全国宅老所・グループホーム 研究交流フォーラム2004 

ながの発:「新たな地域づくりを発信する街かど福祉を求めて」 

主  催 

 「全国宅老所・グループホーム研究交流フォーラム2004」実行委員会

 宅老所・グループホーム全国ネットワーク/長野県宅老所・グループホーム

視察報告書

12月6日(土)・7日(日)にかけて、長野県県民文化会館にて行われた上記フォーラムに参加してまいりました。

大ホールを埋め尽くした2000人もの参加者の熱気の中、初日はパネラーによる2回のディスカッションと特別セクション、田中康夫知事の特別講演、2日目は分科会と充実した内容で、頭の中はすっかり宅老所のことでいっぱいになって帰ってきました。

以下3点を重点的に議論が展開されました。

1.高齢者も障害者も子どもも、地域住民とともに住み慣れた地域のなかで暮らすことを支援する長野県の「宅幼老所」事業の紹介とともに「街かど福祉」とは何かを議論します。
2.住み慣れた地域のなかで、24時間365日の暮らしを切れ間なく連続して支援する、「地域密着・小規模多機能」の本質とサービス提供のあり方を掘り下げ制度の可能性を考えます。

3.これからの高齢者の暮らしと住まいを考えるとともに、宅老所やグループホームにおける終末期のあり方を深めます。

日程 

12月6日(土)11:00 受付開始 

とはいえ、10時半に会場についてみると、駐車場は既に満車になりかけ、ロビーは人であふれていました。せっかく事前に受講証等発行してあるのに、列を作らせるのは少し疑問に思いました。10分前には開場となりましたが、お昼がとりにくい時間設定になっているので、座席でおにぎりをほおばったり、ロビーでサンドイッチをぱくついたり、みな苦労していました。会館内のレストランはもちろん満員御礼。私たちはなんとかレストランにすべりこんで、おなかを満足させ、会場に急ぎ、戻りました。

12:05〜13:35

ディスカッション1 「ながの発:街かど福祉の拠点! 宅幼老所」

パネラー

宅老所 おらほ(長野県)              代表  笹谷 祐輔

長野県宅老所・グループホーム連絡会      会長  田中 正廣

伊那市保健福祉部高齢者介護課        係長  橋爪 哲雄 

長野県社会部高齢福祉課            係長  花岡 和友

◆コーディネーター

特別医療法人 恵仁会 中込介護事業部  部長 竹重 俊文

長野県の元祖宅老所御三家といわれる「みんなのあもり」の田中氏、「おらほ」の笹谷氏を交えて、長野県独自の宅幼老所のこれからのあり方等を議論。宅老所「おらほ」での具体的な説明と写真では、実際の宅老所の日々の移り変わりを実感できました。介護保険では宅老所は「デイサービス」・「ショートスティ」・「グループホーム」の3つの組み合わせで、認定を受けることになります。小規模・多機能・24時間・365日というシステムは介護保険の中でどのように位置づけられていくか、今後が気になるところです。

13:35〜14:20

特別講演  長野県知事  田中康夫

私的には田中知事のお話を聞くのは初めてでしたが、人の気をそらさない巧みな話術で1時間すっかりひきつけられました。内容はあちこちで出ていますから、ここでは割愛。

14:40〜16:25

ディスカッション2 「街かど福祉の拠点-地域を支える小規模ケア」

パネラー

のぞみホーム(栃木県) 代表  奥山 久美子

コスモスの家(神奈川県) 代表  渡辺 ひろみ

このゆびとーまれ(富山県) 代表  惣万 佳代子

◆サポーター

厚生労働省老健局介護保険指導室 室長 石黒 秀喜

◆コーディネーター

大阪府立大学社会福祉学部 専任講師 藤井博志

パネラーの方々が日々実践されていることを聞くにつれ、宅老所というのは制度が先にできたものではなく、何もないところから、ごく近所の人々が、ごく自然に地域で暮らしていくために、自然に行われてきたものだということが感じられました。のぞみホームの奥山さんのとつとつとしたしゃべりは、すごいことをやってます!というのではなく、淡々と自然に任せてやってきたら、こうなっていたのです・・・というまさしく静かな力を表現していました。最初にのぞみホームにいらしたご夫婦につきそい、あゆんできたら、こうなったと。デイからお泊り、そしてついにはホームに住んでしまうまで。「このゆびとーまれ」の惣万さんの豪快な富山弁(?)も印象的でしたが、奥山さんの淡々とした、しかし強い意志が秘められた言葉に、実践していることのたおやかなしたたかさを感じたのは私だけではなかったでしょう。宅老所は人間の自然な生き方を継続していくためのもの。そうとはいえ、それをいろいろな既存のシステムに盛り込み、ごく自然に運営していくことは並大抵のことではないと思います。それでもそういう宅老所があるということは希望が持てるということでしょう。惣万さんが「制度を先に作っていくことは決していいことではない。実際に必要なことが抜け落ちていく、違う方向に進んでしまうことが多々あり得るからだ。」というようなことをおっしゃっていましたが、まさしく、人間の生き方はさまざまで、一人一人にあわせた制度をつくっていくことは不可能でしょう。そして多数が幸福だから、それが正しいというわけでもないとも思います。制度化の問題は難しいとは思いますが、できるだけ、たくさんの事例がこれだけ既にあるのですから、それを十分にすくいあげたものにしていただきたいと切に思います。

16:40〜18:30

特別セクション 「街かど福祉で支える高齢者の暮らしと住まい」

パネラー

長野県宅老所・グループホーム連絡会 副会長 宮島渡

全国痴呆性高齢者グループホーム協会 常任理事 長井巻子

宮城県知事                浅野史郎

佐賀県知事                古川康

厚生労働省老健局 局長        中村秀一

◆コーディネーター

全国社会福祉協議会 事務局長    和田敏明

ディスカッションではなく、特別セクションということで厚生労働省、知事と堅い肩書きが並び、抽象的な話になるかなと思いましたが、宮島氏、浅野氏など興味深いお話がありました。浅野氏によれば、宮城県白石市に共生型グループホームを作る計画があるとのこと。それは高齢者・知的障害者・重度心身障害者すべてを包括したもので、プロジェクトMと呼ばれるものですが、さらに特別養護ホーム(20人程度)を基幹ユニットとして、10人程度のサテライトを地区ごとににつくるという展開を考えているということ。ユニバーサルシームレスホームといういい方をされていましたが、小規模多機能を1つの施設で完結するのではなく、地域の中で、いくつかのハコを展開していき、すべてを有機的につないで機能させていく・・・・これは面白い試みだと思います。大きな輪の中で人材の循環、経験の蓄積が生じることで、個別ケアの限界を打破する手段となるかもしれません。

地域発!いろいろな試みがなされていいと思います。長野県しかり、宮城県しかり、他にもいろいろあることと思います。そこから新しい生活が生み出されていくことでしょう。

「地域」と一言で言ってもいろいろな単位があります。県、市町村そしてこれからはもっと小さい単位でのケアが必要となってきます。それは今回「小学校区」「中学校区」という言い方がなされていました。

2000年から始まったゴールドプラン21は2004にはその役割を終えます。2005年にはポストゴールドプラン21が立ち上がります。それに沿って2006年には市町村新介護事業計画へと進みます。2005年の大きな介護保険の見直しで、2006年には小規模多機能拠点を介護保険に組み込むという話も中村氏からは出ていました。

これからの宅老所の展開には目が放せません。

1日目担当(C.T)

12月7日(日) 

2日目午前は「小規模ケア施設のターミナルケア実現に向けて」、「地域に住み続けるために、24時間・365日切れ目のない小規模多機能サービスを考える」と題してディスカッションが行われました。

実践されている方々の、興味深いお話に聞き入ってしまいました。個々のケースはまたの機会にして行政に関する情報をお伝えしたいと思います。

小規模多機能ホームの将来の話の中で、法整備を進めようとしているということですが、どのような内容になるのか心配です。心のこもったサービスを心がける、コミュニティーケアの中心となる宅幼老所の活動に制限等がかかってくるような気がしてなりません。ある知事が「雇用の確保という面からも福祉の産業化を進め、他の分野からの参入を広く受け入れる」おっしゃっていましたが、福祉は産業として成り立ち儲かるものだという間違った考えが広がるのが怖いです。NPOで立ち上げ、開設当初の経営面で苦労をされている皆さんに追い討ちをかけるようなことにならないか心配です。また、今実践している人達を規制するような制度になるならば私は反対したいと思います。

午後は第5分科会に出席させてもらい、4名のパネラーの貴重なご意見を伺うことができました。

第5分科会:地域で支えあう街かど福祉

パネラー     

長野県宅老初かいご家代表              漆戸 徳弥
長野県かりがね学園施設長              樋口 俊文
富山県デイケアハウスにぎやか理事長         阪井 由佳子
佐賀県NPOたすけあい佐賀代表           西田 京子

サポーター              

長野県社会福祉協議会 地域福祉課長       美谷島 越子     

コーディネーター 

大阪府立看護大学看護学部  講師         佐瀬 美恵子     

富山型デイサービスを全国に広めたNPO法人デイサービス「このゆびとーまれ」もさることながら、遅れて始められたデイケアハウス「にぎやか」理事長の阪井由佳子さんのお話が興味深いものでした。障害者の抱えている問題の解決にこういった新しいケアシステムが有効ではないかと私も考えていますが、彼女たちは介護保険施行以前から実践されていたということに驚きました。行政が障害者、高齢者、子供を区別しているのに阪井さんたちは年齢や、障害で区別せずペットまでも預かってきたということです。阪井さんのこんな話がありました。お子さんを預けている母親が子供に「障害者が居るでしょう?」と聞いたら子供が「障害者なんて居ないよ。手足が不自由な人はいるけど」と答えたということです。この子供の言葉が阪井さんたちのデイケアの内容を物語っていると思います。

最後になりますが、皆さん健康にはくれぐれも注意して地域福祉の発展のために頑張って下さい。

2日目担当(T・G)