■中山11R・ステイヤーズS■

 現代の競走体系の中では一種の異次元空間として扱われている長距離路線だが、血統(生産)部門への影響を考慮すれば、その存在価値は決して小さくない。大種牡馬サンデーサイレンス最良の後継馬ダンスインザダークは、ダービーは勝てなかったが菊花賞を勝って種牡馬となった馬である。そして今年の菊花賞、産駒のザッツザプレンティがネオユニヴァースの3冠を阻止したのは記憶に新しい。この事実こそが「ステイヤー血統」のしたたかさと重要性を、何よりも雄弁に物語っている。
 ステイヤーズSは長年、菊花賞から天皇賞・春へと続くステイヤー路線のフィルター的役割を担ってきた。例えば昨年2着のダイタクバートラム。初体験の3600mでの好走によってステイヤー資質を見いだされ、阪神大賞典で重賞初制覇を飾り、さらには春の天皇賞でも小差3着に健闘している。同馬の父も前出ダンスインザダーク。ポストSSの最有力候補は同時に、最も強力なステイヤー血統なのである。ファストタテヤマもこの父の血を受けた真正ステイヤー。きっと“らしい”走りを見せてくれるに違いない。
 昨年4着のイングランディーレもこのレースで芝長距離に新天地を開拓した1頭。この馬の母の父リアルシャダイは、過去10年で唯一、父としても(95年ステージチャンプ)、母の父としても(99年ペインテドブラック)優勝馬を出した“御用達血脈”だ。
 3歳勢では芝3200mの世界レコードホルダー・マヤノトップガン産駒のチャクラが怖い。母の父カーリアンも英3冠馬ニジンスキーの血を引く隠れステイヤーである。そしてもう1頭、地方馬ナチュラルナインも要チェック。トウカイテイオーの上級産駒はマイルCS勝ちのトウカイポイントを筆頭に概ねマイル〜中距離が守備範囲なのだが、その父シンボリルドルフは92、93年連覇のアイルトンシンボリを出している。もし父系祖父に潜む長距離資質が隔世遺伝したのだとすれば…まさにステイヤーとしての試金石となる一戦といえるだろう。

◎ファストタテヤマ  ○イングランディーレ  ×チャクラ  ▲ナチュラルナイン

「スポニチ平成15年12月6日付け掲載」

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