戻る

9 おわりに

本解説論文では、非定常一次元移流拡散問題を中心に有限要素法の一種
である変形ガレルキン法の具体的な説明を行った。以下に本稿の内容をまとめる。

(1) 著者らの提案による変形ガレルキン法は、従来のガレルキン法に比べ
移流項を陽的に取り扱うことによりマトリックスを対称化したため、
計算時間等を少なくできる。また理論的な誤差解析手法を用いて
各種要素形状に応じた補正方式を定式化に導入し、時間・空間方向の
離散化精度を高めている。すなわち数値解の高精度化と計算時間の
短縮化を実現している。

(2) 各種数値解法に対する増幅因子に関する理論誤差解析を行い、その中で
 変形ガレルキン法が高精度となることを示した。同時に移流拡散問題の
数値実験により、理論誤差解析と数値実験結果とがほぼ対応する
ことを確認した。

(3) この変形ガレルキン法を二次元及び三次元移流拡散解析における各種三角形
 (四面体)要素、四辺形(六面体)要素に適用した際の補正係数を紹介した。その
 有効性は理論誤差解析と数値実験の両面から示されているが、紙数の関係で
省略した。詳細については文献[15〜20]を参照されたい。

(4) また二次元・三次元移流拡散解析での任意形状要素に関する補正係数に
ついては数値計算により導出するが、その詳細は下記論文を参照されたい。
(Int.J.Numer.Meth.Fluids,Vol.46,No.12,pp.1181-1199 (2004))

 なお本論文では、変形ガレルキン法の移流拡散解析への応用に限定して解説した。
二次元・三次元の粘性流れ問題及び自然対流問題の解析に関する解説については
第2部に譲るとして、とりあえずその詳細については文献[21〜25]をご覧下さい。

以 上