三次元自然対流問題の解析
[19]
1 計算条件
Ra=710,7100,105,106,107及び108の場合について静止状態から
定常状態までの計算を行った。この際,図4.6の計算領域を10×10×10個〜
40×40×40個の不等長六面体1次要素により分割した。
なお各不等長メッシュはx,y,z方向で,式(3.4)のように分割した。
図4.7 に40×40×40での分割例を示す。
また初期条件,境界条件及び定常判定条件を以下に示す。
(1)初期条件
キャビティ内で u=v=w=0,p=0,θ=0
(2)境界条件
温度:ADHE面でθ=1 BCGF面でθ=0 その他の面で 流速:全ての面で
u=v=w=0 圧力:全ての面で (ただし,は法線方向での微分を示す。)
また Pr=0.71である。
2 レーリー数710〜10**7での計算結果
表4.2にMSR解法と他の研究例との比較結果を示す。
の値は定常解が得られたタイム・ステップ値であり,括弧内の数値は
計算結果が発散した際の値である。
なお角田ら[20]のは離散化段階での速度の与え方が異なるため,
その換算値となっている。 ここでumax,vmaxは、それぞれz=0.5でのx−y断面
(中央断面)でのu,vの最大値である。
また,は高温壁(x=0)における局所ヌッセルト数の最大値と最小値であり,
は高温壁での平均ヌッセルト数であるが,これらの値は数値計算により求めている。
なお平均ヌッセルト数は次式により定義されている。
(4.8)
図4.8にRa=107での速度分布図と温度分布図を示す.ここでy-z面(x=0.5),
z-x面(y=0.5) での速度ベクトルはx-y面(z=0.5)での20倍のスケールで描かれている。
これより,流れはz=0.5の断面に対して対称となっていることが
確認できる。図4.9はRa=107でのx-y断面における温度分布図と180度回転させた
x-y断面での温度分布図を重ね合わせた図であるが,これよりx-y断面の中心点に関する
対称性と,数値解の定常性が確認できる。
Table 4.2 Computed results(Ra=710〜107)
Ra |
Method |
Meshes |
Δt |
Loop |
umax. |
vmax. |
Numin. |
Numax. |
Nuav. |
710 |
Present |
10×10×10 |
1×10-2(2×10-2) |
198 |
2.660 |
2.714 |
0.7984 |
1.274 |
1.036 |
Kakuda et al.[20] |
0.2/710 |
2,000 |
2.742 |
2.755 |
0.7933 |
1.295 |
1.042 |
||
7100 |
Present |
20×20×20 |
1×10-2(2×10-2) |
406 |
13.66 |
14.91 |
0.5856 |
3.157 |
1.852 |
Kakuda et al.[20] |
10×10×10 |
2.0/7100 |
3,000 |
15.82 |
15.57 |
0.5460 |
3.315 |
1.843 |
|
105 |
Present |
20×20×20 |
4×10-3(5×10-3) |
233 |
42.14 |
63.26 |
0.8192 |
8.177 |
4.828 |
Kakuda et al.[20] |
5/105 |
5,000 |
38.96 |
65.36 |
0.6742 |
8.196 |
4.398 |
||
Ramaswamy et al.[21] |
− |
− |
− |
39.40 |
71.32 |
0.8856 |
7.4681 |
4.672 |
|
106 |
Present |
30×30×30 |
2×10-4(3×10-4) |
1,262 |
71.31 |
220.0 |
0.940 |
18.18 |
9.228 |
Kakuda et al.[20] |
20×20×20 |
10,000 |
71.70 |
215.9 |
0.879 |
18.90 |
8.833 |
||
Le Peutrec et al.[22] |
30×30×30 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
8.665 |
|
Ramaswamy et al.[21] |
− |
− |
− |
106.2 |
210.3 |
1.043 |
17.67 |
8.386 |
|
107 |
Present |
40×40×40 |
2×10-5(2×10-4) |
5,598 |
157.4 |
696.7 |
1.233 |
41.00 |
17.30 |
Le Peutrec et al.[22] |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
16.40 |
3 レーリー数10**8での計算結果
表4.3にRa=108での計算パラメータと結果を示す(なおの括弧内の数値は
計算結果が発散した際の値である)。ここでRa=108での三次元計算例は著者らの
知る限りでは他に研究例が無さそうである。図4.10に速度分布図と温度分布図を示す。
またy-z面(x=0.5),z-x面(y=0.5)での速度ベクトルはx-y面(z=0.5)での4倍のスケールで
描かれている。ここで各等温線の間隔はΔθ=0.1である。
流速はRa=107に比べて,かなり速くなっているのが確認できる。また図4.11は
x-y断面の温度分布図と180度回転させた温度分布図とを重ね合わせた結果である。
Ra=107の場合と異なり、これらの結果はx-y断面の中心点に関して
わずかに非対称となっていることがわかる。
また図4.12に高温壁と低温壁での平均ヌッセルト数の推移を示した。
これより計算結果の良好な収束状況が確認できる。
以 上