 3着 | レディバラードIRE(牝、1997、黒鹿、Unbridled)TCK女王盃、クイーン賞、スパーキ | | ングレディーC 2着 | | ロードアリエス(牡、2005、黒鹿、シンボリクリスエスUSA)現役、京都新聞杯 | | 2着 | Sligo Bay スライゴーベイ(牡、1998、鹿、Sadler's Wells)ハリウッドターフカップ | G1、シネマHG3、ハリウッドダービーG1 2着、クリテリウムドサンクルーG1 3 | 着、オークトゥリーダービーG2 2着 Saint Ballado セイントバラード(牡、1989、黒鹿、Halo)アーリントンクラシックG2、シェ リダンSG3、種牡馬 |
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ネオユニヴァースは皐月賞馬とダービー馬を出した昨年のサイアーランキングが15位止まり。ときに大仕事をするが、コツコツと安定収入を得るのが苦手だと、日本の賞金体系ではそのようになる。アンライバルドやロジユニヴァースが示したようにピークは高いが鋭角的という面もある。○ヴィクトワールピサも皐月賞がピークだったとすると同様の懸念はあるが、母は2700mの仏G2ポモーヌ賞に勝ち、G1愛セントレジャーやG2ヨークシャーCといった超長距離でも3着になっているステイヤー。祖母の父バスティノも古風でドッシリしたスタミナを伝えていて、まだ伸びる余地あり。 ヴィクトワールピサが示すようにサンデーサイレンスUSAとミスタープロスペクターの組み合わせは現代的日本チャンピオンの標準パターンとして幅を利かせそうだ。▲リルダヴァルは父アグネスタキオンが一昨年の勝ち馬の父で、母の父サンダーガルチUSAがケンタッキーダービーとベルモントSに勝った米2冠馬。叔父にディープインパクト。人気の落ちた今回は怖い。 △エイシンフラッシュは母ムーンレディGERがG2独セントレジャー勝ち馬。1948年の東・西ドイツダービーを制したビルクハーン5×5の近交になっている点も底力を感じさせる。ちなみに、ワールドCの年はサッカーボーイ関連血脈が活躍したりする。この母の父(往年の仏代表)には注意を払っておきたい。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2010.5.30
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