3回 北信州・福祉住環境勉強会を終えて

 

昨年の金沢義智先生の講演(研修・視察報告集の長野県工科短期大学公開技術講演会をご覧下さい。)が非常に良かったので、今回の石川先生の「呼吸障害の方の住環境整備を考える」は大いに期待していました。タバコ吸いの私としては気になるテーマであり、運良く時間がとれ、長野市民会館へ向かうことができました。

 

l        3回北信州・福祉住環境勉強会 平成16年11月14日

l        主催 信州・福祉住環境ネットワーク

l        講師 石川 朗 先生 札幌医科大学保健医療学部 助教授

 

先生は障害者や高齢者の住環境に関する研究で皆さんもご存知だと思いますが、高齢・重症の慢性閉塞性肺疾患患者の日常生活および保健指導のあり方、障害者や高齢者の住宅改造の効果、在宅酸素療法(HOT)や在宅人工呼吸(HMV)患者の住環境に関する研究などで、現場との接触が多く、貴重な経験が聞けるものと期待しました。

 

ここで慢性閉塞性肺疾患(COPD)について再度確認しておきましょう。

 

l        この疾患は高齢者に頻度が高く、その特徴としては高齢化と共に症状は非定型となり、他の臓器の障害、合併症を伴うことにより、病態はさらに複雑化する。特徴的な症状として労作性の呼吸困難があげられ、これによって外出、日常生活は著しく制限される。次第に病態が悪化し、ADLの低下を来たし、QOLはさらに下降傾向をたどる。予後においての特徴としては重症化すれば慢性呼吸不全となり在宅酸素療法や在宅人工呼吸法の導入が必要となる。このような高齢者の慢性呼吸不全患者を伴う重症のCOPDにおける問題点はいろいろあり、少なくとも疾患、機能障害、能力障害、社会的不利、心理的障害が共存している。国内では在宅酸素療法患者の約40%がCOPDであり、また在宅酸素療法を受けている患者90%以上が65歳以上の高齢者で占められている(平成7年度厚生省特定疾患、呼吸不全研究班より・中略)。

 

内容

 

在宅生活を送る主な呼吸器疾患は慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺結核後遺症(OldTB)・ALS・筋ジス・CP等だそうです。COPDの死亡率は2002年では全体の10位でしたが、WHOによれば2020年には虚血性心疾患・脳血管障害についで第三位に躍り出るだろうといわれ、下部呼吸器感染症・呼吸器癌を加えると更に上位に来るそうです。

在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法・それらの機器の進歩などもあり、在宅生活に向けた呼吸リハビリテーションの大切さを話されました。

 

医療に無知な私は、初めて呼吸リハビリテーションという言葉を耳にしました。

 

呼吸リハとは、この方々の在宅生活を可能にするために今までであれば、

「息苦しい→運動不足→食欲不足→体力低下→動きたくない」

の悪いサイクルの繰り返しでしたが、このリハによって呼吸法を習得し息切れ改善を行い、運動することの大切さを教え、安心して生活(自己実現の機会の選択)できるようにする事だそうです。

この呼吸リハに関与する医療職として、医師・看護師・理学療法士・管理栄養士・臨床検査技師・放射線技師・薬剤師などが連携を取り、一人の患者さんにあたるということです。

 

次は医療職から見た住環境整備でした。

呼吸障害の方はADLに関しては自立している方が多く、苦しい・つらい状態の人がほとんどで、その原因となる目に見えるバリアと目に見えないバリアを取り除かなくてはなりません。しかし、一般の住宅改修と同じように費用対効果、商品知識などの情報不足などもあり、否定的に捉えられてしまうことがあるということです。

 

当然普通の住宅改修よりもはるかに大掛かり(高額)な工事になると思います。

 

HOT・HMVの社保適用により、患者の在宅療法が可能となり、その数は急速に増えていますが、疾患や障害などにより、個々の生活環境は個人差が大きく、ADL・介護量・活動範囲は基礎疾患の特徴とその進行程度により異なっています。HOT利用者が呼吸困難になる時(つらいと感じる時)は入浴と階段昇降で、特に入浴に際しては洗髪と洗体だそうです。

 

前かがみになるので肺を圧迫するのでしょう。

 

酸素供給機器に関しては延長チュウブの問題を述べていました。

前半で言われたように高齢者が多いのですが、高齢者でなくとも最長20メートルのコードは気の毒であり、その辺に改修プランの要がある。また階段勾配等の根本的な改修が困難だそうです。

 

さらにHMV利用者の生活環境に関する実態調査の説明がありましたが、細かくなりますのでここでは割愛させていただきます。

 

住環境整備について重要な点として

 

l        機器の設置スペース

l        介護者の就寝場所の確保

l        最初は有効であるが徐々に困難となる。(高齢・20メートルのコードの問題など)

l        自宅療養でHMV導入の場合と、長期入院からHMV導入で在宅療養開始では住環境整備状況が大きく異なる。

 

当然のことながら住環境整備の時期・関連職種の連携・ニーズに基づいた的確な方針と情報の提供が必要であるとまとめていました。

 

非常に参考になりました。

 

最後に、講師の石川先生は、在宅人工呼吸療法の第一人者であられる木村健太郎氏の次の言葉を紹介されました。その言葉に感動し、私は会場を後にしました。

 

 

在宅人工呼吸療法

 

「なによりも長期にわたる人工呼吸(換気)依存を余儀なくされる患者・療育者の自己実現機会の選択肢を広げること」

 

 

ヘビースモーカーの私でも2時間もの間、煙草を吸いたいとは思いませんでした。          

 (T/G)