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皐月賞はアンライバルド、ダービーはロジユニヴァースが勝ち、いずれもネオユニヴァースとの父仔制覇となった。G1NHKマイルCはマンハッタンカフェ産駒ジョーカプチーノが勝って、牝馬の方も春の2冠をスペシャルウィーク産駒のブエナビスタ、G1秋華賞をマンハッタンカフェ産駒のレッドディザイアが制した。サンデーサイレンスUSA系クラシック馬の仔が3歳芝の大レースを独占する流れになっているようだ。過去の菊花賞でのサンデーサイレンスUSA系の活躍は下表の通り。しかし、いうまでもなく、どのG1級レースでもこれくらいの成績は残しているので、菊花賞が特別なわけではない。そこで、2代目が初めて勝った年を3歳限定戦に関して調べてみると……。 |
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サンデーサイレンスUSA血脈 による菊花賞支配 |
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サンデーサイレンスUSA ダンスインザダーク 96年 (1)着(1人気) | ファストタテヤマ 02 (2)(16人気) | ザッツザプレンティ 03 (1)(5人気) | デルタブルース 04 (1)(8人気) ロイヤルタッチ 96 (2)(6人気) スペシャルウィーク 98 (2)(1人気) | フローテーション 08 (2)(15人気) エアシャカール 00 (1)(2人気) マンハッタンカフェ 01 (1)(6人気) リンカーン 03 (2)(4人気) ネオユニヴァース 03 (3)(1人気) ディープインパクト 05 (1)(1人気) アドマイヤジャパン 05 (2)(6人気) ローゼンクロイツ 05 (3)(3人気) (フジキセキ 不出走) | ドリームパスポート 06 (2)(2人気) アドマイヤメイン 06 (3)(3人気) (ヤマニンセラフィム 不出走) ナムラクレセント 08 (3)(9人気) |
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菊花賞では03年にザッツザプレンティ、04年にもデルタブルースが父仔制覇を達成しているので、ほかのどのレースよりも早く深くサンデーサイレンスUSA血脈が浸透したと考えることができる。今回もサンデーサイレンスUSA系だらけなので、単純に(1)ダンスインザダーク産駒、(2)マンハッタンカフェ産駒と考えた。昨年はフローテーション、ナムラクレセントと人気薄の孫が2、3着に入って波乱を演出したが、父も実際に勝っている方がより信頼が置ける。 ダンスインザダーク産駒の◎フォゲッタブルは1歳時のJRHAセレクトセールで2億4500万円で取り引きされた。母エアグルーヴは、オークス、天皇賞(秋)に勝ち、G1ジャパンCではピルサドスキーIRE、エルコンドルパサーUSAという世界最強クラスを相手に2年連続2着に入った名牝で、娘のアドマイヤグルーヴも2年連続エリザベス女王杯に勝ち、牡馬相手の天皇賞(秋)でも3着に入った名牝。祖母ダイナカールもやはり名牝で、オークスに勝ち、古牝馬路線の整備されていなかった当時、アメリカJCC2着、アルゼンチン共和国杯3着、有馬記念4着など、牡馬相手に健闘した。祖母からはエアグルーヴ以外の系統からも、高松宮記念のオレハマッテルゼ、マイラーズCのエガオヲミセテ、G3アンタレスSのウォータクティクスなどが出ていて、今後、更に大きく発展する可能性を持っている。サンデーサイレンスUSA2代目とトニービンIREの組み合わせは今やすっかりこなれてきて、キャプテントゥーレをはじめ、多くの活躍馬を送り出している。確かに春先に伸び悩んだのはサンデーサイレンスUSA×トニービンIREにありがちな繊細な部分によるものだと思えるが、秋を迎えて大きく成長を遂げるのがダンスインザダークの特徴。このところマンハッタンカフェやネオユニヴァースといった新鋭に押され気味だが、サンデーサイレンスUSA後継のベテランとしての意地を見せたいところだろう。 マンハッタンカフェ産駒からはG1秋華賞でついに宿敵を破ったレッドディザイアのようなたくましい女の子も出てきたが、これはむしろ特異なケースで、一回好走するとガクッとくる傾向が少なからずある。これは消耗するまでレースで力を出し切るサンデーサイレンスUSA系一般に見られるもので、マンハッタンカフェ産駒の場合はそれが特に顕著。そういうわけで、というか逆に考えると、神戸新聞杯大敗の○アントニオバローズの巻き返しはあり得ること。3代母ナタルマはノーザンダンサーの母で1957年生まれという時間をスキップしてきたかのような記念碑的存在だが、このファミリーは欧州系ミスタープロスペクターの主流マキアヴェリアンをはじめ、今も大きな影響力を保っている。母の父は世界的大種牡馬で、エルコンドルパサーUSAやアルカセットUSAなど日本競馬への高い適性も示している。母の父として、サンデーサイレンスUSAとの組み合わせから天皇賞(春)のスズカマンボを出していて、未知のこの距離にも血統的にはメドが立っている。3代目に愛ダービー馬ローソサイアティ、G1ブリーダーズCマイル連覇のミエスクとニアルコス家の名馬が並び、同じ1969年生まれでともにG1ユナイティドネーションズHに1年違いで勝ったヘイローとテンタムが並んでいるあたりの血統的なデザインも美しい。 ▲アンライバルドの父は皐月賞とダービーを制して菊花賞では3着に終わった。当時の2着が年長の甥にあたるリンカーンで、勝ち馬はダンスインザダーク産駒だった。また、13歳上の半兄フサイチコンコルドはダービーで破ったダンスインザダークの逆襲に遭って3着に終わっている。菊花賞に縁がないといえばそうともいえるが、こういった負のエネルギーは臨界点に達するとそれこそ一気。祖母はG1英オークス、G1ヨークシャーオークスに勝っただけでなく、G1英セントレジャーに勝ち、G1キングジョージVI世&クイーンエリザベスS3着、G1凱旋門賞2着と、牡馬に伍して劣ることのなかった名牝。父もクリスやシャンタンといった渋い欧州血統を持っているので、潜在的なスタミナという点ではメンバー随一といっていい。血統的因縁を考えると、この馬から買うなら、相手にはダンスインザダークを取っておきたいですね。 △ナカヤマフェスタの牝系は先日引退した大種牡馬シアトリカル(G1ブリーダーズCターフ)と同じで、ここからはパラダイスクリークUSAやワイルドイヴェント、フォービドンアップルといった北米の芝の名馬に、安田記念のタイキブリザードUSAらが出ている。北米芝路線の低迷とともに鳴りを潜めている牝系だが、配合されてきた種牡馬は長打力に富むものばかり。母が2×4で持つヒズマジェスティ、祖母の父デインヒルUSA、そして父の持つサッカーボーイ血脈はいずれも大一番で力を発揮するアイテム。 大穴でキタサンチーフ。母は90年のジャパンC勝ち馬ベタールースンアップAUSの半妹で、父はこの春の天皇賞馬の父となった。 |
競馬ブック増刊号「血統をよむ」2009.10.25
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