2007天皇賞・秋


SSの孤塁を守る三勇士

 このレースは04年と05年、サンデーサイレンス産駒が1〜3着独占。昨年も1、2着を占めた。テイエムオペラオーやシンボリクリスエスが君臨した時代こそ沈黙を強いられたが、それ以前には初年度産駒ジェニュインが3歳の身で2着に入り、翌年やはり3歳のバブルガムフェローが勝っているように、SS度の非常に高いレースだといえる。そのサンデーサイレンス産駒も現4歳が最終世代となるだけに、量的な勢力縮小は否めない。表1は今年10月23日現在と前年同時期10月24日時点でのサンデーサイレンスの産駒成績。今年も種牡馬ランキングトップの座は確保しているが、昨年に比べると出走頭数は3割減、稼ぎはほぼ半分に落ち込んでいる。JRA重賞勝ちも今年これまで14勝で、前年同時期25勝(うち3歳限定戦5勝、06年通算では31勝)に遠く及ばない。

サンデーサイレンスUSA産駒の勢力
年月日出走
頭数
出走
回数
重賞
勝ち馬
重賞
勝ち鞍
収得賞金
(全般)千円
収得賞金
(重賞)千円
2006/10/244122,34318276,238,264 2,850,915
2007/10/232861,56813173,061,599 1,464,939
前年比69.42%66.92%72.22%62.96%49.08%51.38%
※JBIS発表「サラ全馬総合」

 しかし、表2に見る通り、芝2000mの重賞での実績は昨年に比べてそれほど劣らない。これは「芝2000mを主戦場とする上級馬」という括りでは、サンデーサイレンス産駒の戦力の質の低下がないことを示している。まあ、去年のぶんから3歳世代とディープインパクトを引いた残りの上級馬が無事なら当たり前といえば当たり前なのだが、最終登録馬のうち回避した4頭が全てサンデーサイレンス産駒なのに、まだ3頭の有力馬が残るというあたりにスーパーサイアーの底力を感じさせられる。昨年の覇者ダイワメジャーは今年も安田記念を勝ったし、その半妹ダイワスカーレットは桜花賞と秋華賞に勝った。かつては秋の天皇賞馬の妹がエリザベス女王杯に勝つことがよくあって、87年にニッポーテイオー→タレンティドガール、88年タマモクロス→ミヤマポピー、95年サクラチトセオー→サクラキャンドルの3例を数える。秋華賞ができたことでこれが妹→兄の順に変わるケースは想定しておいていい。サンデーサイレンス×ノーザンテーストの配合は基本的に息の長い活躍ができ、アドマイヤマックスが高松宮記念で初めての大レース勝ちを果たしたのは6歳春だったし、リミットレスビッドは8歳のこの秋、東京盃に勝っている。すでに6歳だが、能力に陰りなしと考えていい。

芝2000m重賞 入着馬とその父 (06.1.5〜07.10.21)
日付レース1着2着3着
06.1.5中山金杯IIIヴィータローザサンデーサイレンスUSAアサカディフィートパラダイスクリークUSAカナハラドラゴンアンバーシャダイ
3.5中京記念IIIマチカネオーラサンデーサイレンスUSAローゼンクロイツサンデーサイレンスUSAエアシェイディサンデーサイレンスUSA
4.2大阪杯IIカンパニーミラクルアドマイヤマッキーマックスダンスインザダークスズカマンボサンデーサイレンスUSA
5.6新潟大賞典IIIオースミグラスワングラスワンダーUSAカナハラドラゴンアンバーシャダイエルカミーノジェイドロバリーUSA
5.27金鯱賞IIコンゴウリキシオーIREストラヴィンスキーUSAローゼンクロイツサンデーサイレンスUSAエリモハリアージェネラスIRE
6.18マーメイドS 牝IIIソリッドプラチナムステイゴールドサンレイジャスパーミスズシャルダンオリエントチャームサンデーサイレンスUSA
7.9七夕賞IIIメイショウカイドウスキャンUSAコンゴウリキシオーIREストラヴィンスキーUSAグラスボンバーMachiavellian
7.26函館記念IIIエリモハリアージェネラスIREエアシェイディサンデーサイレンスUSAマヤノライジンマヤノトップガン
7.30小倉記念IIIスウィフトカレントサンデーサイレンスUSAヴィータローザサンデーサイレンスUSAニホンピロキースタマモクロス
8.20札幌記念IIアドマイヤムーンエンドスウィープUSAレクレドールサンデーサイレンスUSAマチカネキララサンデーサイレンスUSA
8.27新潟記念IIIトップガンジョーマヤノトップガンサンレイジャスパーミスズシャルダンヴィータローザサンデーサイレンスUSA
9.9朝日チャレンジCIIIトリリオンカットUSASwainコンゴウリキシオーIREストラヴィンスキーUSAケイアイガードデヒアUSA
10.29天皇賞・秋IダイワメジャーサンデーサイレンスUSAスウィフトカレントサンデーサイレンスUSAアドマイヤムーンエンドスウィープUSA
11.11福島記念IIIサンバレンティンスペシャルウィークフォルテベリーニヘクタープロテクターUSAワンモアチャッターペンタイアGB
12.3中日新聞杯(父)IIIトーホウアランダンスインザダークインティライミスペシャルウィークマヤノライジンマヤノトップガン
12.16愛知杯 牝IIIアドマイヤキッスサンデーサイレンスUSAコスモマーベラスフジキセキソリッドプラチナムステイゴールド
07.1.6中山金杯IIIシャドウゲイトホワイトマズルGBアサカディフィートパラダイスクリークUSAブラックタイドサンデーサイレンスUSA
3.4中京記念IIIローゼンクロイツサンデーサイレンスUSAシルクネクサスグラスワンダーUSAフォルテベリーニヘクタープロテクターUSA
4.1大阪杯IIメイショウサムソンオペラハウスGBシャドウゲイトホワイトマズルGBメイショウオウテサンデーサイレンスUSA
5.5新潟大賞典IIIブライトトゥモローフレンチデピュティUSAサイレントプライドフレンチデピュティUSAヴィータローザサンデーサイレンスUSA
5.26金鯱賞IIローゼンクロイツサンデーサイレンスUSAスウィフトカレントサンデーサイレンスUSAインティライミスペシャルウィーク
6.17マーメイドS 牝IIIディアチャンスタイキシャトルUSAサンレイジャスパーミスズシャルダンソリッドプラチナムステイゴールド
7.8七夕賞IIIサンバレンティンスペシャルウィークアドマイヤモナークドリームウェルFRユメノシルシフジキセキ
7.22函館記念IIIエリモハリアージェネラスIREロフティーエイムサンデーサイレンスUSAサクラメガワンダーグラスワンダーUSA
7.29小倉記念IIIサンレイジャスパーミスズシャルダンニホンピロキースタマモクロスアラタマサモンズタバスコキャットUSA
8.26新潟記念IIIユメノシルシフジキセキトウショウヴォイスラストタイクーンIREヤマニンアラバスタゴールデンフェザントUSA
9.2札幌記念IIフサイチパンドラサンデーサイレンスUSAアグネスアークアグネスタキオンサクラメガワンダーグラスワンダーUSA
9.8朝日チャレンジCIIIインティライミスペシャルウィークブライトトゥモローフレンチデピュティUSAゴールデンメインラムタラUSA

 ローゼンクロイツはお馴染みの“バラ一族”。かつては“スカーレット一族”と並ぶ大レース今イチ牝系だったが、ダイワメジャーのほかにもヴァーミリアン、ダイワスカーレットとこのところ立て続けに大レース勝ち馬を送り出すあちらには大きく水を開けられた。しかし、全姉ローズバドはオークス、秋華賞、エリザベス女王杯と3度の惜しい2着がある。この秋華賞3着のロゼカラーの分枝がローザネイの子孫のうち大レースに最も近付いているのも事実だろう。シャーリーハイツ×リファール×セクレタリアトという配合の母にサンデーサイレンスなら、壺に嵌れば大勢逆転まで。

 ▲マツリダゴッホはサンデーサイレンスのラストクロップとなる03年生まれ。SS産駒の牡馬からは各世代欠かさずG1級レースの勝ち馬が現れたが、この世代の牡馬からだけはまだ出ていない。その責任をひとりで負うのも辛いところだが、こういったプレッシャーからは早目に解放されたいもの。母の父は英仏米と7歳まで走ってG24つとG3ひとつを得た芝のマイラーで、種牡馬としては無名だが、ボールドルーラー系だけに父との相性はいい。祖母はナリタトップロードの母で、4代母の産駒には種牡馬ナグルスキーがいて日本向きの牝系でもある。

 メイショウサムソンは00年の勝ち馬テイエムオペラオーと同じオペラハウス産駒。今思えばサンデーサイレンスの覇権に一時とはいえ空白期間を作っただけでもテイエムオペラオーは偉大だ。アンチSSにふさわしい血統だが、やはりサドラーズウェルズ系だけに時計がかかった方がいいのはテイエムオペラオーも示した通り。1分58秒台の争いになると辛いのではないだろうか。

 左回りの重賞でなぜか目立つフレンチデピュティ産駒の活躍。新潟大賞典1、2着、あるいはエプソムCの1〜3着独占の印象が強いせいだろう。代表産駒クロフネのベストパフォーマンスもダートではあるが左回り。ブライトトゥモローは母の父がトニービン。こちらも左回り巧者で知られ、直仔に95年サクラチトセオー、97年エアグルーヴ、98年オフサイドトラップと勝ち馬3頭を送り出す天皇賞(秋)御用達血統。


競馬ブック増刊号「血統をよむ」2007.10.28
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