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5.2 数値解法の一例(差分法)
差分法は最も古くから用いられている方法で、すでに
1930年代に流れの計算方法として、”手まわし式の
計算機”により使用された実績をもっています。
たとえば図12は、図11の任意の点Pにおける
式(10)の濃度Cの時間変化を示したものです。
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図12 濃度Cpの時間変化
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すると式(10)の時間項は図12の時刻tにおける
接線の傾き(図12中の矢印)に相当しますが、差分法では
これを次式のような微小変化量の割算の形に置き換えます。
・・・(12) |
ただしCtは時刻tでのCであり、Δtはタイム・ステップ
(または時間刻み)と呼ばれる時間の微小変化量です。
すなわち式(12)は図12における接線の傾きを
微小変化量の割算で近似していることになります。
理論的には、式(12)は濃度Cの時刻tのまわりで、
テイラー(Taylor)の定理により展開した次式から
説明できます。 ただしCは単調変化するものとし、
Δtは十分小さい量であると仮定します。
(13)
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すなわち式(12)は式(13)におけるΔtの二乗
以上の項を無視した形から導かれますが、結局
式(12)よりΔtで割算をしていますのでその主要な
誤差はΔtのオーダとなり、式(12)は一次近似の
差分式とよばれます。
式(13)での高次の項を含めればさらに近似の
精度は高くなりますが、同時に計算式は複雑に
なります。 式(10)の他の項についてもテイラーの
定理に基づいた差分法の考え方により定式化すれば
よいのですが、一般的には汎用流体解析ソフトウェア
の開発は難しく、いわばプロフェッショナル向きの
数値解法ともいえましょう。
最終的には図10のように連立方程式を解く場合
(陰解法)と解かなくてもよい場合(陽解法)の
二通りの定式化が考えられます。また計算領域の
メッシュ分割では一般的には図11(a)に示すように
正方形等で近似することが多いので複雑な境界をもつ
計算対象の場合には一般に困難と考えられています。
(もちろん種々の工夫をすることによりその取り扱いは
可能ですが、非常に複雑な処理が必要となります)
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