2008ジャパンCダート


ロベルト×SSの成功

 11月3日、園田JBCの帰り道、「にいちゃん」と竹内力ふうのおっちゃんに声をかけられた。「今日の武の馬はやっぱり強いの?」はあ、まあ日本一強いでしょうね「そうか。ほな、あの2着の馬も強いんや」3歳であれだけやれるんやから強いですわな。「今日のやつらはまた次、出てくるん?」12月の阪神でみんな出てきますよ。「ふ〜ん、そうか。ワシな、園田で1億円のレースやるいうから来てみたんや。そうか、そんな強いんか……」とか何とかいいつつ、当日の園田競馬場には2万2174人の入場があったという。もともと園田は梅田からたった4駅という恵まれた場所で、JBCクラシックが1着賞金1億円、JBCスプリントが8千万円というお祭りの高揚感が人を集めた。関西では初めてという新鮮さもあっただろう。ジャパンCダートは今回から阪神1800mとなって、米国から3頭の挑戦があった。従来通り東京2100mだったらどうかは何ともいえないが、たとえ右回りでも、2100mより1800mの方が米国勢に好まれるのは確か。しかし、いずれにせよ早晩飽きられる。これは国際レースの宿命のようなものだ。日本がパートI国となって、強い海外に学ぼうというジャパンCの所期の目的を達したとすれば、今後はお祭りと割り切って新たな展開を考える必要もあるのではないだろうか。たとえばジャパンCとJCダートをセットにしてJRA各場の持ち回りとすれば、売り上げはともかく、各地の競馬ファンの掘り起こしにつながるし、京都や小倉が気に入る海外の関係者も現れるかもしれない。芝2000mとダート1700mならローカル場でも設定可能で、多くの一流馬が参加しやすい距離でもある。
 さて、今年のダート戦線は、王者ヴァーミリアンとその海外遠征にともなう不在、サクセスブロッケンに代表される3歳世代のレベルの高さと、やはりこちらも国内にいればトップを争ったであろうカジノドライヴUSAの不在という流れの中で、古馬JpnIのタイトルは分け合われてきた。そうやって秋が深まるまで蛇行してきた流れをまとめたのがJBCクラシックで、やはりヴァーミリアンとサクセスブロッケンが強いということが分かった。あとはカジノドライヴUSAが割って入るかどうか。
 サクセスブロッケンのJBCクラシックはスタートで脚を滑らせハナに立つまでいつもより手間取り、ハナに立ったら立ったで3番手を進むヴァーミリアンの格好の目標となり、見方によっては厳しい流れ。直線に向いてヴァーミリアンに前に出られた時点でそのまま突き放されておかしくなかった。ところが内から盛り返して馬体を接すると、そこから更に食い下がってクビ差のゴール。勝つときは一方的に押し切ってきたヴァーミリアンも、これにはちょっと慌てたのではないだろうか。サクセスブロッケンの父シンボリクリスエスUSAは春にダービー2着、秋は神戸新聞杯で後の菊花賞馬ヒシミラクルを含む同世代を一蹴すると、天皇賞1着、ジャパンC3着を経て、有馬記念勝ちで頂点に立った。やや晩成型だが、波に乗ると一気に頂点まで上り詰めるロベルト系らしい成長力を備えている。JBCの内容はその面もしっかり伝わっていることを示すものだった。母の父がサンデーサイレンスUSAだから、ジャパンC勝ちのスクリーンヒーローと同じくロベルト系×サンデーサイレンスUSAのパターン。菊花賞4着ジャングルポケットの仔オウケンブルースリが菊花賞に勝ち、エルコンドルパサーUSA、スペシャルウィークと同世代の95年生まれ3強の中で唯一ジャパンCのタイトルがなかったグラスワンダーUSA(そもそも出走してないわけだが)の産駒スクリーンヒーローの快走と、この秋は“血統的リベンジ”が隠れた傾向。母はフィリーズレビューを快勝し、本番の桜花賞では本紙本命(3番人気)となったが、同厩アローキャリーの快走の前に涙を呑んでおり、阪神の大舞台で母の雪辱というシナリオもあり得る。今が成長期だけに2度目の対戦なら逆転も可能だ。

 ヴァーミリアンはダイワスカーレットと同じ“スカーレット一族”。このファミリーはノーザンテーストCANとサンデーサイレンスUSAの血を取り込むことで、それまでなかなか越えられなかったG1の壁を突破した。長く安定して好成績を残せているのもこの母の血、とりわけノーザンテーストCANの存在が大きいと思える。

 ▲カジノドライヴUSAはジャジル、ラグズトゥリッチズという2頭のベルモントS勝ち馬の半弟で父は03年の米年度代表馬。BCクラシックの敗因はいろいろ取り沙汰されているが、普通キャリア3戦では厳しいですわな。ワイルドワンダーはブライアンズタイムUSA×サンデーサイレンスUSAの血が不気味。


2008年 ダート重賞・オープン競走対戦表
日付レース名場所条件距離1着馬 着差2着馬 着差3着馬 着差4着馬 
1/27平安SGIII京都 1800クワイエットデイ57メイショウトウコン58マコトスパルビエロ55½ロングプライド56
1/30川崎記念JpnI川崎 2100フィールドルージュ57フリオーソ56シャドウゲイト57アンパサンド56
2/4根岸SGIII東京 1400ワイルドワンダー57タイセイアトム57½アドマイヤスバル56トーセンブライト56
2/24ヒヤシンスSOP東京3歳1600サクセスブロッケン56ダイワマックワン57セッカチセージ56ナンヨーヒルトップ56
2/24フェブラリーSGI東京 1600ヴァーミリアン57ブルーコンコルド57ワイルドワンダー57ロングプライド57
3/5ダイオライト記念JpnII船橋 2500フリオーソ55ボンネビルレコード56サカラート56マコトスパルビエロ55
3/20名古屋大賞典JpnIII名古屋 1900メイショウトウコン58½アルドラゴン57サカラート58クインオブクイン54
4/2マリーンCJpnIII船橋1600メイショウバトラー56ラピッドオレンジ56サヨウナラ57½パフィオペディラム55
4/27アンタレスSGIII京都 1800ワンダースピード56ドラゴンファイヤー57½サンライズバッカス58½フィフティーワナーUSA56
5/3端午SOP京都3歳1800サクセスブロッケン57ユビキタス56ナムラハンター56コロナグラフ56
5/5かしわ記念JpnI船橋 1600ボンネビルレコード57ブルーコンコルド57½ワイルドワンダー57フジノウェーブ57
5/6かきつばた記念JpnIII名古屋 1400コンゴウリキシオーIRE58¾リミットレスビッド58メイショウバトラー55¾キングスゾーン57
5/10ピーターパンSGIIBel.3歳1800カジノドライヴUSA525Mint Lane525½Ready's Echo525Golden Spikes525
5/25東海SGII中京 2300ヤマトマリオン55½ラッキーブレイク57フィフティーワナーUSA57ワンダースピード57
5/28さきたま杯JpnIII浦和 1400リミットレスビッド58メイショウバトラー55キングスゾーン57プライドキム56
6/25帝王賞JpnI大井 2000フリオーソ57ボンネビルレコード57½コウエイノホシ57マルヨフェニックス57
7/9ジャパンダートダービーJpnI大井3歳2000サクセスブロッケン56スマートファルコン56コラボスフィーダ56½ドリームスカイ56
7/13プロキオンSGIII阪神 1400ヴァンクルタテヤマ56ワイルドワンダー57¾サンライズバッカス58バンブーエール56
7/16スパーキングレディーCJpnIII川崎1600トーセンジョウオー57メイショウバトラー56ニシノナースコール55スターオブジェンヌ55
8/14ブリーダーズGCJpnII旭川 2300メイショウトウコン57サカラート57ヤマトマリオン55カオリノーブル56
9/13エルムSGIII札幌 1700フェラーリピサUSA57トーセンブライト56エアアドニス56メイショウトウコン58
9/23日本テレビ盃JpnII船橋 1600ボンネビルレコード58¾フリオーソ58サンライズバッカス57コアレスデジタル56
10/4シリウスSGIII阪神 2000マイネルアワグラス54ワンダースピード57ダークメッセージ56ラッキーブレイク55
10/13南部杯JpnI盛岡 1600ブルーコンコルド57メイショウバトラー55ワイルドワンダー57キングスゾーン57
11/3JBCスプリントJpnI園田 1400バンブーエール57スマートファルコン56アルドラゴン57ブルーコンコルド57
11/3JBCクラシックJpnI園田 1870ヴァーミリアン57サクセスブロッケン55¾メイショウトウコン57フリオーソ57
11/8武蔵野SGIII東京 1600キクノサリーレ55¾サンライズバッカス58ユビキタス56¾カルナバリート56
今回の出走馬が4着以内に入ったレースを抽出(11月30日まで)

競馬ブック増刊号「血統をよむ」2008.12.7
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