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5.3 熱流体解析におけるその他の数値解法

(1)有限要素法

  ごく簡単に説明しますと、解くべき方程式の計算誤差
計算領域全体について平均的な意味でゼロとするように
近似解関数のパラメータを決定する方法で、一般的に
連立方程式を解いて解を求めることになります。
すなわち前述の差分法微分方程式そのものを対象と
するのに比べて有限要素法ではその積分形を対象とします。

  また図11(b)のように、計算領域を一般的には三角形
メッシュ
分割して計算しますので複雑な境界条件をもつ
対象にも都合がよくなります。 定式化の考え方が差分法
比べて複雑ではありますが、その統一的な考え方の点から、
汎用解析ソフトウェア
の開発には適しています。
なお計算時間は差分法に比べて一般には多くなります。


(2)有限体積法

  ある小さな領域内での各物理量の出入りを考えて定式化を
行なう方法です。すなわち対象とする物理量の 入ってくる量と
出ていく量およびその領域内での生成量(または消失量)
との間におけるバランスを考えるもので、保存性という都合の
良い性質を持つことになります。有限要素法と差分法との
中間的な性質を持つ解法ともいえるでしょう。なお高精度化
のためにはそれなりの工夫が必要となります。


 (3)その他の数値解法等

  なお上記以外の数値解法としては、境界要素法(BEM)
や格子ボルツマン法(LBM)、スペクトル法等があります。

境界要素法は、比較的簡単な方程式の場合には
入力データの手間も少なくてすみ高精度解が得られ
ますが、時間項を含んだ熱や流れの計算では他の
解法に比べて一般に多くの計算時間を必要とし、
現在ではほとんど使われていません。