講演・研修のまとめ【2】 (2007年8月30日)

松本も朝晩めっきり秋らしくなり、遅れていた7月の各セミナーを私なりにまとめて報告します。参加したのは以下の通りです。

  • NPO法人在宅ケアを支える診療所市民全国ネットワーク主催の支え合う地域の創造(7月8日松本市)
    厚生労働省大臣官房審議官(医療保険・医政担当)白石順一氏の「在宅ケアの推進など医療・介護政策の現状と課題について」
    午後の分科会Ⅰ 山口晴保氏(群馬大学医学部保険学科教授)、山田思鶴氏(老健まほろばの里施設長・医師)他のパネラーによる「認知症への介入とその評価」
  • 長野県看護大学第1回公開講座(7月14日駒ヶ根市)
    看護大学講師松崎 緑氏による、「心の病を持つ人々と共に生活するために」
  • 第33回長野県障害者技能競技大会(7月21日松本市AM)の見学
  • 高次脳機能障害専門セミナー(7月21日松本市PM)
    1.長野県社会部障害福祉課 技師 春日 忠彦氏
    2.相澤病院総合リハビリテーションセンター センター長 原 寛美氏
    3.浜松市リハビリテーション病院 院長本田哲三氏

内容報告とまとめ

  1. NPO法人在宅ケアを支える診療所市民全国ネットワーク主催の支え合う地域の創造

    白石氏は、医療と介護の両分野においての最近の課題・方向について講演され、長野県においては病院が医療・保険・福祉にかかわり、地域での自己完結型のサービスを提供してきたことを高く評価しておりました。サテライト型の地域ケアシステムをはじめとした、「病院の機能分け」、「病院と診療所の役割分担」、「療養病床の再編成」等は、私も理解し必要な整備だと思います。しかしほとんどの問題のスタートが「税負担の抑制」からの議論が多く、事業者・住民の理解・システムの構築には困難を要するものと思います。療養病床を作れ作れといっていた方針が、今度は減らす方向にシフトしたのでは、良心的・奉仕的・献身的に支えてきた地域の関係者の理解・協力をどのように得るのでしょうか?多様な住民のニーズをすくい上げ、国として制度を整備し、関係者の実践があってはじめて住民の暮らしが守られていくと思うのですが、現状の介護保険の度重なる改正(?)を見ている私は、期待と不安を感じました。亡くなられた若月先生の、「医学は標準化できても、医療の標準化は出来ない。」という言葉を思い出し、福祉に当てはめ考えてしまいました。さて今回の目的は分科会Ⅰの作業回想法です。MCI(軽度認知障害)の方は、複雑な作業、新しい作業ができないことは広く知られています。特に長野県の小規模多機能施設においては、古民家改修の施設整備が進んでおり、積極的に取り入れ(無意識で行っている所も多い)、認知症高齢者の脳活性化リハビリテーションにおいて成果を収めていることは知っていましたが、山口氏、山田氏、山上徹也氏(内田病院PT)各氏の実践・効果をお聞きし、非常に参考になりました。この成果がいかに利用者のためになっているかを検証し、評価している事業所がある事にも驚きました。

  2. 長野県看護大学第1回公開講座

    精神看護学の松崎氏の公開講座への参加目的は、氏の精神障がい者への実践内容と、精神障がい者自身の実践報告です。プライバシーの保護といって、公にでてくることの少ない精神部門ですが、彼女は実名で精神障害と闘いながらの過去・今日を語ってくれました。会場を埋め尽くした参加者は、家庭・生活・仕事の各場面での発表内容を通して、精神障がい者への理解を深めたものと思います。松崎氏が「バス・電車で隣に座った知らない乗客と、精神障がい者とどちらが不安ですか?」と問いかける場面もありました。各障がい者が、「自身の実践を発表することが障害への理解の普及」につながると私は思っています。どの障害分野でも各制度によりサービスの恩恵を受けている(受けた)、障がい者自身が発表する事に意義があるのです。ここで更に新たなニーズの発見~制度の改革~実践~評価となってくると思います。

  3. 第33回長野県障害者技能競技大会・高次脳機能障害専門セミナー

    作業回想法も認知症高齢者の実践であり、障害の理解の普及も障がい者自身の実践です。そして、障害者技能競技大会の会場へ見学に訪れました。私の知っている、障害に理解のある企業数社が先に訪れていました。主催が長野県商工部で、社会部との連携が足りないように思いました。障がい者が実践発表する場で、障害のある参加者が日々の努力精進の積み重ねでやっと参加できたわけですから、更に多くの見学者を集めるくらいの意気込みで、今後県民に周知すべき必要を感じます。午後は松本合同庁舎へ急ぎ、一昨年に続き高次脳機能障害専門セミナーに参加しました。前回に比べ参加者は多く、再度原寛美氏、続いての本田哲三氏の講演に聞き入ってしまいました。古くからの三障害に比べ法律のはざまにあったこの障害も、両氏をはじめとする関係者の努力によって理解が進み、就労支援対策は整ってきております。三障害とこの障害とのICFにおける決定的な違いは、後者が活動・参加の面において、就労意欲と実践の経験数(前職・就労支援等においての社会との接点)がはるかに多いことです。特に先天性の三障害の場合、ICFのこの問題に両親がかかわることが多く、活動・参加の妨げになっている例を良く見かけます。前回の報告でも述べましたが、保護者の意識改革が今後重要な問題となってくると思います。

有限会社 エフワイエル
代表 五反田 徹