2006ジャパンC/JCダート


東京のトニービンの孫

 非常に細かいことだが、昨年のジャパンCウイークのJRAのテレビCMを憶えている方はいらっしゃるだろうか。最後の部分でアナウンスは「……26日は国際G1!ジャパンカップダート……」といい、画面には「国際 ・ G1 ジャパンCダート」とあった。正解は画面の方。「 ・ 」ひとつの差に過ぎないが、これが大きな違いで、ジャパンCは92年から国際G1だったのに対して、今年を含めJCダートは、国際レースかつ国内の格付けはG1だが、国際G1レースではない。そういう立場だった。去る20日にJRAから発表された通り来年から日本はパート I 国に昇格する。それによって胸を張って「国際G1ジャパンCダート」といえるようになる。日本のG1も、価値に違いはあるにせよBCクラシックや凱旋門賞と格の上では同じ扱いを受けることができるわけだ。

 20日に発表された国際(パート I )格付けを得られるレースは下表の通り60レース。あれっ!?と何か気付きませんか? 私は来年の重賞一覧とつき合わせていちいち塗りつぶしていってやっと気付いたのだが、日本ダービーがありませんね。菊花賞もない……。要するに3歳限定戦など、国際レースでないものはここに含まれない。ほかに、まだ1年しか経っていないヴィクトリアマイルが漏れるのは当然として、アメリカJCCや日経新春杯がG2をもらえないのは恐らくレースレートが足りないからであろう。そのようにグレード認定の正規のプロセスを経て残ったのが下の60レースとなる。すると、残りはどうなるのだろう。たとえばカナダはローカルグレードから国際グレードに移行した際、クイーンズプレートなどクラシック三冠や多くの名牝を生んだカナダオークスなどカナダ産馬の“限定戦”であるがために伝統あるレースをグレード外とせざるを得なかった。それでも日本ダービーには何食わぬ顔でG1を名乗らせ続けるのだろうか。


国際(パート I )格付けを取得できる
重賞競走【暫定】
レース名競馬場馬場距離
G I (12R)
フェブラリーS東京1600m
高松宮記念中京1200m
天皇賞(春)京都3200m
安田記念東京1600m
宝塚記念阪神2200m
スプリンターズS中山1200m
天皇賞(秋)東京2000m
エリザベス女王杯京都2200m
マイルチャンピオンシップ京都1600m
ジャパンCダート東京2100m
ジャパンC東京2400m
有馬記念中山2500m
G II (15R)
京都記念京都2200m
中山記念中山1800m
阪神大賞典阪神3000m
日経賞中山2500m
大阪杯阪神2000m
阪神牝馬S阪神1400m
マイラーズC阪神1600m
京王杯スプリングC東京1400m
東海S中京2300m
金鯱賞中京2000m
セントウルS阪神1200m
オールカマー中山2200m
毎日王冠東京1800m
京都大賞典京都2400m
スワンS京都1400m
GIII(33R)
中山金杯中山2000m
京都金杯京都1600m
ガーネットS中山1200m
平安S京都1800m
東京新聞杯東京1600m
根岸S東京1400m
京都牝馬S京都1600m
シルクロードS京都1200m
ダイヤモンドS東京3400m
阪急杯阪神1400m
中京記念中京2000m
中山牝馬S中山1800m
マーチS中山1800m
ダービー卿チャレンジT中山1600m
福島牝馬S福島1800m
アンタレスS京都1800m
新潟大賞典新潟2000m
エプソムC東京1800m
CBC賞中京1200m
マーメイドS阪神2000m
七夕賞福島2000m
プロキオンS阪神1400m
関屋記念新潟1600m
新潟記念新潟2000m
朝日チャレンジC阪神2000m
京成杯オータムハンデキャップ中山1600m
シリウスS阪神2000m
府中牝馬S東京1800m
サウジアラビアロイヤルC富士S東京1600m
武蔵野S東京1600m
京阪杯京都1200m
鳴尾記念阪神1800m
愛知杯中京2000m
太字は平成18年度において既に国際格付けを得ている競走


〈ジャパンC〉

 「国際レース」とは海外から豪華な一流馬が来るということではない。実質的な定義は、出走したいという外国馬を妨げることはしません、扉は開けてありますよということになる。ジャパンCの場合は、切符はもちろん扉を開けてご馳走も用意しているのに今年は2頭しか来なかった。今回がたまたまなのか、行っても簡単にはご馳走にありつけないからか、あるいは単に飽きられたからか、原因はさまざまだろうが、消滅したワシントンDC国際や、既に晩年を迎えたと思われるアーリントンミリオンやカナダ国際といった古い国際レースの盛衰を見ていると、こういったイベント性の強い国際レースは小手先のテコ入れでは延命が図れないように思える。

 さて、今回、外国馬は2頭でも、ディープインパクト×ハーツクライ(最強対決)、メイショウサムソン×ドリームパスポート(3歳馬対決)、ウィジャボード×コスモバルク(海外G1勝ち馬対決)、フサイチパンドラ×フリードニア(牝馬対決しかも同牝系)、スウィフトカレント×トーセンシャナオー(同門対決)、ユキノサンロイヤル(不戦勝?)という興味深い5つのカードが同時進行することになる。これでサッカーくじ形式の馬券を売れば面白いですよね。同着なんてあると高配当も望める。ま、ない物ねだりをしても仕方ないので、最強対決組からハーツクライ、3歳対決組からはドリームパスポートをピックアップしてみる。何のことはない“東京のトニービン”。東スポ杯2歳Sのジャングルポケット産駒フサイチホウオーの大物ぶりを見ていると、これは孫バージョンでも有効なようだ。父系がジャパンC最優秀父系サンデーサイレンスなら鬼に金棒といえる。▲はディープインパクトを外せないとして、には海外G1勝ち馬対決組を。シアトリカル経由のコスモバルクの方が、マイラー色の強いウィジャボードより底力を感じさせる血統ではある。フサイチパンドラフリードニアはともに名門ベストインショウ系。前者の祖母セックスアピールが後者の4代母となる。

〈JCダート〉

 ダートはとうとう招待馬ゼロになってしまった。しかし、将来的に望みがないわけではない。北米で広がりつつある人工素材のオールウェザートラックでは、今のところ旧来の米国型ダートでスピード不足と見られた馬が活躍しているようで、この12月のハリウッドパーク開催では初めてG1が(2歳戦だが)行われる。そこらを重点的にリクルート対象とすれば、日本のダートに合う強豪も来てくれるようになるのではないだろうか。欧州でも徐々にだがオールウェザー競馬のレベルは上がってきているようなので、いずれ通用するものが出てくるだろう。

 ブルーコンコルド。今年は芝でフロリースカップ系のメイショウサムソンが頑張り、ダートではアストニシメント系のこの馬がG12勝を戦績に加えた。在来の名門牝系から出た双璧といえる。祖母がイットーと同じヴェンチア×ネヴァービートの組み合わせで、そこにブライアンズタイム、更にダービー馬フサイチコンコルドを重ねた配合なら、この距離でもやれるのではないか。

 シーキングザダイヤは北米の大種牡馬と仏G1勝ちの名牝の組み合わせ。BCクラシックで健闘しても驚けない。ダート2走目でクロフネ産駒フサイチリシャールも見直す。


競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2006.11.26
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