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昨年サンデーサイレンスは父馬として、そして母の父馬として両方でチャンピオンの座に就いた。これは92年度のノーザンテースト以来の快挙。今年はアグネスタキオンやフジキセキといった二世の躍進によって、チャンピオンサイアーのタイトルには黄信号が灯っているが、ブルードメアサイアーとしては昨年以上のペースで驀進中だ(表1)。ランキングの数値以上に質的な充実度が分かるのが娘の子の重賞勝ち(表2)で、02年生、03年生、05年生からはそれぞれ国際G1勝ち馬が出現している。ひょっとすると天皇賞の半日前には母の父SSのケンタッキーダービー馬誕生という可能性もある(テールオブエカティ)。 |
| 表1) サンデーサイレンスUSAのブルードメアサイアー累年成績 | |||||||||||||
| 年度 | 順位 | 出走 | 勝利 | 入着 | 重賞勝 | A E I | 収得賞金 | 回数 | 頭数 | 回数 | 頭数 | 回数 | 頭数 | 回数 | 頭数 | 全般 | 重賞 | 全般 | 重賞 |
| 1999 | 902 | 30 | 5 | 2 | 1 | 4 | 2 | − | − | 0.32 | − | \6,938,000 | − |
| 2000 | 194 | 125 | 21 | 12 | 8 | 18 | 4 | 0 | 0 | 1.22 | 0.09 | \112,511,000 | \1,700,000 |
| 2001 | 109 | 292 | 50 | 28 | 19 | 62 | 12 | 0 | 0 | 1.02 | 0.13 | \216,011,000 | \3,750,000 |
| 2002 | 32 | 593 | 99 | 75 | 40 | 107 | 22 | 3 | 2 | 1.34 | 1.72 | \525,119,000 | \98,889,000 |
| 2003 | 10 | 1,260 | 179 | 144 | 87 | 247 | 34 | 2 | 2 | 1.68 | 1.25 | \1,166,718,000 | \199,946,000 |
| 2004 | 5 | 1,746 | 271 | 198 | 117 | 347 | 54 | 9 | 7 | 1.89 | 2.06 | \1,972,152,000 | \577,758,000 |
| 2005 | 2 | 2,327 | 352 | 256 | 161 | 449 | 88 | 17 | 12 | 2.32 | 2.85 | \3,095,537,000 | \1,245,722,000 |
| 2006 | 2 | 3,382 | 475 | 367 | 217 | 667 | 106 | 15 | 11 | 2.23 | 2.19 | \4,182,277,000 | \1,496,365,000 |
| 2007 | 1 | 4,158 | 587 | 464 | 272 | 891 | 137 | 23 | 16 | 2.51 | 3.10 | \5,900,654,500 | \2,496,322,000 |
| 2008 | 1 | 1,599 | 464 | 169 | 123 | 329 | 118 | 10 | 10 | 2.20 | 2.34 | \1,905,502,000 | \799,851,000 |
| ※JBIS発表による(2008年は4月30日現在)、A E Iはアーニングインデックス | |||||||||||||
| 表2) 母の父サンデーサイレンスUSAの重賞勝ち馬 | ||||||
| 生年 | 格 | 馬名 | 性 | 父 | 父系 | 主な勝ち鞍 |
| 1999 | 2 | プリサイスマシーン | 牡 | マヤノトップガン | HR | スワンS |
| 1999 | 2 | プレシャスカフェ | 牡 | ハートレイクGB | ND | CBC賞 |
| 1999 | II | マイソールサウンド | 牡 | タマモクロス | 阪神大賞典 | |
| 1999 | 3 | シャドウスケイプ | 牡 | フォーティナイナーUSA | MP | 根岸S |
| 2000 | II | アイポッパー | 牡 | サッカーボーイ | 阪神大賞典 | |
| 2000 | 2 | サカラート | 牡 | アフリートCAN | MP | 東海S |
| 2000 | 3 | スズノマーチ | 牡 | ティンバーカントリーUSA | MP | エプソムC |
| 2001 | 2 | ポップロック | 牡 | エリシオFR | ND | 目黒記念 |
| 2001 | 3 | ウイングレット | 牝 | タイキシャトルUSA | HR | 中山牝馬S |
| 2002 | I | ヴァーミリアン | 牡 | エルコンドルパサーUSA | MP | ジャパンCダート |
| 2002 | I | シャドウゲイト | 牡 | ホワイトマズルGB | ND | シンガポール航空国際C |
| 2002 | 1 | ラインクラフト | 牝 | エンドスウィープUSA | MP | 桜花賞 |
| 2002 | 3 | アンブロワーズ | 牝 | フレンチデピュティUSA | ND | 函館2歳S |
| 2002 | III | ヤマニンメルベイユ | 牝 | メジロマックイーン | 中山牝馬S | |
| 2002 | 3 | ライラプス | 牝 | フレンチデピュティUSA | ND | クイーンC |
| 2002 | III | ワイルドワンダー | 牡 | ブライアンズタイムUSA | HR | アンタレスS |
| 2003 | I | アドマイヤムーン | 牡 | エンドスウィープUSA | MP | ドバイデューティフリー |
| 2003 | 1 | ソングオブウインド | 牡 | エルコンドルパサーUSA | MP | 菊花賞 |
| 2003 | 1 | フサイチリシャール | 牡 | クロフネUSA | ND | 朝日杯フューチュリティS |
| 2003 | III | サイレントプライド | 牡 | フレンチデピュティUSA | ND | ダービー卿チャレンジT |
| 2003 | 3 | サクラメガワンダー | 牡 | グラスワンダーUSA | HR | 鳴尾記念 |
| 2003 | 3 | ラピッドオレンジ | 牝 | エルコンドルパサーUSA | MP | TCK女王杯 |
| 2004 | 1 | アサクサキングス | 牡 | ホワイトマズルGB | ND | 菊花賞 |
| 2004 | II | El Daana(AUS) | 牝 | Redoute's Choice | ND | エドワードマニフォルドS(豪) |
| 2004 | 3 | トーセンキャプテン | 牡 | ジャングルポケット | アーリントンC | |
| 2004 | 3 | フサイチホウオー | 牡 | ジャングルポケット | ラジオNIKKEI杯2歳S | |
| 2004 | III | マイネルシーガル | 牡 | ゼンノエルシドIRE | ND | 富士S |
| 2005 | I | Tale of Ekati(USA) | 牡 | Tale of the Cat | ND | ウッドメモリアルS(米) |
| 2005 | 1 | トールポピー | 牝 | ジャングルポケット | 阪神Jフィリーズ | |
| 2005 | 1 | レジネッタ | 牝 | フレンチデピュティUSA | ND | 桜花賞 |
| 2005 | 2 | スマイルジャック | 牡 | タニノギムレット | HR | スプリングS |
| 2005 | 2 | ナンヨーリバー | 牡 | スキャンUSA | MP | 兵庫チャンピオンシップ |
| 2005 | III | Young Pretender(FR) | 牡 | Oasis Dream | ND | ラロシェット賞(仏) |
| 2005 | 3 | エアパスカル | 牝 | ウォーエンブレムUSA | MP | チューリップ賞 |
| 2005 | 3 | ドリームシグナル | 牡 | アグネスデジタルUSA | MP | シンザン記念 |
| 2005 | 3 | フサイチアソート | 牡 | トワイニングUSA | MP | 東スポ杯2歳S |
| ※父系:ND=ノーザンダンサー系、MP=ミスタープロスペクター系、HR=ヘイルトゥリーズン系、その他は空欄 格はローマ数字が国際パート I グレード、アラビア数字はそれ以外(パートIIおよびJpn) | ||||||
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04年生まれの4歳は今のところ谷間世代といわざるを得ない。これはそのまま谷間のままか、遅まきながら盛り上がりを見せて前後世代の水準に達するか、当たり前だがふたつの可能性がある。ここで母の父SSの4歳が勝つようなら、今後の針路がどちらになるかはおのずと決まってくる。アサクサキングスはホワイトマズルとサンデーサイレンス牝馬の組み合わせ。これはシャドウゲイトと同じ。母は全6勝の半分を1200mで挙げており、その全兄ジェニュインも1600〜2000mで活躍した。しかし、奔放なホワイトマズルとの配合では、そういったマイラーの個性が脇に引っ込んで、もっぱらSSの底力を伝えることになったのだろう。ただ、イングランディーレに代表されるように大レースで一発のあるホワイトマズル産駒には、気楽な人気薄でこそという面もある。ボールドルーラー5×4、ノーザンダンサー4×5という近交には力任せの不器用さも見え隠れしており、人気を背負っての競馬はストレスとなる恐れがなきにしもあらず。○。 表2で分かるようにサンデーサイレンス牝馬の産駒はノーザンダンサー系やミスタープロスペクター系種牡馬との配合による重賞勝ち馬が多いが、これは分母が圧倒的に多いせい。主流でも異系でも、大抵の系統に能力を上乗せするのがSSマジックといっていい。メジロマックイーン×SS牝馬の配合ではヤマニンメルベイユが中山牝馬Sに勝ったばかり。同じ組み合わせの◎ホクトスルタンは牝系がファンシミン系。多くの重賞コレクションを誇りながら長く大レースの壁を越えられないファミリーだったが、ラインクラフトが出現すると、次の年にはソングオブウインドが菊花賞に勝った。いずれもサンデーサイレンスがひと役買っており、そのあたりは“スカーレット一族”にも通じる流れ。父は遂に牡馬の重賞勝ち産駒を見ないまま世を去ったが、そのぶん逆にそろそろという気もする。父系にはノーザンダンサーのように大帝国を築くものと、途切れる寸前で細々と長く続くものがあって、トゥルビヨン系は後者の代表。種の保存と競走能力はまた別のもののような気もするが、お家存亡の危機にヒーロー出現というのはメジロアサマ以来の伝統だ。 旧約聖書の怪力サムソンはデリラという女に髪の毛を剃られて力を失った。▲メイショウサムソンも昨年の春以降を見ると、ウオッカや 03年のこのレースで大復活を遂げたヒシミラクル、3年連続3着の怪記録を持つナリタトップロードなど、サッカーボーイの血は要チェック。△ドリームパスポートは祖母がサッカーボーイの全妹。父は4月なかばを過ぎてプチ・ブーム終息が懸念されるフジキセキだが、“母の父トニービン”は皐月賞のキャプテントゥーレや3連勝のスプリングソングなどが現れた新たな流行アイテム。 サッカーボーイ直仔のアイポッパーはすでに8歳だが、サッカーボーイの全妹にサンデーサイレンスという、ちょうど逆パターンの配合によるステイゴールド(ドリームパスポートの伯父)は、7歳暮れの香港ヴァーズでG1勝ち。ノーザンテースト+ディクタス+SSという組み合わせには、強力な能力維持効果があるようだ。 |
競馬ブック増刊号「血統をよむ」2008.5.4
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