さようならPEPPY ANGEL

「PEPPY ANGEL」HP

2004年8月14日。コミックマーケット66、2日目。
シリーズ最終巻の発売をもって、「PEPPY ANGEL」8年半のサークル活動に終止符が打たれました。

新世紀エヴァンゲリオンの、アスカ×シンジ(×レイ)サークルとして、
1996年3月にスタートした「PEPPY ANGEL」は、
アニメでは最後まで描かれなかった、キャラクターの成長に物語の主眼を置いて、
もうひとつのエヴァの結末を描くために、活動をされてきました。

原作:GRAN、作画:桜月りん。
同人誌としては珍しく、原作と作画が分かれていた「PEPPY ANGEL」は、
ストーリー構成、作画、構図などすべてにおいてハイレベルであり、
当時それこそ数多くあったエヴァサークルの中でも、ひときわ目立っていました。
そして真剣にもうひとつのエヴァの結末を描く「PEPPY ANGEL」のスタンスは、
多くの読者の共感を得ていくことになりました。

サークルが結成された1996年は、がむしゃらに本を出されましたが、
1997年以降は、春のレヴォorスーパーシティ、8月の夏コミ、12月の冬コミ、
と年3冊体制になり、毎回落とすことなくきちんと新刊が出ていたのも、評価できる点でした。

「PEPPY ANGEL」は、エヴァサークルNo,1であったと、断言できます。

「PEPPY ANGEL」全作品リスト

No, Episode
No,
本のタイトル サブタイトル 発売日 本編
ページ数
備考
Episode0:1 空の飛び方 Please Be True 1996/03/31 26 レイ×シン
Episode0:3 BaumKuchen?0:0 変奏曲 1996/05/03 26 アス×シンH
Episode0:2 BaumKuchen?0:1 In other words I love you・・・ 1996/08/03 55 アス×シンH
Episode0:4 Close your eyes 目を閉じておいで 1996/10/10 59 アス×シンH
Episode0:5 神の子羊 Little Lamb 1996/12/29 63 アス×シンH
Episode0:6 WHEELS OF FORTUNE 1997/04/20 65 レイ×シンH アニメ18話付近
Episode0:7 THE PARADISE LOST 1997/08/17 81 アニメ20話付近
Lost Episode0:1 BaumKuchen?0:2 KISS IN THE RAIN 1997/12/29 75 アス×シン
Episode0:8 THE ORIGINAL SIN 1998/05/04 87 PEPPY版第23話「涙」
10 Episode0:9前編 The Number of the Beast 〜Schatten 1988/08/16 77 PEPPY版第24話
11 Episode0:9後編 The Number of the Beast 〜Selbest 1998/12/30 91
12 Episode0:10 BABEL 1999/05/03 92 PEPPY版劇場版第25話
13 Episode0:11前編 JERICHO -der Wille zur Macht 力への意思- 1999/08/15 83
14 Episode0:11後編 JERICHO -命懸けの飛躍- 1999/12/25 95
15 Lost Episode0:2 momories of you 2000/05/03 52 PEPPY版SS「1st impression」
16 Episode0:11.5 LAZARUS 2000/08/11 34 減ページ本
17 Episode0:12 MALCUTH 2000/12/29 49
18 Lost Episode0:3 AVALON The Space Between 2001/05/06 40
19 Final Count Down air 2001/08/11 息抜き本
20 Episode0:13-1 <新約>neon genesis 文書A 2001/12/29 71 最終回第1話
H1 :HALF プライベートアスカ 2002/05/12 49 桜月りん個人誌
21 Episode0:13-2 <新約>neon genesis 文書G 2002/08/09 71 最終回第2話
22 PEPPY ANGEL総集編 Episode0:1〜0:9前編 2002/12/28 計674ページ
H2 :HALF ササクレ。 2002/12/28 23 桜月りん個人誌2冊目
アスカ三昧! アスカ、来日後 2003/04/29 16 アスカ合同誌
23 Episode0:13-3 <新約>neon genesis 文書R 2003/08/16 83 最終回第3話
H3 :HALF 彼女のフォルテシモ 2003/10/05 27 桜月りん個人誌3冊目
24 A day in the life 2003/12/29 25 最後の外伝
25 PEPPY GOODS!2015 夏のカタログ 2004/04/29 PEPPY GOODSの集大成本
26 Episode0:13-4 THE END OF PEPPY ANGEL
<新約>neon genesis 文書S
2004/08/14 93 最終回第4話


私と「PEPPY ANGEL」との出会いを語る前に、
まずはエヴァとの出会いを語らねばならないだろう。
私はエヴァの本放送を観ておらず、
TVシリーズの最終回放送後の騒動から、興味を持った。
そこで友人の撮ったビデオを貸してもらい、
初めてエヴァを観たのだった。1996年の5月頃だったと思う。

それこそとんでもなく深くハマることはなかったが、
私の好きなアニメのひとつに加えられた。
そして、アスカを好きになった。時はエヴァブーム全盛期。
アスカより綾波に人気が集中しており、
アスカファンは悲しいかな少なかった。

その年の夏コミから、いいアスカ本を探すことになった。
夏コミでも冬コミでも、いくつかのアスカ本を買ったのだが、
まだ本当に私が欲しいアスカ本は見つかっていなかった。
そして1997年のスーパーコミックシティで、ついに出会った。

昨年の夏コミでも、冬コミでも、そしてスーパーシティでも、
事前のサークルチェックで、「PEPPY ANGEL」はチェックされなかった。
冬コミは落選したから仕方ないが、他は何故か。
それは、サークルカットがアスカでなく、綾波であったから。

それこそ嫌になるほどエヴァサークルはあったので、
サークルカットが綾波のものはチェックの時に除外、
アスカサークルのみに絞っていたからである。
ではなぜアスカサークルの「PEPPY ANGEL」が、
綾波をサークルカットにしていたのか。
まあ、そんなことはどうでもいいか。

話をスーパーシティに戻すと、
事前のチェックサークルを回りおえた私は、
エヴァサークルをひととおり観て回ることにした。
そして、「PEPPY ANGEL」に遭遇したのである。
その時は、新刊のEpisode0:6のほかに、
バックナンバーの0:4と0:5もスペースに置かれていた。
たまたま通りかかった私は、その3冊をなにげなく拝見し、
今まで見てきたエヴァサークルの本のなかで、
ひときわ完成度の高いその本に驚いたのだった。

これは買ってもいいかも。
そう思ったものの、3冊すべて購入するとなると、金額が張る。
とりあえず新刊1冊だけ購入し、友人との待ち合わせ場所に行った。
まだ友人は来ていなかったので、今日買った本を読み始めた。
そこで「PEPPY ANGEL」の新刊を改めてじっくり読んでみると、
「PEPPY ANGEL」はアスカ×シンジのサークルであること、
真面目にもうひとつのエヴァの結末を描くために活動されていること、
そして続きもののストーリーであること、などがわかった。

絵柄も非常に気に入り、アスカもかわいかったので、
「これこそ私が求めていた本だよ〜」
と狂喜し、続き物であるならバックナンバーも読んでみたいと思い、
再び売り場に戻り、既刊の2冊を購入したのだった。
さらに私は、Episode0:1〜0:3までも読みたくなった。
私が買った本には、エンジェリック・インパクトという、
エヴァの同人誌を収録したアンソロジーコミックに、
その0:1〜0:3が収録されていることが書いてあったため、
早速書店にてその本を購入し、
ついに今まで出されたすべての作品を、読むことができたのだった。
この時点で、「PEPPY ANGEL」は私の最も好きなサークルとなった。

・94年スーパーシティにて出会った、
 竹本泉全作品リストの同人誌を出している「いずみみっくる」。
・現在まで続いている、「ブロック長島耕作のコミケ成功方程式」
 を出している、94年夏コミで出会った「90分¥15,000」。
・同じく94年夏コミで出会った、「ああっ女神さまっ」サークル、
 「サークルOUTER WORLD」。
・そして95年スーパーシティにて出会った文字本サークル、
 「ゲーマー用語の基礎知識」を出している「PHANTOM PIRATES」。

これが当時の私の4大サークルであったが、
「いずみみっくる」は作品リストの更新をしなくなり、
「サークルOUTER WORLD」は大手サークルに成長してしまったために、
購入が難しくなり、共に翳りがみえていた。
そのため、「PEPPY ANGEL」は入れ替わる形で、
4大サークルに加わったのだが、それだけでなく、
「PHANTOM PIRATES」に次ぐNo,2サークルにまで登りつめてしまった。
「PEPPY ANGEL」は、
年3回のペースで必ずボリュームのある新刊を出してくれて、
その点でも高評価であった。
ストーリーは回を追うごとにシリアスに、重くなっていったが、
一体どのようにもうひとつのエヴァの結末を描いてゆくのか、
それは新刊が出て新たなストーリーを読むほどに、さらに気になっていき、
評価はさらに上がっていった。

「PHANTOM PIRATES」の活動が、1999年をもって大きく縮小すると、
ついに「PEPPY ANGEL」は私のNo,1サークルになった。
「PEPPY ANGEL」は、コミケに行く目的そのものにまでなっていた。

しかし2000年以降、「PEPPY ANGEL」の活動も遅くなっていった。
結末が近づいているのは誰の目にも明らかであったが、
1999年まで毎回必ず70ページ以上の本を出していたのに、
いきなり40ページ程度の薄い本になってしまった。
これにより、結末が描かれるのが先延ばしになってしまったが、
結末を描いたらサークル活動を終了するのがわかっていたため、
まあしょうがないか、と思うことにした。

そして2001年冬コミ、2年ぶりの厚いボリュームでの新刊から、
ついに最後のEpisode0:13に突入した。
以降新刊は夏コミでの年1冊ペースで発行されていき、
その間は作画の桜月りんさんが個人誌を発行されたり、
Lost Episodeナンバーもつかない外伝でつなぎ、
2004年夏コミにて、シリーズ最終回を迎えることとなった。
今回これを書くにあたって、改めてシリーズ全てを読み返してみたのだが、
どのエピソードもすばらしく、本当に名作であったと思う。
こんな名作が、同人誌にて生まれたことに、今更ながら驚かされる。

今後「PEPPY ANGEL」としてサークル参加されることはないと思われるので、
今までの全てのストーリーを、一から集めるのは容易ではないが、
これを読んで少しでも興味を持ってくれたら、読んでみることをお勧めする。