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6 おわりに・・・

 それではコンピュータ・シミュレーションにより得られた
結果は、どの程度信頼できるのでしょうか?
「シミュレーション技法の長所と短所を十分に理解し
“うまく使いこなす”ことにより、その結果は有用となる」

というのがその答えです。

 もちろんシミュレーションにもいろいろな誤差が含まれて
います。図1について説明すると、まずはモデル化の際に
生ずる誤差(モデル化誤差)があります。これは物理・数学モデル
と計算モデルの二種類のモデル化段階で発生します。

またコンピュータにより有限桁で計算することから生ずる
誤差(丸め誤差)もあります。さらに入力データの信頼性
シミュレーションの精度を左右する重要な要素です。
もしこれらの誤差の見積もりが適切に行われなければ
コンピュータの出力結果がたとえ山のように得られたとしても
結局はゴミ箱に直行、という事態にもなりかねません。

一方、実験結果についても事情は同様で、実験上の
制約や測定誤差
が存在するため、計算結果と実験結果との
つき合わせは、これらの要素を十分に考慮した上で慎重に
行われなければなりません。

したがって実際のシミュレーションにおいてはこれら
種々の誤差の存在を念頭においてその大きさを適切に見積もり、
かつ全体としてバランスのとれた結果を得るための、いわば
「シミュレーション技術の使い方」についてのノウハウにも
十分習熟しておくことが重要
となります。

そうすることによってシミュレーション技術の有用性を
さらに高めていくことができるでしょう。本小文によって物理と数学
とコンピュータとの関係の一端を多少はご理解頂けたでしょうか?
次のステップは、いよいよ流体解析に必要な数値解法について
学習することになります。
皆様方のご健闘をお祈りいたします。