所有する葡萄園は、ザールブルク、オクフェン、アイルの一等地で約7.5haを耕作しているまったくの個人生産者です。そしてもはやそのワインの品種は、エゴン・ミュラー家と比べてもまったくひけをとらないザールでもトップクラスといえます。私どもはすでに20年以上ドイツのワイン生産者を訪ね歩いていますが、彼ほど情熱をもってワイン造りをしている人を見たことがありません。彼の元を訪問する度に、ワインに対する彼の情熱と、そこから生み出されるワインの品質の高さには目を見張るものがあります。“・・・彼 ハインツ ワグナーの名は全く無名に近いですが・・・・・”とはスチュアート
ピゴット著「LIFE BEYOND LIEBFRAUMILCH」からの引用ですが、彼の造り出す優れたワインはワグナー博士を無名のままにはしておきませんでした。‘87年にはワイン生産者の最高の名誉であるスターツエーレンプライズを受賞しました。その他にも、各ワイン雑誌、ワインライターらから高い評価を受けています。ドイツのグルメ雑誌「DER
FEINSCHMECKER」においても世界のワインベスト100の中に彼のワインが選ばれています。今では、彼の造り出すワインを心から待ちわびる熱心なワインファンが世界中に増えています。残念なことに、そ需要に応えるにはあまりにも希少なワインとなってしまいました。私どもは毎年ワグナー博士を訪問していますが、初めて訪問して以来、はや20年以上の歳月が経ちました。彼の娘さんもすっかり大人らしくなり、ワグナー博士も私どもも21年前を思えばずいぶん年をとりました。しかし、ワグナー博士のやさしい人柄やおおらかな笑顔はまったく変わっていません。そして、毎年、本当の家族のように私どもをあたたかく迎えてくださいます。重厚感のある彼の屋敷からはその歴史の長さと、伝統を感じることができます。また、この屋敷の地下には、彼の祖父の代から続くザールで一番大きな地下セラーがあります。ワグナー博士は長い間この地下セラーで、黙々とすばらしいワインを造り続けています。近年、ワグナー博士はそのワインをより伝統的なスタイルに仕上げています。彼のワインをテイスティングするとミネラル分が豊富に感じられ、きれいでしっかりとした酸があります。そして残糖を少なくすることで、より一層シャープで洗練されたトラディショナルなスタイルのワインになります。そうすることでワグナー博士のワインにテロウ(土壌)のキャラクターとリースリング本来の繊細な特徴がより強く表現されます。
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