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四次差分法による三次元粘性流れの解析
1 はじめに
差分法は最も基本的な数値解法の一つであり各種の定式化が提案されてきた。
本小文は四次重み付き差分法に補正を加えたFWA(C)法(1)を用いて
二次元および三次元非定常非圧縮性粘性流れ問題の解析を行い、その計算精度や
安定性について検討したものである。なおこの補正方式は、誤差解析手法(1)
により基礎式の一般解における増幅因子と数値解における増幅因子とを
等置して補正係数を導くものである。
すなわち本文ではFWA(C)法とSIMPLER法(2)との組み合わせ解析技法
として提案されたFSR解法(3)を不等長メッシュの場合について拡張した(4)。
そして本技法を用いてキャビティ内における二次元および三次元粘性流れ問題の
解析を行い、他の研究例との比較によりその有効性について検討した。さらに
相対速度変化率の時間変動を観測し、数値解の発散・収束状況について検討した。
FWA(C)法とは、二次元粘性流れ問題の差分解法としてFrommによる
四次ゼロ平均位相誤差手法(FZA)(5)に重みをつけた四次重み付き平均位相誤差
差分法(FWA)に誤差解析手法によって得られた補正係数を導入したものであり、
すでに二次元キャビティ内粘性流れについてレイノルズ数5,000までの解析に適用
してきた(1)。またFWA(C)法による自然対流問題の数値解析においてもレーリー数
106〜1011の範囲で合理的な結果が得られることを確認した(6),(7)。
2 基礎式
非圧縮性粘性流れの支配方程式として、連続の式と原始変数による
ナビエ・ストークス (Navier-Stokes) 方程式の無次元形を用いる。
(1)
(2)
ただし、u :流速ベクトル p:圧力 Re:レイノルズ数 t:時間 である。
3 FSR解法(不等長間隔メッシュ)による定式化
3.1 擬似速度の導出
式(2)の非定常項を と考えると、同式は式(3),(4)の
二式に分割することができる。
(3)
(4)
ここで、 p*:圧力の予測値 Δt:タイム・ステップ である。
さらに式(3)の移流項と粘性項を二次中心差分法により離散化すると次式を得る。
(5)
ここで、
hi,hj,hk:x,y,z方向メッシュ幅 i,j,k :x,y,z方向座標の
指標である。 Fig. 1に節点およびメッシュ幅の定義を示す。
Fig. 1 Non-uniform meshes
3.2 圧力の予測値の導出
式(4)について、その両辺の発散をとり連続の式(1)を考慮すると、
圧力の予測値p*に関するポアソン方程式、すなわち式(6)が得られる。
この式を二次中心差分法により離散化すると式(7)が得られ、これより
p*を求めることができる。
(6)
(7)
3.3 流速の予測値の導出
式(2)について時間方向はEuler前進法により、空間方向については
移流項をFWA法により、さらに粘性項は二次中心差分法により定式化
すると流速の予測値u*,v*,w* が得られる。
(8)
(9)
(10)
以 上