2008皐月賞


奇跡の春は続く

 今年の3歳世代はフリーハンデを作っていてもレーティングが伸びない。もともと2歳フリーハンデではトップが112のゴスホークケンで、110以上はその1頭だけ。過去、同様に1頭だけだったのは96年、マイネルマックスが首位の世代まで遡らなければならない。そして迎えたクラシック。現状はどうかを下に示した。左が合同フリーハンデで、右がJRAのレーティング。弥生賞の評価に差があるため大きく違うように見えるが、いずれも前年の2歳首位のレーティングを上回っておらず、しかも、10位までが3ポイント差(≒1½馬身)に収まった。つまり、いずれもドングリの背比べという状況を示している。これは先週の桜花賞とよく似ていて、大荒れになるとはいわないまでも、人気の差ほど力の差はないと捉えておく必要がある。

合同FHプレレーティングJRAプレレーティング


レーテ
ィング
馬名 2歳時

レーテ
ィング
馬名 2歳時
1 108 スマイルジャック 104 1 109 マイネルチャールズ 101
1 106 レッツゴーキリシマ 108 2 103 キャプテントゥーレ 107
3 101 キャプテントゥーレ 107 2 107 スマイルジャック 105
3 107 ドリームシグナル 104 2   フサイチアソート 107
3 107 フローテーション 101 2 107 ブラックシェル 100
3 107 レインボーペガサス 107 2 104 レッツゴーキリシマ 107
7 103 フサイチアソート 106 7   サブジェクト 106
8 94 サブジェクト 105 7 106 ショウナンアルバ
8 105 ショウナンアルバ 7 106 タケミカヅチ 102
8 105 マイネルチャールズ 100 7 106 フローテーション 101
11 99 スズジュピター 104 11   スズジュピター 105
11 104 ブラックシェル 99 11 105 ドリームシグナル 104
13 94 オリエンタルロック 103 11 105 レインボーペガサス 103
13 103 タケミカヅチ 102 14 104 ベンチャーナイン
13 103 ベンチャーナイン 98 15   オリエンタルロック 102
16 102 ノットアローン 99 15 102 スマートファルコン
17 101 ダンツウィニング 100 15 102 ノットアローン
18 99 スマートファルコン 94 18 101 ダンツウィニング


 こうして、いつものように無謀な穴狙いに走ることになるわけだが、今回は格好のトピックがある。高松宮記念のファイングレインとキンシャサノキセキを筆頭とする産駒の活躍で種牡馬ランキング4位につけていたフジキセキが、先週の阪神牝馬S勝ちのエイジアンウインズ、桜花賞2着のエフティマイアによって賞金を上積みし、ついにトップに立った。2位アグネスタキオンとはわずかな差しかなく、しかも向こうにはダイワスカーレット、アドマイヤオーラといったスラッガーが控えているので、その座は安泰でもないが、ドバイシーマクラシックでは豪州産の南アフリカ調教馬サンクラシークが楽勝で世界デビューを果たしたようにフジキセキの血は今が旬。そこでサブジェクトに期待した。牝系はビワハヤヒデの父シャルードや米G13勝のジョリーズヘイロー、そしてドバイデューティフリー勝ち馬ジェイペグの父カムデンパークと同じ。この牝系から出た一番の大物でサンタアニタHなどG13勝を挙げたサザンイミッジは母の父がディキシーランドバンド、父がヘイロー直仔だから、配合的にもそっくり。ディキシーランドバンドは昨年のケンタッキーダービー馬ストリートセンスの母の父でもあるので、最近の世界競馬の華やかなアイテムを取り揃えた血統といえる。

リーディングサイアー全馬総合〔中央+地方〕 (JBIS発表、08年4月15日現在)

馬名 産地 出走
頭数
勝馬
頭数
勝利
回数
入着賞金(千)
(本賞+付加賞)
勝馬
AEI 代表産駒
1 フジキセキ 千歳 210 51 67 928,577 0.24 2.61 ファイングレイン
2 アグネスタキオン 千歳 185 52 77 912,435 0.28 2.91 アドマイヤオーラ
3 ブライアンズタイム 180 45 66 822,949 0.25 2.69 マイネルチャールズ
4 サンデーサイレンス 139 23 30 771,884 0.17 3.27 エアシェイディ
5 フレンチデピュティ 155 45 56 675,235 0.29 2.57 レジネッタ
6 クロフネ 157 52 63 569,896 0.33 2.14 タニノハイクレア
7 エルコンドルパサー 85 29 34 552,601 0.34 3.83 ヴァーミリアン
8 ダンスインザダーク 千歳 243 38 49 506,122 0.16 1.23 コンラッド
9 サクラバクシンオー 早来 199 47 66 485,154 0.24 1.44 タイセイアトム
10 アドマイヤベガ 早来 162 30 41 473,089 0.19 1.72 アドマイヤフジ
11 シンボリクリスエス 104 24 31 441,672 0.23 2.50 ソーマジック
12 アフリート 151 43 72 384,124 0.28 1.50 ゼンノパルテノン
13 マヤノトップガン 新冠 164 32 47 379,252 0.20 1.36 メイショウトウコン
14 キングヘイロー 新冠 143 42 66 361,210 0.29 1.49 ローレルゲレイロ
15 タイキシャトル 153 45 72 338,338 0.29 1.30 サトノプログレス
16 マンハッタンカフェ 千歳 149 34 48 325,986 0.23 1.29 ヒカリシャトル
17 グラスワンダー 154 37 48 320,490 0.24 1.23 シルクネクサス
18 スペシャルウィーク 門別 188 34 46 283,453 0.18 0.89 フローテーション
19 ジャングルポケット 早来 81 26 40 282,881 0.32 2.06 タスカータソルテ
20 タニノギムレット 静内 119 31 36 282,473 0.26 1.40 スマイルジャック
23 ウォーエンブレム 26 8 10 230,899 0.31 5.23 ショウナンアルバ
26 アグネスデジタル 68 19 21 219,981 0.28 1.91 ドリームシグナル
29 コマンダーインチーフ 159 37 53 211,078 0.23 0.78 ダンツウィニング
41 メジロライアン 伊達 107 20 25 143,542 0.19 0.79 ワイルドファイアー
43 ゴールドアリュール 追分 51 9 10 137,198 0.18 1.58 タケミカヅチ
57 トワイニング 90 17 26 115,128 0.19 0.75 トウカイハッスル
63 エイシンサンディ 浦河 131 30 40 96,116 0.23 0.43 ベンチャーナイン
太字は今回出走馬の父


 マイネルマックスの世代はサニーブライアンが皐月賞とダービーを制した。その父はブライアンズタイム。こちらも現在3位でリーディング奪取の目はあるし、サンデーサイレンスでなければブライアンズタイムというくらい皐月賞に強い血統だけに、マイネルチャールズのここまでの中山2000mでの強さにも納得がいく。母はオーストラリアのチャンピオンサイアー・ザビールとミルリーフの配合によるニュージーランド産馬。ロックドゥカンブ、キンシャサノキセキといった昨年来の南半球産馬の活躍に通じるものがある。

 サイアーランキングでいうと手応え十分に好位を追走するアグネスタキオン。その産駒では▲レインボーペガサスだろう。この母の父が大レースで示す底力は人気薄でディープインパクトの2着に突っ込んだシックスセンスの例でも証明済み。母は京都牝馬S3着の活躍馬で、祖母は中山牝馬Sなど重賞2勝。

 スマイルジャックの母はサンデーサイレンス×マルゼンスキー×セントクレスピンというスペシャルウィーク配合。父は02年の3着馬だから、ここは3着に泣いてダービーで笑うことになりそうな気がする。ただ、やはり桜花賞馬も母の父サンデーサイレンスだったので、ここ一番での底力は侮り難い。

 このレースで3着に泣いたといえばメジロライアン。その直仔レッツゴーキリシマは母がナスルーラ4×4、祖母がプリンスキロ3×3で、そこにメジロライアンだから2000mは合う。祖母がマルゼンスキーの半妹という牝系もA級。

 ベンチャーナインは3代母が米G1エイコーンS勝ちの名牝。父はフジキセキに次ぐSS直仔のベテランだし、血統表にはダンシングブレーヴ、アリダー、ヒズマジェスティといった大レース向きの血脈が潜む。それをヘイルトゥリーズン4×5、ノーザンダンサー4×5でまとめた血統は地味だが中身が濃い。


競馬ブック増刊号「血統をよむ」2008.4.20
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