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1 基本的な考え方


変形ガレルキン法は、まず最初に移流拡散問題の解析技法として提案された(3),(4),(5)

移流拡散方程式は熱流動解析における最も基本的な方程式であり、新しい数値解法検証のための

重要な対象方程式である。本技法は以下の二つの考え方から成り立っている。その第1は

“マトリックスの対称化操作”であり、第2は“誤差解析手法による補正技法”である。この結果、

有限要素解を求めるための所要計算時間を少なくするとともに数値解の高精度化を実現した。

まず最初に従来のガレルキン法の定式化により得られる非対称マトリックスについては、

移流項を発生項とみなすことによりマトリックスを対称化し、計算時間と計算容量を少なくしている。

同時にフ−リェ級数による誤差解析手法を用いた補正方式を定式化に導入し、時間方向と空間方向の

離散化誤差を修正して計算精度を向上させる。誤差解析手法による補正方式の

基本的な考え方は以下の通りである。


まず境界条件と初期条件を考慮せず移流拡散問題の支配方程式のみを満足する解析解(一般解と

よぶ)を考えると、この一般解の時間変化は時間・空間座標によらない増幅因子で決定できる。一方、

一般解の増幅因子とは一致しない。したがってある補正係数を数値解法に導入した上で、各数値解での

増幅因子と一般解における増幅因子とを一致させるような補正係数を逆に求めることを考える。

これにより時間方向と空間方向の離散化誤差を補正するというのが本方式の基本的な考え方である。

文 献

(3)松田・堀川、有限要素法による拡散・流動問題の解析(第1報 非定常一次元拡散

   問題への変形ガレルキン法の提案)、日本機械学会論文集、45-395, B(1979), 915-923.

 (4)松田・堀川、有限要素法による拡散・流動問題の解析(第3報、変形ガレルキン法による

 非定常二次元粘性流れの解析)、日本機械学会論文集、47-416, B(1981), 569-578.

(5)松田, 一次元移流拡散方程式の有限要素法による新しい定式化,

日本機械学会論文集, 56-522, B(1990), 441-447.

以 上