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二次元流れ問題の解析(2)

(流れ関数と渦度の定式化による高次計算の結果)

キャビティ内流れの計算は、粘性流動解析における数値計算スキ−ムの有効性を示す

ために用いられる典型的な問題の一つであり,多くの研究がなされている.本節では高精度解の

一つと考えられているジア(Ghia)[5]らの計算結果と比較しつつ数値解の検討を行った。



1 計算条件

正方形キャビティ内流れについてレイノルズ数 10,000までの範囲で,静止状態からの

数値計算を行った。 ここで境界での渦度値はメッシュ幅の変化を考慮した次式により評価される。

      (2.18)

なお, であり,各添字は図2.2での各節点の位置を示している。

図2.3にRe=10,000での不等長四角形要素 =0.0018,=0.0399)
による計算メッシュ図を示す。


     

   Fig. 2. 2 Nodes in Eq. (2.18)


    Fig. 2. 3  Non-uniform meshes
            (6,561 nodes, 8080 elements)

   また計算の収束性とタイム・ステップの適切さを

検討するために
次式のような相対速度変化率を検討した。

    (2.19)


ただし,次式の条件を付加している。

       (2.20)




2 計算結果

相対速度変化率Re=7,500までは0.031(%)以下となり,流れの定常性が示された。

なお Re=10,000の場合にはとなり,流れの非定常性が残っていると考えられる。 

図2.4にキャビティ中心線上での速度分布を示す。これらはジアらの結果
ともほぼ対応しており,

特に境界付近で比較的高精度の解が得られていると言えよう。


なお不等長メッシュの場合にはメッシュ幅の変化による低次打ち切り誤差の発生が

文献[6]でも示されているが,本論文では,粘性項への補正係数の導入により,この誤差が

改善されたと考えられる.なお本計算例で用いられた節点数は
ジアらの場合の

10〜15(%)である。
図2.5は流れ関数の等高線分布をジアらの結果とともに示したものであるが,

これより等高線分布での若干の差が観察できる。 一方,速度分布は図2.4の程度に対応している。 


今後,流れの定常性を含めての詳細な検討のためには,

さらに多くのメッシュ数による計算が必要となろう。


    Fig. 2. 4  Velocity distributions (=10,000)

     

(a) Present (6,561 nodes)          (bGhia (66,049 nodes)

 Fig. 2. 5  Streamline contours compared with Ghias' works[6] (Re 10,000)


(参考)MSR解法による計算結果

MSR解法を用いてRe=1,000でのキャビティ内流れ解析を行った。

ここで流速には
静止状態の初期条件とすべり無しの境界条件を,圧力としては

境界条件を与えた。
計算領域は図2.6 (a)900個の不等長要素と

図2.7
(a)886個の任意形状要素に分割した。


2.1に各計算条件と圧力の計算結果を示す。またタイム・ステップは,

最大クーラン数が
約1となる()ように選択した。なお数値計算は

(2.19)相対速度変化率0.01%以下となるまで実行した。


図2.6 (b)と図2.7 (b)にキャビティ中心線上での速度分布をジアらの結果と

比較して示したが,これより両者の値はほぼ一致していることがわかる。

また両図の
 (c) (d)に流速と圧力分布を示す


これより圧力分布に多少差はあるものの,流れの構造としては

ほぼ同様の結果が得られていることがわかる。


   Table 2.1  Parameters and results

No. of Elements

900

Rectangular

888

Arbitrary

Nodes

961

969

xmin

0.0112

0.0249

Δt

0.01

0.025

x

0.893

1.004

Loop

3,498

1.651

min

0.8888

0.8925

max

1.7557

1.5807


              

(a)  elements   (b) Velocities distributions on  central lines      (c) Velocity  distributions      (d) Pressure                                                              ()

           Fig. 2. 6  Results by the non-uniform rectangular meshes


        

    (a) 886 elements     (b) Velocities on central lines

 

        (c) Velocity distributions  (d) Pressure distributions ()

 Fig. 2. 7  Results by the arbitrary quadrilateral meshes