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デインヒルの後継種牡馬は数えてみると南北両半球合わせて9頭がG1サイアーとなっている。以下がG1勝ち産駒を加えたその一覧。特に表記のない場合はオーストラリアかニュージーランドのレースで、香港のローカルグレードも入れた。
デインヒルダンサーの産駒シュワジールは英国遠征を成功させ、そのままクールモアにトレードされて愛豪でシャトル種牡馬となり、デインヒル4代目のG1勝ち馬が出現するのも時間の問題となっている。また、リダウツチョイスは先日のオーストラリアの代表的1歳馬セリであるイースターセールで100万ドル超を6頭送り、35頭が平均61万ドルの高額で売れ、すっかり父の後釜としての地位を固めた。欧州の種牡馬成績ではサドラーズウェルズの万年No.2に甘んじてきたデインヒルも、世代の新陳代謝がうまくいって順調に勢力を拡大し、更に出先である南半球から北半球に戻ってくるものもあって、総合的に見ればサドラーズウェルズを凌いでしまった。現在これに匹敵するのは北半球におけるストームキャット王国だけではないかと思う。 ひるがえって我らがサンデーサイレンスはどうかというと、こんな具合になる。
デインヒルに比べると相当小規模な成功にとどまっていることが一目瞭然ではある。しかし、サンデーサイレンスの場合、輸入牝馬や海外からの預託によって日本ではずば抜けた水準の繁殖牝馬を相手にしていたとはいっても、配合相手の血統の多様性という点で、日本を出なかったことによる不利は否定できない。質に関しても、金で買えないクラスの超名牝となると、ストームキャットやデインヒルに比べるべくもない。そういう背景を考えるとタヤスツヨシやバブルガムフェローらの健闘は、サンデーサイレンスの国際的なサイアー・オブ・サイアーズ(種牡馬の父)としての今後の可能性の大きさを窺わせるものだ。しかも、直仔は現3歳の後にもう1世代を残す。ダンスインザダークが国内で成功し、娘の子も初めてクラシックに勝って世代交代新陳代謝は確実に進行しているが、それでも生のサンデーサイレンスのひとクラス違う凄みというのは◎ディープインパクトがここまでの3戦で示している。母はお腹にアラジの子が入ったまま独G1アラルポカルに勝ち、半姉レディブロンドはデビューから5連勝、半兄ブラックタイドはスプリングSに勝ち、牝系にはナシュワンからウインクリューガーまで古今東西のG1勝ち馬が並ぶというお決まりの血統解説を超える存在に、この馬はなるのだろう。そういうと血統コラムの自己否定みたいになるが、たとえば米三冠馬セクレタリアトは、名門牧場の名牝系に名牝シリアンシーの全弟として生まれた、チャンピオン・ボールドルーラーの直仔だが、レースを重ねるにつれ、それらセクレタリアトを説明するための形容句は逆にセクレタリアトによって代表される背景に退いてしまった。名馬とはそういうものなのだろうと思う。 若い女の子は流行に敏感なので、桜花賞には血統のトレンドを先取りする傾向がある。そこでサンデーサイレンスの娘の子と息子の子が直仔に先着して1、2着を占めた事実は、世代交代の流れもまた着実に進んでいることを示す。今のところその最前線にいる実力者はやはりダンスインザダークだろう。○ダンスインザモアは母がリヴリア産駒。早世したリヴリアの代表産駒ナリタタイシンは歴代の皐月賞馬でも屈指の切れ味の持ち主で、女傑ダリアの爆発的な末脚が年月を経ても刃こぼれしないことを示した。これまでリヴリアの娘の子にはジャパンダートダービーを制した暴走王オリオンザサンクスと名牝テイエムオーシャンがいるが、リヴリア〜ダリアらしさという点ではこの馬が一番。しかもニジンスキーの3×4を柱にステイヤー血脈が豊富でダンスインザダーク産駒としも特に成長力に優れていて、重厚さと鋭さのバランスも絶妙。 マイネルレコルトは弥生賞で新興勢力にあっさり負けてしまったが、スローペースで上がりの瞬発力勝負になったらサンデーサイレンス系に敵わないのは仕方のないところ。カナダの名馬で北米芝チャンピオンの父はミスタープロスペクターと同じ牝系の名血で、ダンチヒ系はデインヒルを除いて主流から外れつつあるが、名馬を出して驚けない要素を持った種牡馬。母は何とタイテエム×フジオンワードという70年代の血で、SSの洗礼を受ける前の時代からスキップしてきたかと思わせるが、リボー4×4のインブリードは大レースでこそ物をいう。速いペースになれば逆転の目はある。▲。 △スキップジャックは、メジロブライトとメジロドーベルがクラシック戦線の中心となった94年生世代以来の2歳重賞勝ちを果たした。母系からニジンスキーが入っているのはメジロブライトと同じで、まあ、メジロブライトが皐月賞では4着に負けているので大した強調材料にもならないが、そう短距離向きというわけでもないよということです。平成の初めにイナリワンとバンブーメモリーで突如復活した古い名門・種正系で、本来晩成型の牝系ではあるが、2歳で重賞に勝つくらいならクラシックでも間に合うだろう。 シックスセンスはサンデーサイレンス×デインヒル。和洋の天才種牡馬が協力すれば大変なことになると思うのだが、今のところ連携が今イチなのかもしれない。デインヒルのエンジンを回し切るのはさすがのSSでも苦労するようだ。しかし、大レースでは思わぬ渋太さを示すのがデインヒルの特徴でもある。人気の落ちた今回は妙味あり。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2005.4.17
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