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2.3 シミュレーションの必要性
表1はコンピュータ・シミュレーションのモデル化
アプローチについてその必要性と対象例をまとめたものです。
まずシミュレーションが必要な場合としては,第一に”実物を
使った実験が出来ない状況”が考えられます。
たとえば1999年にもありましたが原子力発電所での事故や
環境汚染問題における予測等はこの範ちゅうに入ります。
またビルや橋など一般構造物の強度計算ではこのアプローチは
日常的に行われています。
さらに仮に実験が可能であるとしても、それらの実験を
繰り返し行うのに比べるとコンピュータを用いた数値実験
では人手や時間そして費用が少なくてすむ場合があります。
ただし、この場合そのシミュレーションの結果が十分信頼
できるものでなければならないのはいうまでもないことでしょう。
(1)実物を使った実験が出来ない場合
−天気予報
−環境汚染問題での予測
−大型構造物の強度計算など
(2)実験に比べて,人手や時間,費用が
かからない場合
−航空機の開発・設計
−機器内の流れ解析
−樹脂やガラスの流動解析
−電磁場の解析など
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表1 コンピュータ・シミュレーションの必要性
以上のことから、コンピュータ・シミュレーションの必要性は
シミュレーション技術自体が進歩すればするほど大きくなり、
またその有用性は今後ますます高まっていくでしょう。
その一例として海域での水質汚濁の予想例を紹介しましょう。
水質汚濁シミュレーションの内容は潮汐計算と
汚染拡散計算の二種類からなります。
そして数値解と実測濃度とを比較しつつ試行計算を
繰り返し、最後に将来の状況に応じた予測値を得る
というのが一般的な手順です。
図2 瀬戸内海の要素分割
図3 瀬戸内海の流況
図4 瀬戸内海のCOD濃度分布(ppm)
図3及び図4はある時刻で潮流の流速分布とCOD
(化学酸素要求量)濃度の分布です。
なお潮汐流の計算では有限要素法を採用しているため、
複雑な陸境界を考慮した計算が実行されている点に
注意してください。
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