本章では一次元移流拡散解析での不等長要素に対する変形ガレルキンの定式化を説明する。
7.1 ガレルキン法による定式化
図5-1の不等長要素において2.2節に述べた重み付き残差法を支配方程式(2-1)に
適用し、式(2-4)の差分式を式(2-3)に代入すると等長要素と同様に式(2-5)が得られる.
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Fig.
5-1 Non-uniform elements
ここで式(2-5)を改めて式(5-1)として以下に記す。
(5-1)
また未知関数は式(2-12)と同様に次式により近似されるが、この際の形状関数は式(5-3)となる.
(
)
(
) (5-2)
,
,
,
(5-3)
ここでは図5-1に示すメッシュ幅の変化率である.ガレルキン法の場合には
重み関数として形状関数と同じ関数をとるため、結局次式を得る。
(5-4)
式(5-2)〜(5-4)を式(5-1)に代入して積分すると節点に関する代数方程式が
得られる。たとえば式(5-1)の第1項については以下の式を得る.すなわち式(5-4)より、
と
において
であるため次式を得る。
次に上式に式(5-2)と(5-4)を代入して次式を得る。
したがって上式に(5-3)を代入して次式を得る。
上式を積分すると次式が得られる。
(5-5)
他の項についても同様に積分し、両辺に をかけ、ク−ラン数
と拡散数
を
導入して整理すると次式のような不等長要素での節点に関する代数方程式が得られる。
(5-6)
他の内部節点についても同様な代数方程式が得られ、これらの連立代数方程式を
境界条件を考慮して解くと各節点値が求まる。
7.2 変形ガレルキン法による定式化
7.2.1 マトリックスの対称化
3.2節と同様に流速を含む項、すなわち式(5-6)左辺第一項の
と第三項の
を
右辺に移項し、右辺第一項のと第三項の
に加えると次の代数方程式が
得られ、結局、左辺では対称マトリックスが得られる.
(5-7)
7.2.2 変形ガレルキン法の増幅因子
式(3-8)は各節点での未知関数値の時間変化を表すため、そのまま不等長メッシュにも
適用できる。また、
であるため式(3-3)より次式が得られる。
(式(3-8)より)
(式(3-8)より) (5-8)
したがって式(3-8)と(5-8)を式(5-7)に代入して両辺をで割ると次式を得る。
(5-9)
ここでを考慮すると、次の増幅因子が得られる。
(の分子)
(
の分母)
すなわち増幅因子は次式のようにまとめられる。
(5-10)
ここで式(5-10)の各項は以下のように分類できる。
と
:非定常項から生ずる、
と
:拡散項から生ずる、
と
: 移流項から生ずる、すなわち次式が得られる。
(5-11)
7.2.3 補正係数の算出
移流項に補正係数f、拡散項に補正係数gをかけると増幅係数は次式で表わされる。
(5-12)
ここで補正係数のfとgは数値解の増幅因子(式(5-12))と一般解での
増幅因子(式(3-6))が一致するように求められる.すなわち次式を実部と虚部の
二つの関係式に分けることによりfとgが求められる。
(5-13)
ここで波数に依存しない補正係数を求めるために、
での極限を考えると次式を得る。
(5-14)
ここで、,
,
,
である。
のゼロでの極限を考えるため
を式(5-11)と(3-7)に代入すると次式が得られる。
,
〜
,
,
(5-15)
式(5-15)の値を式(5-14)に代入するとと
の分母と分子はゼロとなるためロピタルの
定理を用いて補正係数を求める.たとえばの一階微分項と二階微分項の
極限値は以下のようになる。
、
(5-16)
他の項については各微分項の極限値が非ゼロのものだけを示す。
,
,
,
,
,
,
(5-17)
補正係数の分母と分子の一階微分と二階微分の結果はすべてゼロとなるため、
さらにその三階微分を実行してゼロとなる項を省略すると次式を得る。
(
の分子)
(5-18)
同様にの分母についても三階微分を実行してその極限を考えると、結局、
不等長一次要素に対する補正係数の一般式として次式が得られる。
(5-19)
同様にについても三階微分を実行すると次式を得る。
(5-20)
結局、式(5-15)〜(5-17)を式(5-19)、(5-20)に代入すると次式の補正係数が得られる。
、
(5-21)
すなわち補正後の拡散係数は次式となる。
(5-22)
ここで、上式において右辺第2項は移流項の陽的離散化誤差の
補正、第3項はメッシュ幅の変化による離散化誤差への補正と考えられる。
7.2.4 補正係数についての考察
3.3.5項と同様にテ−ラ−展開の観点から式(5-22)の右辺第三項について考察する。
式(5-6)の両辺をで割ると不等長要素を用いたガレルキン法での移流項の空間離散化は次式となる。
(5-23)
さらに図5.1のまわりでテ−ラ−展開を行うと次式を得る。
(5-24)
同様に式(5-6)より拡散項の空間離散化式として次式を得る。
(5-25)
上式の右辺各項のテ−ラ−展開を実行すると次式を得る。
(5-26)
すなわち式(5-24)と(5-26)を定常一次元移流拡散方程式に置き換えて考えると次式を得る。
(5-27)
したがって上式を整理すると次式右辺の打ち切り誤差が表れる。
(5-28)
一方、移流拡散方程式についてにより一階微分を実行すると、次の関係式が得られる。
(5-29)
したがって上式を式(5-28)右辺の三階微分項に代入すると
ガレルキン法による定式化での離散化誤差として次式を得る(14)。
(5-30)
すなわち不等長要素を用いることにより一次オ−ダ−の人工拡散が導入されている。
式(5-30)の右辺はガレルキン法を定常移流拡散方程式に適用した際の打ち切り誤差であるが、
いま定常解を考えているので、
、
とおくと補正前の変形ガレルキン法
(式(5-7))はガレルキン法(式(5-6))と等価になるため同様の誤差が現れる。
しかし変形ガレルキン法では、式(5-22)の補正係数の導入により式(5-30)
右辺第1項の一次打ち切り誤差が修正される結果となっている。