2007桜花賞


名門牝系の輝き

 3強といっても、終わってみれば1強だったというケースが多い。予想者としては末席というか欄外にある私でも、長年やっているとその程度のことは学習する。で、過去の桜花賞で3着までを1〜3番人気が占めたケースがあったのかどうか調べてみた。(1)(2)(3)番人気で決まった年が出てきたらやめようと考えて始めると、これがなかなか出てこないもんですね。国営競馬時代の昭和28年(1953)まで遡ってやっと(1)(3)(2)番人気の決着が出現した。そこまで来たら最後(最初か?)までということで完成したのが下の表。血統とは何の関係もなくて申し訳ないが、せっかく作ったので載せておきます。よろしくご活用ください。ちなみに、薄い網掛けは(1)(2)番人気が1、2着。これも意外に少ない。

人気だけで見る桜花賞の歴史
人気順頭数勝ち馬
2006第66回(6)(1)(5)(18)キストゥヘヴン
2005第65回(2)(1)(10)(18)ラインクラフト
2004第64回(1)(7)(4)(18)ダンスインザムード
2003第63回(2)(13)(1)(17)スティルインラブ
2002第62回(13)(7)(1)(18)アローキャリー
2001第61回(1)(4)(2)(18)テイエムオーシャン
2000第60回(6)(7)(3)(18)チアズグレイス
1999第59回(4)(2)(5)(18)プリモディーネ
1998第58回(3)(4)(9)(18)ファレノプシス
1997第57回(1)(2)(8)(18)キョウエイマーチ
1996第56回(10)(4)(9)(18)ファイトガリバー
1995第55回(7)(3)(2)(18)ワンダーパヒューム
1994第54回(3)(12)(1)(18)オグリローマン
1993第53回(1)(5)(2)(18)ベガ
1992第52回(1)(6)(12)(18)ニシノフラワー
1991第51回(4)(13)(2)(18)シスタートウショウ
1990第50回(1)(3)(14)(18)アグネスフローラ
1989第49回(1)(6)(4)(18)シャダイカグラ
1988第48回(5)(4)(6)(18)アラホウトク
1987第47回(1)(2)(7)(18)マックスビューティ
1986第46回(1)(5)(12)(22)メジロラモーヌ
1985第45回(2)(11)(4)(22)エルプス
1984第44回(3)(6)(16)(21)ダイアナソロン
1983第43回(3)(7)(1)(22)シャダイソフィア
1982第42回(2)(3)(19)(21)リーゼングロス
1981第41回(1)(3)(5)(22)ブロケード
1980第40回(2)(7)(4)(21)ハギノトップレディ
1979第39回(15)(1)(9)(22)ホースメンテスコ
1978第38回(2)(3)(13)(21)オヤマテスコ
1977第37回(1)(2)(8)(20)インターグロリア
1976第36回(2)(3)(8)(22)テイタニヤ
1975第35回(1)(8)(2)(22)テスコガビー
1974第34回(4)(1)(8)(25)タカエノカオリ
1973第33回(1)(2)(11)(18)ニットウチドリ
1972第32回(8)(13)(4)(20)アチーブスター
1971第31回(1)(17)(7)(25)ナスノカオリ
1970第30回(1)(9)(5)(20)タマミ
1969第29回(3)(1)(4)(18)ヒデコトブキ
1968第28回(6)(2)(5)(24)コウユウ
1967第27回(2)(3)(11)(20)シーエース
1966第26回(4)(7)(1)(24)ワカクモ
1965第25回(3)(6)(7)(23)ハツユキ
1964第24回(4)(8)(3)(23)カネケヤキ
1963第23回(15)(4)(10)(25)ミスマサコ
1962第22回(4)(1)(15)(27)ケンホウ
1961第21回(2)(9)(10)(28)スギヒメ
1960第20回(2)(1)(5)(20)トキノキロク
1959第19回(2)(1)(7)(24)キヨタケ
1958第18回(1)(17)(7)(21)ホウシュウクイン
1957第17回(1)(2)(14)(17)ミスオンワード
1956第16回(4)(1)(2)(13)ミスリラ
1955第15回(3)(7)(2)(17)ヤシマベル
1954第14回(1)(7)(3)(13)ヤマイチ
1953第13回(1)(3)(2)(11)カンセイ
1952第12回(5)(1)(2)(8)スウヰスー
1951第11回(3)(2)(1)(11)ツキワカ
1950第10回(1)(2)(10)(14)トサミツル
1949第9回(2)(3)(1)(6)ヤシマドオター
1948第8回(2)(1)(3)(7)ハマカゼ
1947第7回(2)(1)(9)(9)ブラウニー
1944第6回− − −(21)ヤマイワイ
1943第5回(3)(8)(6)(13)ミスセフト
1942第4回(1)(6)(3)(8)バンナーゴール
1941第3回(1)(8)(4)(9)ブランドソール
1940第2回(2)(1)(4)(5)タイレイ
1939第1回(2)(1)(4)(6)ソールレデイ


 さて、この表を見る限り、1〜3番人気3頭の3連複は買わなくて良さそうだ。統計的には穴馬の一角崩しが必ずあると考えておきたい。その穴馬が何かという答は統計的には出ないので(統計的には競馬ブック坂井直樹のブログを参照してください http://wwwblog.keibabook.co.jp/pagesakai/2007/04/05.html#192839、血統的に考えていくと、このレースに限ったことではないが、人気で来るのがサンデーサイレンス系なら、穴もやはりSS系ということがいえる。そこで、アグネスタキオンの影に隠れたダンスインザダークに狙いをつけてみた。

 ダンスインザダーク産駒は牡馬に活躍馬が多く、牝馬のクラシック勝ちはまだ実現していないが、産駒のクラシック初連対は01年のこのレース2着のムーンライトタンゴだった。ダンスインザダーク自身ステイヤーのイメージが先行していても、その全姉ダンスパートナーが95年のこのレースで2着、全妹ダンスインザムードが04年に勝っていることが示しているように、実は1600mに対応する現代的なスピードに不足のない血統構成。ツルマルボーイの安田記念勝ちもそのひとつの証明だろう。ハギノルチェーレは牝系が世界屈指の名門ラトロワンヌ。3代母の産駒に名種牡馬アサティス、4代母の産駒には大種牡馬プライヴェートアカウント、孫に米G1トラヴァーズSのリズム、5代母イントリーギングの孫にはこれも大種牡馬ウッドマンが出る分枝。そこにヌレエフ、シーキングザゴールドという超一流の配合なら、母や祖母の代に目立つ活躍馬がいなくても問題にならないくらいの名血。母の父シーキングザゴールドはMr.プロスペクター×バックパサーの配合で、これはミスワキやマイニングと同じパターン。ミスワキはこの父との配合によって菊花賞馬ザッツザプレンティを送り、SSとの組み合わせではサイレンススズカが出た。マイニング牝馬からもゼンノロブロイが出ている。祖母の父ヌレエフ血脈とSSの組み合わせからはトゥザヴィクトリー、ゴールドアリュールからフサイチパンドラまで、多くの大物が現れている。それ以上に大きな効果を上げそうなのが、母の持つバックパサーの3×4と、自身の持つグロースタークの4×5で、前者はサンデーサイレンスとの組み合わせで特に有効だろうし、後者は底力を求められる大レースでこそ威力を発揮する。

 グロースタークのインブリードの最大の成功例は、それを3×4で持つダービー馬タニノギムレット。その初年度産駒ウオッカは今回のおそらく“1強”。ナリタブライアンが早世し、マヤノトップガン産駒も大レースになると勝ち切れなくて、“サイアー・オブ・サイアー”としてはサンデーサイレンスに大きく水を開けられたブライアンズタイムだが、この馬が反攻の一撃となりそうだ。名門フロリースカップ系ワカシラオキの分枝から出た母は、96年の桜花賞で12着、活躍の場はもっと短い距離だったが、祖母は91年の桜花賞馬でオークスでも2着したシスタートウショウの全姉だけに、距離への適応の幅は広い。このファミリーからはガーネットS勝ちのスリーアベニュー、高松宮記念を最後に引退した名牝シーイズトウショウなど、最近も立て続けに活躍馬が出ており、この馬の出現がワカシラオキ系らしい集中打の仕上げになる。

 ▲アストンマーチャンは母系の影響が強いようで、Mr.プロスペクター系特有のパワーとスピードを感じさせる。特に昨秋の、いつの間にか大きな差をつけてレコードで勝ったファンタジーSはウッドマンらしい怪物ぶりだった。昨年のフレッシュマンサイアー・チャンピオンとなった父は、2歳チャンピオンとなった後、骨折によるブランクを経て6歳でも安田記念制覇。仕上がりの早さ、成長力、稼働期間の長さと、コジーンの良さを忠実に受け継いでいたので、産駒もただ早熟というだけではないだろう。クラシックシーズンを迎えて再成長する可能性は高い。

 アグネスタキオンは今年のサイアーランキングで目下2位。上にはサンデーサイレンスがいるだけだ。現3歳世代の「世代別サイアーランキング」(JBIS発表=2歳時から現在までの通算)では、2位スペシャルウィークに3億円以上の差をつけて首位を独走している。このままクラシック戦線も驀進するのだろうか。手駒の質と量だけ考えれば、その可能性は高いだろう。初年度産駒はエンジンの馬力が高過ぎて他の部分に歪みがくるように落ち込むケースが多かった。そのあたりは2世代目を迎えて育成段階から軌道修正されているはずで、それがここまでの好成績に現れている。ただ、短期決戦のクラシックにうまくピークを合わせてくるのは容易ではないとも思う。その点ダイワスカーレットは、エンジンをレッドゾーンまで回すことなくここまで戦ってきた。まだ上り目を見込んで良さそうだし、前回の結果が決定的とはいえないのかもしれない。また、88年12着の伯母スカーレットリボン、91年4着の母スカーレットブーケ、01年3着の姉ダイワルージュ、その翌年2着したイトコのブルーリッジリバーと、ファミリー悲願の桜花賞のタイトルは年々ジワジワ近付いてきている。

 穴でもう一頭挙げるならベガの牝系から出たフローラルカーヴ


競馬ブック増刊号「血統をよむ」2007.4.8
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