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先週の大阪杯はステイゴールド産駒のドリームジャーニーが、ダービー卿CTはゴールドアリュール産駒のタケミカヅチが勝った。その前週は毎日杯をアドマイヤボス産駒のアイアンルック、日経賞をアドマイヤベガ産駒のアルナスライン、マーチSをゴールドアリュール産駒のエスポワールシチーが勝っている。印象として、重賞勝ち馬はサンデーサイレンスUSA系種牡馬の産駒ばかりのようなので、年頭から4月5日までのJRA重賞についてまとめてみた。種牡馬名、重賞勝利数/勝利頭数の順。 |
| アドマイヤベガ | 3/3 |
| マンハッタンカフェ | 3/3 |
| ゴールドアリュール | 2/2 |
| ステイゴールド | 2/2 |
| スペシャルウィーク | 2/2 |
| ネオユニヴァース | 2/2 |
| アグネスタキオン | 1/1 |
| アドマイヤボス | 1/1 |
| ダンスインザダーク | 1/1 |
| バブルガムフェロー | 1/1 |
| マーベラスサンデー | 1/1 |
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障害を除くと先週までに行われたJRA重賞38のうち、ちょうど半分の19を勝ったことになるが、これがまた実に見事な分散ぶりで、2つ勝ったのは1頭もいない。ちなみにこの期間に行われた阪神スプリングジャンプもニューイングランド産駒のトーワヒヨシマルが制していて、SS直系がJRA重賞の過半数を仲良く分け合っていることになる。このような馴れ合いのぬるま湯にどっぷり浸かったせいで、フェブラリーSG1サクセスブロッケン、高松宮記念G1ローレルゲレイロとG1を他の系統にさらわれている……とはいわないが、どうも、先代サンデーサイレンスUSAが示したような圧倒的な力とか、ここ一番での信頼性に乏しいのは否定できない。 ちょっと淀んだこの流れを変えるとすればブエナビスタだろう。力通りアッサリ勝てば、父のスペシャルウィークが質的には一歩抜け出すことになる。母のビワハイジは95年の阪神3歳牝馬Sでエアグルーヴの追撃を抑えて逃げ切った名牝。桜花賞ではファイトガリバーの15着と敗れ、ダービーで牡馬に挑むと13着に終わった。結果的には阪神3歳牝馬Sがピークだったのだろうが、引退戦となった5歳時の京都牝馬Sを逃げ切っているので、一概に早熟とは決めつけられない。3代母の孫にマンハッタンカフェ、4代母の子孫に独ダービーのスタイヴァザントGERや英ダービーのスリップアンカーが出るドイツの名門牝系出身だけになおさらだ。繁殖入りすると初仔のビワワールドがラジオたんぱ杯2歳S4着のほか3勝、2番仔ファインセラが4勝とまずまずの活躍を見せ、続くアドマイヤジャパンが京成杯に勝ち、菊花賞2着、皐月賞3着の活躍を見せた。ディープインパクトと同い年という苦難の世代だから、並みの年ならクラシック勝ちのひとつやふたつはあったかもしれない。4番仔アドマイヤオーラも京都記念G2など重賞3勝の実力馬だ。この父に替わったことで、配合上のキーとなるのは、スペシャルウィークの母の父マルゼンスキーとビワハイジの父カーリアンの血。これら2頭はともにニジンスキー直仔なので、その4×3が生じるのはもちろんだが、それ以外にプリンスキロや名牝ラトロワンヌ血脈を持つ点でも共通しており、それらがサンデーサイレンスUSA系の鋭い末脚のブースターとして有効に働いているのだろう。テイエムオーシャンが勝った01年以上に2番手以下との能力差が大きいと考えられる今年なら、負ける要素は少ないが、父のスペシャルウィークの現役時は、勝つときの強さからは考えられないほど、負けるときはあっさり負けた。この世代の牡馬の代表産駒リーチザクラウンのラジオNIKKEI杯のあっけない負け方を見ても、ときどきそういった勝負に淡白な面が出るよう。○にしておきます。 かつての桜花賞といえばテスコガビー、オヤマテスコ、ホースメンテスコのテスコボーイGB、アラホウトク、シスタートウショウのトウショウボーイとテスコボーイGB系が強かった。さすがに90年代に入ってサンデーサイレンスUSAの時代になると出番は限られるようになったが、93年のベガの2着に入ったユキノビジン(父サクラユタカオー)、03年のスティルインラブとアドマイヤグルーヴに割って入ったシーイズトウショウ(父サクラバクシンオー)など、サクラユタカオー系が穴として存在感を見せるようになった。◎アンプレショニストの父エアジハードは安田記念とマイルチャンピオンシップに勝ったマイルのスペシャリスト。サクラユタカオー×ロイヤルスキーという配合はユキノビジンと同じでもある。母は芝の1600mと2000mで2勝を挙げたのみだが、その全兄は96年の英ダービー馬シャーミット。ダービー後に勝利がなく、早世したこともあって90年代で最も印象の薄いダービー馬かもしれないが、古典的英国血脈を受けており、種牡馬としても英セントレジャー馬ボーリンエリックを出しているから、それなりに優秀だったといえる。サクラユタカオーはスピードがある割には古風な英国血脈が柱となっているので、この母との相性はいいだろうし、父の母の父ロイヤルスキーUSA、3代母の父ミルリーフからナスルーラ血脈も追加導入されていて、現代でも通用する瞬発力がある。 昨年のこの欄で、桜花賞は意外に誕生日の遅い活躍している点に目をつけた。目をつけただけで狙いに繋げることができず、メンバー中最遅生まれのレジネッタ(5月11日生まれ)に勝たれたわけだが、アグネスフローラ6月18日、シスタートウショウ5月25日、オグリローマン5月20日とか遅生まれの桜花賞馬の例は多い。ダイワスカーレットも5月13日生まれ。今回は▲ルージュバンブーが5月7日生まれで一番遅い。しかも、父が5歳で凱旋門賞に勝ったマリエンバードIREだから、これで桜花賞に間に合うのかと思ってしまう。しかし、父系祖父がカーリアン、母の父がサンデーサイレンスUSAなら、ブエナビスタをさかさまにした配合。この世代の父の産駒にはデイリー杯4着のピースピースも出ていて、凱旋門賞馬の反攻の一撃が出そうな雰囲気がないではない。 シャトル供用先のオーストラリア・ニュージーランドでは芝での重賞勝ち馬も出したバブルガムフェローは、国内では実績がダートに偏っていた。ところがこの3歳世代は、△コウエイハートが2歳時から活躍すると、年が明けてアーリーロブストも京成杯勝ち。もともと朝日杯と天皇賞(秋)の勝ち馬で、サンデーサイレンスUSA×リファールという血統だから、芝の活躍馬を出さない方が不思議だったくらいで、ようやく流れが正しい方に向いてきたという見方もできる。母の父アフリートCANは、産駒のバンブーエールがドバイゴールデンシャヒーンG1で4着と健闘したように、日本よりむしろ国際的な評価が高い血統。桜花賞では産駒から99年の勝ち馬プリモディーネも出た。九州産でも侮れないぞ。 |
競馬ブック増刊号「血統をよむ」2009.4.12
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