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3.3 流速の予測値の導出(続き) 


( m=1〜4 )である。

また上式での各項は次式により表される。

    

      

       

      

         






ここで、W:重みパラメータである。また、W=0,0.5,1としたとき、
FWA方式はそれぞれ

上流差分法、FZA法、中心差分法に相当する。
いま数値解の精度向上のために式(2)の粘性項と

移流項にそれぞれ補正係数
fおよびgをかけるが、これらは誤差解析手法により次式の形となる(1)

ここで、


bx,by,bz:クーラン数、rx,ry,rz:フーリエ数 である。



3.4 圧力修正量の導出


式(2)左辺の第一項を差分法により定式化すると次式を得る。

             (11)

             (12)



次に流速と圧力の予測値に関するナビエ・ストークス方程式と、

次の時刻でのナビエ・ストークス方程式の差をとってδpとおくと式(13)が得られる。

ここで移流項と粘性項については式(8)〜(10)で考慮されているので省略する。

                                  

                        FSR3D_2         (13)


(13)について両辺の発散をとり連続の式(1)を考慮すると、圧力修正量

δp
に関するポアソン方程式(14)が得られる。この式を二次中心差分法により

離散化すると式(15)が得られ、これよりδpを求めることができる。

                 (14)
         
(15)




3.5 次の時刻での流速 と圧力の導出


次式により を求める。

         (16)

さらに式(13)を離散化すると以下の式から求めることができる。

    (17)


      (18)

   (19)



三次元解析での計算結果及び考察

4.1 計算条件

不等長間隔メッシュを用いての立方体キャビティ内流れについて、

Re = 400 から3,200 までの数値計算を行った。図5に計算領域と計算条件を示す。


  
 

図5 Computational domain    図6 Meshes (30×30×30,Non-uniform)

● 境界条件: 上壁 : u=1, v=w=0  他の面 :u=v=w=0  圧力:


● 初期条件:  内部: u=v=w=0   全ての点:p=0


数値計算では相対速度変化率が δ<0.1(%) となった場合に定常状態と判断して計算を終了

させた。なお相対速度変化率、メッシュ分割の式については式(20)、(21)と同様である。また二次元解析

と同様に重みパラメータW=1 として数値計算を行った。 図6にメッシュ分割例を示す。



4.2 計算結果

各レイノルズ数での計算結果をTable 2、3に示す。ここで、Fig. 7はRe=1,000における

x-y  断面でのキャビティ中心軸上の速度分布図である。同時に、河合ら(11)がKuら(12)

結果を含めて比較した結果を示す。


ただし、河合らの結果は、z=0.5でキャビティを二等分割した半領域での

計算結果であり、タイム・ステップを時間とともに0.001〜0.005の間で変化させている。

これより、本解法は河合らの不等長間隔メッシュでの結果とほぼ同様の結果が得られたもの

と思われる。また今回、圧力分布については結果の比較は行っていないが、


定性的に妥当な結果が得られたものと思われる。

Fig. 8,9にRe=3,200におけるx-y断面でのキャビティ中心軸上の

流速分布図と、
各断面での流速ベクトル図を河合らの結果と共に示す。

ここで流速分布については無次元時間t=120、流速ベクトルについてはt=90のものである。

これより、河合らの結果と
同様に非定常流れのパターンとなっていることがわかる。


Fig.8        Fig.9

Fig. 10
にRe=1,000、3,200における相対速度変化率の時間推移を示す。これより、

Re=1,000のケースでは単調に収束している様子がわかる。 また、Re = 3,200 のケース

では1〜5%
付近で振動し、流れの非定常性が確認できる。

Table 3 Computational results  ( Re = 2,000 ,  3,200 )

Re

2,000

3,200

Method

FSR

FSR

Kawai et al.(11)

Meshes

50×50×50(Non-uniform)

60×60×60(Non-uniform)

40×40×20(Non-uniform)

Δt

0.006

0.005

time (t)

bmax

0.92

0.93

Loop

6,946

25,000

34,500







5 まとめ

本文で提案したFSR解法を不等長間隔メッシュの場合について拡張し、二次元では

Re = 400 および 1,000、三次元ではRe=400〜3,200においてキャビティ内粘性流動問題の

解析を行った。他の研究例との比較・検討の結果、本解法の基本的な有効性を確認した。


参 考 文 献

(1)  松田, 三木, 日本機械学会論文集(B編), 60-577, (1994), 3032.

(2)  Patankar, S. V. 原著, 水谷, 香月 訳, コンピュータによる熱移動と流れの数値解析,
(1985), 森北出版.

(3) 中西 他3名, 日本機械学会北陸信越支部第38期総会・講演会論文集, (2001), No.017-1, 69.

(4)  永井 他3名, 第16回数値流体力学シンポジウムCD-ROM講演論文集, (2002), PA12-4.

(5)  Fromm, J.E., Physics of Fluid Suppl., (1969), 3.

(6)  松田 他3名, 日本機械学会論文集(B編), 64-617, (1998), 10.

(7)  邵, 他2名, 日本機械学会論文集(B編), 66-642, (2000), 332.

(8)  岡永, 棚橋, 日本機械学会論文集(B編), 56-530, (1990), 2922.

(9)  松田 他4名, 日本機械学会論文集(B編), 66-641, (2000), 17.

(10)  Ghia, U. et al., J. Comp. Phys., 48, (1982), 387.

(11)  河合 他2名, 日本機械学会論文集(B編), 55-515, (1989), 1922.

(12)  Ku, H. C., Hirsh, R. S., Taylor, T. D., J. Comp. Phys., 70, (1987), 439.

以 上