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要 約
変形ガレルキン法は最初に移流拡散問題について提案された
新しい有限要素解法であり,その有効性が理論解析と数値実験の
結果から示されている。変形ガレルキン法では対称マトリックスのみを
取り扱うため従来のガレルキン法に比べて所要計算時間が少なくなり,
同時に誤差解析手法により得られた人工拡散係数を導入する
ことにより時間方向と空間方向の離散化精度を高めることができる。
本解説は,まずこの変形ガレルキン法を渦度−流れ関数による
二次元Navier-Stokes方程式に適用した粘性流れの数値計算結果
について述べる。また変形ガレルキン法をPatankarらによるSIMPLER
解法のプロセスに導入し、その組み合わせによる定式化(MSR解法)を
用いた二次元及び三次元の粘性流れ解析と自然対流の
解析結果について紹介した。
まず二次元粘性流れの解析ではレイノルズ数7,500までの結果は
従来の研究例とよく一致することを確認した。また三次元キャビティ内の
粘性流れについてはレイノルズ数3,200までの計算を行った。
まずRe=2,000までの解析では定常解が得られること,及び他の研究例と
ほぼ同様の結果が得られることを確認した。なおRe=3,200の場合には
他文献と同様の構造を有する非定常流れが観察された。
また自然対流問題については二次元及び三次元解析のいずれに
ついてもレーリー数108までの数値計算を行った。二次元解析の場合
にはRa=108まで、三次元解析の場合にはRa=107までの計算
において定常解が得られ、他の研究例とほぼ同様の結果が得られた。
またレ−リ−数と平均ヌッセルト数との関係は,レ−リ−数の
1/4乗に比例することを確認した。なおRa=108での三次元解析では、
高温壁及び低温壁での平均ヌッセルト数の収束解を得ることができた。
これらの結果により,本解法の二次元及び三次元粘性流動と
熱流動問題解析への有効性を確認した。(注:108:10の8乗)
Key words: Viscous Fluid Flow Analysis,
Thermal-Fluids Analysis,Finite-Element Method,
MSR-Method, Modified Galerkin Method,
SIMPLER Method, Error Analysis Technique