2008オークス


オークスのVIP血脈

 このレースを攻略するにあたって、これまでも血統表中に潜むテスコボーイを探せ(06年)とか、ダービー(相当レースか凱旋門賞)勝ち馬の産駒か娘の子を狙え(07年)とか、作戦はいろいろ立ててみたのだが、成果は思わしくない。そういった法則は気付くと同時に崩壊するという法則があるからだ。しかも、それらはたまたまそうなっていただけで、法則でも何でもなかったのかもしれない。そこで今回はもう少しましな方法を考えた。過去10年の1〜3着馬の父から3代母の父までを並べ、まずオークス重要血脈を探ってみる(下表参照)。3×4×10=120で延べ120頭のうち、最重要血脈は10回登場のサンデーサイレンス。次が5回のノーザンダンサー、3回のヌレエフ、それ以外の太字馬名が2回で続く。そうやって重要血脈を頭に入れておいて今回の出走馬の血統表を眺めると、意外にもポイントが高いのはレジネッタだった。母の父がサンデーサイレンスで3代母の父はノーザンダンサー。そういえば昨年の勝ち馬ローブデコルテはコジーン×シーキングザゴールドというマイラー然とした配合でも3代母の父がノーザンダンサーだった。どうもノーザンダンサー本人が母系にじかに入っていると底力が違うみたい。牡馬でもナリタブライアンとかタップダンスシチーとか、例はいくらでもある。特にレジネッタの場合は牝系が当代屈指の名門フォールアスペン系。桜花賞と天皇賞(春)という距離が倍も違うレースに勝った今年の父の勢いも驚異的。全兄アエローザは2200mと2400mで強い勝ち方をした。ただ、ドバイミレニアムに代表されるこの牝系の一流馬のスピードとパワーは2000mまでで生きるようにも思う。牝馬2冠の難しさも考慮するとが妥当。

 マイネレーツェルは母の父サクラユタカオー(99年勝ち馬の父)、祖母の父マルゼンスキー(99年3着馬の母の父)、3代母の父ヴェンチア(02年勝ち馬の3代母の父)と、各1回登場の種牡馬が母系に3代続いた。これで今回3着以内に食い込めば一気に3ペア成立するわけだ。そうでなくても、マルゼンスキーは産駒にサクラチトセオーサクラチヨノオー、ヴェンチアはクライムカイザーというダービー馬を送り、4代母の父は三冠馬シンザン、5代母の父ライジングフレームも大種牡馬で産駒にはオークス馬チトセホープがいて、2400mは望むところ。サンデーサイレンスとマルゼンスキー、ノーザンテーストとサクラユタカオーといったニックスも潜む配合だけに奥が深く、この父に特有の意外性も備えている。6代母ダイアンケーの子孫には、かつて菊花賞のダイコーター、大阪杯のハシクランツといった活躍馬が多く出たが、重賞勝ち馬は89年の新潟大賞典に勝ったメモリーバイス以来この馬が19年ぶり。在来の名門復興の役にふさわしい日本的な血統を積み重ねた。

 ▲エアパスカルは母がサンデーサイレンス×ストームキャットという重要血脈同士の組み合わせ。その全兄ブラックタキシードはセントライト記念勝ち馬だから、母系からは距離克服にはある程度の見込みが立つ。父は結果的に産駒の少数精鋭ぶりが際立つ反面、距離に関しては未知数だが、パーソナルエンスンやロードアットウォーといった名牝名馬の異色の血を持っているので、計り知れない部分もまだ残している。

 今年の芝のG1・Jpn1はフジキセキ、フレンチデピュティ、アグネスタキオンの3頭が2勝ずつで分け合ってきた。このままぐるぐる回すのだろうか。アグネスタキオンは目下リーディングのトップ。ダイワスカーレットの戦線離脱を3歳の大物出現で補っている。リトルアマポーラは母の父が英ダービー馬。ダービー馬(かそれに準ずる馬)の子か娘の子が勝つというのは冒頭に述べた通り昨年崩れた法則だが、それまでは結構有効だった。1年おいて流れが戻るかもしれない。

 その“ダービー馬”の法則を持ち出すと浮上するのがカレイジャスミン。父タヤスツヨシはダービー馬で、母の父エリシオは凱旋門賞圧勝。3代母はノーザンテースト産駒のオークス馬シャダイアイバー。2400m向きなのは確か。

 スペルバインドはディープインパクトと同世代に生まれた苦しみをモロに背負ったシックスセンスの半妹。母の父デインヒルに注。


過去10年 オークス入着馬の血統


馬名
前走 母の父 祖母の父 3代母の父
98 エリモエクセル 忘れな1 ロドリゴデトリアーノUSA Riverman Exclusive Native Northern Dancer
エアデジャヴー 桜花賞3 ノーザンテーストCAN Well Decorated Gleaming Ribot
ファレノプシス 桜花賞1 ブライアンズタイムUSA Storm Cat Damascus Acropolis
99 ウメノファイバー 桜花賞6 サクラユタカオー ノーザンディクテイターUSA シルバーシャークIRE セダンFR
トゥザヴィクトリー 桜花賞3 サンデーサイレンスUSA Nureyev Sharpen Up Terrible Tiger
プリモディーネ 桜花賞1 アフリートCAN マルゼンスキー イエローゴッドGB モンタヴァルFR
00 シルクプリマドンナ 桜花賞3 ブライアンズタイムUSA Northern Dancer In Reality Dedicate
チアズグレイス 桜花賞1 サンデーサイレンスUSA Al Nasr Northfields Kashmir
オリーブクラウン 16 桜花賞10 ドクターデヴィアスIRE Nureyev What a Pleasure Royal Union
01 レディパステル フロー2 トニービンIRE Blushing Groom Dr. Fager Nearco
ローズバド フロー3 サンデーサイレンスUSA Shirley Heights Lyphard Secretariat
テイエムオーシャン 桜花賞1 ダンシングブレーヴUSA リヴリアUSA マグニテュードIRE イーグルGB
02 スマイルトゥモロー 桜花賞6 ホワイトマズルGB サウスアトランティックIRE パーソロンIRE ヴェンチアGB
チャペルコンサート 12 桜花賞7 サンデーサイレンスUSA Sharpo Known Fact ソーブレスドGB
ユウキャラット 忘れな1 ウイニングチケット ノーザンディクテイターUSA ムーンマウンテンUSA Enviado
03 スティルインラブ 桜花賞1 サンデーサイレンスUSA Roberto Northern Dancer Creme dela Creme
チューニー 13 桜花賞12 サンデーサイレンスUSA Kris Seattle Slew Northern Dancer
シンコールビー フロー1 サクラローレル Storm Cat Watch Your Step Carry Back
04 ダイワエルシエーロ 桜花賞7 サンデーサイレンスUSA ドクターデヴィアスIRE Danzig Damascus
スイープトウショウ 桜花賞5 エンドスウィープUSA ダンシングブレーヴUSA トウショウボーイ ダンディルートFR
ヤマニンアラバスタ 桜花賞9 ゴールデンフェザントUSA タマモクロス ファバージFR キノーUSA
05 シーザリオ 桜花賞2 スペシャルウィーク Sadler's Wells Habitat Le Fabuleux
エアメサイア 桜花賞4 サンデーサイレンスUSA ノーザンテーストCAN Well Decorated Gleaming
ディアデラノビア フロー1 サンデーサイレンスUSA Potrillazo Banner Sport Right of Way
06 カワカミプリンセス スイー1 キングヘイロー Seattle Slew Secretariat Key to the Mint
フサイチパンドラ 桜花賞14 サンデーサイレンスUSA Nureyev Buckpasser Traffic Judge
アサヒライジング 桜花賞4 ロイヤルタッチ ミナガワマンナ ボンモーFR タマナーFR
07 ローブデコルテ 桜花賞4 Cozzene Seeking the Gold Northern Dancer Creme dela Creme
ベッラレイア フロー1 ナリタトップロード Baldski Argument Round Table
ラブカーナ スイー2 オースIRE Caerleon Luthier パーシアGB
太字は複数回登場する種牡馬  

競馬ブック増刊号「血統をよむ」2008.5.25
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