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例えば日本でもお馴染みのウィジャボードのように、一流の牝馬が長く現役に留まる傾向を受けて、英・仏・愛では04年にファルマスS、サンチャリオットS、アスタルテ賞、メートロンS、プリティポリーSの古馬が出られる5つの牝馬重賞がG1に昇格し、3歳限定のヴェルメーユ賞が古馬にも開放された。チャンスの拡大を受けてウィジャボードが現役を5歳まで続けたともとれるが、いずれにしても、そういった相乗効果によって多くの名牝が活躍の場を得た。ヨークシャーオークスがやっと古馬に開放された99年以前の一流牝馬は3歳で引退するか、牡馬相手に戦いを続けるしかなかったことを考えると10年に満たない期間に大きな変化が起こったものだ。 そこで現状のパート1国のG1に占める牝馬限定戦の割合を表にしてみた。下の表1の太字の部分。その他は当該国の競馬の大体の規模を示すと思われるデータを拾ってくっつけた。年度がずれているが、目安としてはこれで用を果たす。これらのうち全G1に占める牝馬限定戦の割合がずば抜けて高いのはアメリカ合衆国の44.34%。ほぼ牡牝対称の番組体系となっているためだが、競走馬の販売国としては当然の戦略ともいえる。牡馬は1頭が1年100頭以上の産駒を出すのに対し、牝馬は1年1頭。矛盾するいい方になるが、希少価値の高い物の品揃えを最大限にするためには牝馬のG1が多いほど都合がいい。下の方の南米は軒並み30%超。これは2歳とか3歳とか世代限定戦が多いようで、特にアルゼンチンはG1全14レースの内訳が2歳5、3歳5、古馬4というもの。競馬場ごとにチャンピオン決定戦を作った結果だろう。南半球の競走馬販売大国オーストラリアの割合が低いが、これはシャトル種牡馬の成功の次の段階として、今後変化を見せることになるかもしれない。いずれにせよ、これらの数値から最大値と最小値を削って平均を出すと、牝馬限定戦は25.73%となる。これが世界的に平均的な割合ということができ、英・仏がそれに沿う数値になっている。 |
| 表1) パート1国のG1に占める牝馬限定戦の割合 | |||||||
| 国 | 生産登録 頭数※1 | レース 数※2 | 出走頭 数※3 | 全G | G1 | 牝馬 限定 | 占有率 (牝馬/全) |
| 日本(上段:パート1) (下段:G+Jpn) | 7,930 | 18,080 | 28,897 | 59 | 12 | 1 | 8.33% |
| 160 | 32 | 6 | 18.75% | ||||
| アメリカ | 52,257 | 52,061 | 66,200 | 468 | 106 | 47 | 44.34% |
| カナダ | 2,580 | 5,238 | 7,750 | 37 | 3 | 1 | 33.33% |
| イギリス | 6,003 | 5,301 | 9,471 | 139 | 31 | 9 | 29.03% |
| フランス | 5,252 | 4,532 | 8,326 | 107 | 26 | 7 | 26.92% |
| アイルランド | 11,748 | 868 | 2,130 | 57 | 12 | 5 | 41.67% |
| ドイツ | 1,185 | 1,840 | 3,051 | 48 | 7 | 1 | 14.29% |
| イタリア | 2,184 | 5,605 | 6,385 | 27 | 8 | 1 | 12.50% |
| オーストラリア | 17,178 | 19,828 | 30,591 | 259 | 67 | 12 | 17.91% |
| ニュージーランド | 4,600 | 2,671 | 5,611 | 78 | 24 | 3 | 12.50% |
| アルゼンチン | ? | 7,268 | 12,762 | 155 | 44 | 14 | 31.82% |
| ブラジル | 3,034 | 5,105 | 7,017 | 103 | 29 | 9 | 31.03% |
| チリ | 1,761 | 6,270 | 4,169 | 63 | 18 | 6 | 33.33% |
| ペルー | 386 | ? | 1,526 | 34 | 8 | 3 | 37.50% |
| 南アフリカ | 2,974 | 4,113 | 6,876 | 112 | 32 | 11 | 34.38% |
| UAE | 36 | 288 | 1,038 | 17 | 4 | 0 | 0.00% |
| ※1=2005年米ジョッキークラブ統計 ※2=2005年IFHA統計(平地のみ) ※3=ICSブック2007 | |||||||
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このデータが語るもう一点は、日本の一流牝馬は世界でも最難関といえる戦いにさらされているということ。そう考えれば、アメリカ遠征で毎年好成績を残すのも驚くにはあたらない。そこでG1アメリカンオークス2着の◎アサヒライジングに期待してみた。昨年の勝ち馬ダンスインザムードも同レースの2着馬ですからね。表2は過去10年の主要牝馬限定戦で大穴を開けた馬の一覧。どうも傾向が掴み辛いが、大レースの例に漏れず人気薄でもSS系は怖そうだということは読みとれる。父がSS直仔、母はミナガワマンナ×ボンモーのステイヤー。4歳を迎えてもう一段階強くなる可能性が高い血統には違いない。 ○カワカミプリンセスは実質無敗。父系祖父ダンシングブレーヴの娘にはエリモシック、キョウエイマーチ、テイエムオーシャンらが出ており、サンデーサイレンスの大攻勢に敢然と抵抗した数少ない血統。母のシアトルスルー×セクレタリアトという米三冠馬配合は、米年度代表馬で大種牡馬のエーピーインディと同じ組み合わせ。まだ奥がある良血。 ▲スイープトウショウは母の父がダンシングブレーヴ。加齢とともにアテにしにくくはなってきたが、破壊力という点では衰えなし。 △フサイチパンドラは名門ベストインショウ系。今季無敗で5月4日のG1ケンタッキーオークスを圧勝したラグズトゥリッチズは同じくベストインショウの曾孫。これだけの名門が活動を活発にしはじめたとなると、日米連続の快挙も十分。 コイウタは父フジキセキ、祖母の父Mr.プロスペクターの“カネヒキリ配合”。牝系も良く一発あり。 |
| 表2) 過去10年の主要牝馬限定戦での大穴一覧 (6番人気以下) | ||||||
| 年度 | レース | 着 | 人気 | 馬名 | 父 | 母の父 |
| 1997 | 優駿牝馬 | 2 | 13 | ナナヨーウイング | セレスティアルストームUSA | バンブーアトラス |
| 1998 | 優駿牝馬 | 1 | 7 | エリモエクセル | ロドリゴデトリアーノUSA | Riverman |
| 秋華賞 | 2 | 14 | ナリタルナパーク | ブライアンズタイムUSA | ノーザンテーストCAN | |
| 1999 | 優駿牝馬 | 1 | 7 | ウメノファイバー | サクラユタカオー | ノーザンディクテイターUSA |
| 秋華賞 | 1 | 12 | ブゼンキャンドル | モガミFR | アスワン | |
| 秋華賞 | 2 | 10 | クロックワーク | リアルシャダイUSA | ゲイメセンUSA | |
| エ女王杯 | 2 | 7 | フサイチエアデール | サンデーサイレンスUSA | Mr. Prospector | |
| 2000 | 桜花賞 | 1 | 6 | チアズグレイス | サンデーサイレンスUSA | Al Nasr |
| 桜花賞 | 2 | 7 | マヤノメイビー | Miswaki | Nijinsky | |
| 秋華賞 | 1 | 10 | ティコティコタック | サッカーボーイ | ブライアンズタイムUSA | |
| 秋華賞 | 2 | 7 | ヤマカツスズラン | ジェイドロバリーUSA | コリムスキーUSA | |
| 2002 | 桜花賞 | 1 | 13 | アローキャリー | ラストタイクーンIRE | サンキリコUSA |
| 桜花賞 | 2 | 7 | ブルーリッジリバー | フジキセキ | ノーザンテーストCAN | |
| 優駿牝馬 | 2 | 12 | チャペルコンサート | サンデーサイレンスUSA | Sharpo | |
| 2003 | 桜花賞 | 2 | 13 | シーイズトウショウ | サクラバクシンオー | トウショウフリート |
| 優駿牝馬 | 2 | 13 | チューニー | サンデーサイレンスUSA | Kris | |
| 2004 | 桜花賞 | 2 | 7 | アズマサンダース | サンデーサイレンスUSA | シンボリルドルフ |
| 優駿牝馬 | 1 | 6 | ダイワエルシエーロ | サンデーサイレンスUSA | ドクターデヴィアスIRE | |
| 2006 | 桜花賞 | 1 | 6 | キストゥヘヴン | アドマイヤベガ | ノーザンテーストCAN |
| エ女王杯 | 1 | 7 | フサイチパンドラ | サンデーサイレンスUSA | Nureyev | |
競馬ブック増刊号「血統をよむ」2007.5.13
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