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1 はじめに

有限要素法は本質的に汎用性をもつ数値解法であり,解像度に応じた
各種形状要素により解析することができるため効率的な計算が期待できる。
とくに流動問題の解析では、数値解の精度や安定性を改善するために
種々の技法(1),(2)が提案されている。

著者らは熱流体解析における有限要素法の新しい技法として
変形ガレルキン法を提案し(3)、この技法を移流拡散解析(3)(4)(5)、流動解析
および熱流動解析に適用してきた。この変形ガレルキン法は有限要素法の
一種であるガレルキン法で現れるマトリックスを対称化することにより
所要計算時間と計算容量を少なくするとともに誤差解析手法を用いた
補正方式の導入により離散化誤差を補正して計算精度を向上させている。

本稿ではこの変形ガレルキン法の定式化とその応用例について解説する。
まず第1部では変形ガレルキン法の基本的な考え方と一次元移流拡散解析
への適用例について述べる。また他の数値解法との比較を通じて
変形ガレルキン法の精度について検討すると共に、
その補正方式について考察する。

最後に二次元および三次元移流拡散解析における補正方式について紹介する。

なお第2部では、この変形ガレルキン法の二次元および三次元流れ解析や
熱流動解析への適用例としてキャビティ流れや自然対流問題の解析結果を
紹介し、本技法の有効性について検証している。