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5.4 まとめ


 特に熱流体工学に現れる方程式の主要な数値解法
について比較すると次のことがいえます。なお数値解法全般に
通じることですが、実際の数値シミュレーションを実行するため
には数値解の精度や解の収束性、安定性等の基本的な知識を
持つことが必須となります。

「発散しない数値解が得られた」だけでは不十分
ということに十分、ご注意ください。


(a)差分法では、

 数値解法としての歴史が古く種々の研究ノウハウが蓄積
されています。又、その高精度化も比較的容易で計算時間も一般に
少なくてすみます。ただし汎用ソフトウエアとしての開発は一般には
困難で数値計算上の調整も難しく、この解法を使いこなすには
十分な知識と経験が必要です。いわばプロ向きの解法とも
いえるでしょう。


(b)有限要素法は、

その定式化は差分法に比べて複雑ではありますが、特に複雑な
境界形状をもつ領域の計算に適しており、あわせて汎用ソフトウェア
の開発も容易です。他の解法に比べて一般に所要計算時間は
かかりますが、汎用の数値解法として総合的には有力な技法の
一つといえるでしょう。

(c)有限体積法は、

 差分法と有限要素法との中間的な性質をもつ数値解法といえます。
ソフトウエアの開発も比較的容易なので、汎用ソフトウエアの解法にも
よく用いられています。ただし一般的には数値解の
高精度化は困難であり、それなりの工夫が必要となります。


以 上