第38回 日本作業療法学会 「くらしを創る-作業療法の技と心-」 視察報告

「くらしを創るー作業療法の技と心ー」というテーマに惹かれ、長野市のビッグハットに足を踏み入れました。

 

22年ぶりの長野県での開催で、私たち関連職、一般市民も無料で聴講できる公開プログラムが多く用意されていました。

 

私が春より決めていたのは26日のプログラムです。20年程前にお名前だけは存じていましたが、学会の特別講演をされるのでどんな人なのか非常に興味があったのです。

その頃私はメーカーの下請けにいましたから、当然「彼は工業デザイナー」という認識しかなく、医学博士であり日本にユニバーサルデザインを持ち込んだ第一人者であり(私の勉強不足かもしれないが、ユニバーサルデザインの発想は彼が最初ではないだろうか?) 、また、こよなく日本文化を愛する日本人なので非常に感動した講演でした。

川崎和男先生のホームページはこちら

 

 

川崎氏の講演内容をいくつか紹介します。

 

「人間について考える時、正常といえるものがあるのだろうか?」

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、「障がい」を持っているので目も見えずただ泣くばかりであるが、徐々に障害を克服し人生を人間らしく生き、人生の後半からまた「障がい」が増え死に至る。現在国内で次々と起こる忌まわしい事件も、「障がい」と言えるのではないか。

人間として平等なのは、100パーセント死が訪れると言うことだけである。

 注 「障がい」を言い始めたのは札幌市長だそうで、川崎氏も障害の「害」をひらがなでと言っています。

 

「医師と看護師が対等の立場になってこそ・・・」

 

医学と看護学の解説から始まり、漢字、ナイチンゲール、ルネッサンス文化、古代壁画、そして自身の「障がい」経験を交え、専門職として学識・見識・良識を持って仕事をして欲しいと仰っていました。私達にも当てはまることですね。

 注 20064月 川崎氏は札幌市立大学の初代学長になられ、今の看護学の体系を変える札幌モデルを作りたいとの事です。

   

「美しいモノと共に生きれば、美しい死を迎える。」

 

川崎氏のプロフィールにもある岡倉天心の言葉ですが、ぐうたらクリスチャンの私でも天心のマリア像を見せられれば感動する言葉です。

 

川崎先生の講演、その後の公開シンポジウム「くらしを創る支援技術」・イブニングセミナー「椅子のある豊かな暮らし」合計6時間の座位姿勢なので、セミナー司会の明田繁氏(信濃医療福祉センター)が冒頭で仰った、「・・・設備としての椅子をお許しください。」の言葉に、私達が嫌う「設備としての車いす」を実感しました。

 

シンポジウムからひとつ

 

「消える障がいと生まれてくる障がい。」

 

私達は人それぞれにあった対応をしますが、無理だと思うことも何度かあります。

しかし、「限界を作っているのは知識の無さであり、部分参加や機器置換というアイデアが必要。」 目覚しいテクノロジーの発達で克服できる障害も多くなり、またリハビリも変わっていく。なのに情報収集に力を入れる関連職は少なく、事実参加者でも自宅でインターネットを利用している人は半分もいなかった。情報障がい者という考え方。

私達FJCの目指す「共通言語→関連職の連携」と似ていますね。

 

イブニングセミナーからひとつ

 

「自分の椅子を持つことは、そこに自分の居場所を持つことである。」

 

高齢者や障がいのある方が快適に日中を過ごすにはシーティング技術を取り入れ、椅子のある暮らしを進め、障がい者の自立を高め介護負担の軽減に役立てるべき。身体能力に合った椅子・車いすで、脊柱を伸ばし座ることによって拘束、褥瘡の予防になる。

デイサービスや宅幼老所では、利用者には言わなくても皆定位置に座るのは、彼女達が自分の居場所を知っているからなのですね。

 

福祉機器展示ブースから

 

  Kスプーン」

  嚥下障害のある患者に適したスプーンということで、福祉食器メーカーが開発したものです。K−ポイント刺激法で開口を促し嚥下反射を誘発するとの事です。

 

スプーン全体 ヘッド部 グリップ部 手持ち全体

「セーフティウォーカー」

リハビリ歩行車です。

増加している施設内や住宅での転倒を予防し、移動や歩行訓練の安全性を確保し、高齢者の介護予防・自立促進に貢献します。

  「対人コミュニケーション関連機器」

パソコン機能を最大限利用者の障がいの補完に役立てようとする、ケア工房マツムラの作品で、このような会社が県内にあることを嬉しく思います。アクセントなどもよく研究していると思いました。

 

T/G